こんにちは鳥巣です。2/25のあさイチでは石川・金沢から和モダンな鋳物が紹介されるようです。鋳物というと、青森の南部鉄器や、吉永小百合さんの映画「キューポラのある街」で有名になった埼玉の川口市などが思い浮かびますが、映画は私が生まれる前の話ですから、”戦後の日本”や高度経済成長といった昔のイメージがあります。そんな鋳物をどうやってモダンにアレンジしているのでしょうか?
ロケット開発にも使われている金沢の鋳物製品とは?
金沢にある金森合金の鋳物は、人工衛星の部品としても使われているのだそうです。金森合金は江戸時代の1714年から300年以上続く鋳物業の老舗です。現在の工場も50年ほど前に、金沢駅周辺の再開発に伴って移転してきたのだそうです。
金森合金の歴史は、かつて金森弥右衛門が、1611年に2代目加賀藩主・前田利長の命によって集められた“鋳物師七人衆”のひとりだったことに始まります。現在ではアルミ、銅、錫、鉛を精錬、鋳造可能な工場として稼働していて、ロケット部品の製造まで行っているそうです。

鋳物業は古くは、火を使う仕事場として神聖な場所で、“女人禁制”の仕事ともされていたため、約300年間、女性が当主を務めたことはなかったといいます。それが現在、当主を務めているのは、東京の広告代理店でファッション関連の営業をしていた、金森合金の24代目の高下裕子さんです。
高下さんが家業を継ぐまで、金森合金が製造していたのは100%産業用の製品でした。しかし高下さんが経営に参加してからは、一般向け商品も開発するようになりました。その中でヒットアイテムとなっているのが、フラワーアレンジメントで使う「針のない剣山」です。
メンバーと共同で生み出した「針のない剣山」は、通常は針山になっている部分が凹部になっていて、石川県農業試験場との検証実験でも花を167%長持ちさせる効果が立証されているそうです。

また、他にも「H-ⅡAロケット」などに使うロケットの部品の素材も提供しているそうです。ただ人工衛星の部品として要求される性能は、99.99%と純度が高く成分の配合が細かく決まっている素材で、生産には非常に高い技術が必要となります。それを自社で培われてきた技術を活かして提供しています。
金属の純度を高めるには、金属を溶解・製錬することで行うのですが、通常、鋳物会社は精錬会社から素材を購入して製造するところを、金森合金では自社で精錬も行うのが強みなのだそうです。
株式会社金森合金
- 石川県金沢市松村6丁目100
- TEL:076-267-3003
- 営業時間:8:15~17:00
- 定休日:日曜
- URL:https://www.kanamori1714.jp/
<広告の下に続きます>
元祖SDG’sだった鋳物文化とは?
精錬とは、不純物の混じった金属廃材などから不純物を取り除き、純度の高い金属だけを取り出すものづくりの技術です。
かつて蝦夷(えぞ=北海道)には金属の精錬技術が伝わっていませんでした。そこで、江戸中期から運行されていた「北前船」で、蝦夷から金属の廃材を買い取り、製品化してまた持って行くこともしていました。
この頃の「モノづくり」とは、まさに鋳物のことでした。江戸時代は最強のリサイクル時代と言われ、金属もリサイクルして新しいものに変えることが普通に行われていました。今でこそサステナブルやSDG’sが騒がれていますが、鋳物の世界では金属廃材を精錬し循環させることは、長く受け継がれてきた当たり前のことだったわけです。(参考資料:「Spaceship Earth」)
現在で代表的なものは、市内のホテルと一緒に進めている、廃棄されたアルミ缶を精錬してテーブルウエアに生まれ変わらせるというものです。約800℃ドロドロに溶かしたアルミ缶を、アルミプレートやカトラリーなどとして復活させています。
このホテルでは、数多くの陶器の食器を使用していましたが、、陶器は壊れることも多く、重いという難点もあります。アルミプレートやカトラリーは銀食器のような風合いを持ちながら軽くて丈夫、何よりメンテナンスをすれば長年使えます。例えばプレートにシミができても、工場で0.1mm研磨すれば新品同様に戻せるのだそうです。
現在はホテルで出た廃棄物のアルミ缶を食器類にするという2社間の循環ですが、この取り組みの延長には、例えば地元の自治体の要望に応えるような別の製品に循環することも視野に入れているのだそうです。
<広告の下に続きます>
まとめ
ロケット開発にも使われている金沢の鋳物製品とは?
「H-ⅡAロケット」などに使うロケットの部品の素材も提供しているのですが、人工衛星の部品として要求される性能は、99.99%と純度が高く成分の配合が細かく決まっている素材で、生産には非常に高い技術が必要となります。金属の純度を高めるには、金属を溶解・製錬することで行うのですが、通常、鋳物会社は精錬会社から素材を購入して製造するところを、金森合金では自社で精錬も行うのが強みなのだそうです。
元祖SDG’sだった鋳物文化とは?
かつて蝦夷には金属の精錬技術が伝わっていませんでした。そこで、江戸中期から運行されていた「北前船」で、蝦夷から金属の廃材を買い取り、製品化してまた持って行くこともしていました。この頃の「モノづくり」とは、まさに鋳物のことでした。江戸時代は最強のリサイクル時代と言われ、金属もリサイクルして新しいものに変えることが普通に行われていました。今でこそサステナブルやSDG’sが騒がれていますが、鋳物の世界では金属廃材を精錬し循環させることは、長く受け継がれてきた当たり前のことだったわけです。