全長およそ66kmにも及ぶ九十九里浜。どこまでも続く砂浜と太平洋の大海原は、古くから多くの人々の暮らしを支え、日本有数の漁場として豊かな海の恵みを育んできました。
その九十九里を代表する魚が「いわし」です。新鮮ないわしを味わい、漁の歴史や文化を学び、地元ならではの海の幸を満喫できるのが、千葉県九十九里町にある「海の駅 九十九里」。見て、食べて、買って、学べる、九十九里の魅力がぎゅっと詰まった人気スポットです。
今回の『あさイチ中継』では、「海の駅 九十九里」から生中継。いわしの町として発展してきた九十九里の歴史や食文化、そして海とともに歩んできた人々の暮らしに迫ります。
【放送日:2026年7月29日(水)8:15 -9:55・NHK-総合】
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九十九里はいわしの町だった
九十九里浜と聞くと、どこまでも続く砂浜や夏の海水浴を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、この広大な海岸線は古くから豊かな漁場として知られ、九十九里町は全国有数のいわしの町として発展してきました。
親潮と黒潮の影響を受ける房総沖は、プランクトンが豊富に育つ好漁場です。その恵まれた海で水揚げされるマイワシやカタクチイワシは、地域の食文化を支えてきただけでなく、江戸時代には干鰯(ほしか)と呼ばれる肥料として全国へ運ばれ、日本の農業の発展にも大きく貢献しました。
また、カタクチイワシは食用だけでなく、カツオ漁などで使われる活き餌としても重要な役割を担っています。一匹の小さな魚は、多くの海の恵みを支え、漁業全体をつなぐ存在でもあるのです。
だからこそ、九十九里の人々にとって、いわしは単なる魚ではありません。毎日の暮らしを支え、町の歴史を育み、人々の営みとともに歩んできた大切な海の恵みです。九十九里では、いわしは「魚」ではなく、町を支えてきた宝物だったのです。
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「海の駅 九十九里」で九十九里を丸ごと楽しむ
九十九里の海の恵みや歴史に触れるなら、「海の駅 九十九里」は絶好の立ち寄りスポットです。館内へ入ると、まず目を引くのが、真いわしが群れをなして泳ぐ大きな水槽。九十九里の海をそのまま切り取ったような光景が広がり、この町がいわしとともに歩んできたことを感じさせてくれます。
1Fの直売コーナーには、目の前の片貝漁港で水揚げされた新鮮ないわしをはじめ、ハマグリや地元野菜など、九十九里ならではの味覚がずらり。二階のフードコートでは、いわし料理やハマグリ、ながらみなど、地元の海の幸を味わうことができます。
さらに館内には、無料で見学できる「いわし資料館」を併設。いわし漁の歴史や、江戸時代に干鰯が農業を支えたことなど、九十九里と海との深い結びつきを学ぶことができます。
施設内には、日本唯一といわれる青い丸型ポストもあり、旅の記念写真を撮る人気スポットとして親しまれています。主役ではないけれど、海の町らしい遊び心が感じられる小さな出会いです。
「海の駅 九十九里」は、単なる観光施設ではありません。魚を買い、郷土料理を味わい、歴史を知り、人々の暮らしに触れる——。海の恵みを五感で感じながら、この町が育んできた文化をまるごと体験できる場所なのです。見て、食べて、学ぶことで、九十九里という町がもっと身近になります。
海の駅 九十九里
- 千葉県山武郡九十九里町小関2347−98
- TEL:0475-76-1734
- 営業時間:9:00~18:00
- 定休日:なし
- URL:https://uminoeki99.com/
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九十九里浜に息づく歴史と源頼朝の伝承
どこまでも続く九十九里浜は、日本でも有数の長い砂浜海岸として知られています。
その名前の由来には、鎌倉幕府を開いた源頼朝の伝承が残されています。頼朝が太東岬から刑部岬までの海岸線を測るため、一里ごとに矢を立てたところ、ちょうど九十九本になったことから「九十九里浜」と呼ばれるようになったと伝えられています。現在も山武市の箭挿(やさし)神社などには、その伝承が語り継がれています。
もちろん、これは歴史を彩る伝説の一つですが、それほどまでに九十九里浜は「果てしなく続く海岸」として人々の記憶に刻まれてきたのでしょう。
一方で、この長い砂浜は、美しい景色だけを意味するものではありませんでした。江戸時代までの九十九里浜は、港となる入り江がほとんどない「灘」の海岸。沖で天候が急変しても船が避難できる場所が少なく、漁師たちは潮の流れや風向きを見極めながら海へ出る、高い技術と経験を受け継いできました。
厳しい自然と向き合いながら、それでも海の恵みをいただき、暮らしを築いてきた人々。その歴史があるからこそ、九十九里には今も海への感謝と敬意が息づいています。長い海岸線には、自然とともに生きてきた人々の物語が、今も静かに残されています。
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いわしを味わえば、海の恵みが見えてくる
九十九里を訪れたら、ぜひ味わってみたいのが、新鮮ないわし料理です。いわしは鮮度が命ともいわれる魚。水揚げされたばかりのいわしは臭みが少なく、脂のうま味とやさしい甘みが口いっぱいに広がります。刺身や塩焼き、フライ、つみれ汁など、さまざまな料理で楽しめるのも魅力です。
なかでも千葉の郷土料理として親しまれているのが「なめろう」。新鮮ないわしに味噌やしょうが、ねぎ、大葉などの薬味を加え、包丁で粘りが出るまでたたいて作ります。
いわし特有の風味がやわらぎ、薬味の香りとうま味が一つになったなめろうは、魚が少し苦手な人でも食べやすい一品。温かいご飯はもちろん、お茶漬けにしたりお酒のお供にもぴったりです。
最近では、いわしは健康食材としても注目されています。青魚に多く含まれるDHAやEPAは、健康的な食生活を支える栄養素として知られていますが、それ以上に大切なのは、昔から日本の食卓で親しまれてきた「おいしく食べる知恵」が受け継がれていることではないでしょうか。
九十九里で味わういわし料理には、海の恵みだけでなく、その恵みを生かしてきた人々の工夫や暮らしが息づいています。一皿のいわしには、海と人の暮らしが詰まっています。
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海と生きる町が教えてくれること
九十九里浜を歩いていると、どこまでも続く砂浜と青い海が、ゆったりとした時間を感じさせてくれます。しかし、その美しい景色の向こうには、いわし漁をはじめとする海の恵みに支えられながら暮らしてきた人々の歴史があります。
海の駅 九十九里では、新鮮ないわしを味わい、その歴史や文化に触れることで、この町の魅力をより深く知ることができます。普段は何気なく食べている一匹のいわしにも、海とともに生きてきた人々の知恵や営みが息づいていることに気づかされるでしょう。
旅の楽しみは、美しい景色を見ることだけではありません。その土地で育まれた食文化や歴史に触れ、人々の暮らしに思いを巡らせることで、その町はもっと特別な場所になります。
九十九里を訪れたなら、ぜひ海風を感じながら、この町ならではのいわし料理も味わってみてください。おいしさはもちろん、DHAやEPAなど青魚ならではの栄養も豊富で、体にもやさしい海の恵みです。
九十九里の旅は、美しい海に心が癒やされ、いわしのおいしさに笑顔になり、この町が大切に育んできた歴史や文化に出会える旅。海とともに生きてきた町だからこそ、その一日が、きっと心に残る思い出になるはずです。
