京都府南丹市美山町。山あいに広がる「かやぶきの里」は、日本の原風景を今に残す場所として、多くの人を魅了してきました。茅葺き屋根が並ぶ静かな集落。四季折々の自然とともに息づく里山の風景。どこか懐かしく、時間までゆっくり流れているような景色が、ここにはあります。
けれど、その風景は、ただ昔のまま残っているわけではありません。茅を葺き替え、傷んだ屋根を直し、受け継がれてきた技を次の世代へつないでいく——。美山町には、そんな“原風景を守る仕事”に向き合う茅葺き職人たちがいます。
『あさイチ』では、京都・美山町を舞台に、伝統的な茅葺き技術を受け継ぎながら景観と文化を未来へつなぐ人々の姿に迫ります。昔ながらの風景を残すことは、過去を守ることだけではない。これから先の未来に、何を手渡していくのか——。美山町に息づく茅葺き職人たちの仕事から、“受け継ぐ意味”を見つめます。
【放送日:2026年5月21日(木)8:15 -9:55・NHK-総合】
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美山町の「かやぶきの里」とは?|日本の原風景が残る山あいの集落
京都府南丹市美山町。京都市街から車で北へおよそ1時間半。山々に囲まれたこの地域には、日本人がどこか懐かしさを覚える風景が今も残されています。なかでも知られているのが、「かやぶきの里」。集落には、伝統的な茅葺き屋根の民家が並び、四季折々の自然とともに、昔ながらの里山の景観を今に伝えています。
春には山の緑が芽吹き、夏には深い木々の色が集落を包む。秋には茅葺き屋根の向こうに紅葉が彩りを添え、冬には雪化粧した景色が静かな時間をつくり出します。便利さや効率が当たり前になった時代だからこそ、美山町の風景はどこか特別に映るのかもしれません。
けれど、この景色は自然に残ったものではありません。傷んだ屋根を直す人。茅を確保し、技を受け継ぐ人。暮らしながら地域を守り続ける人。そうした多くの手が重なって、はじめて「日本の原風景」は今日まで受け継がれてきました。
茅葺き屋根は、ただ古い建物ではありません。そこには、人が自然とともに暮らしてきた時間があり、地域の文化があり、受け継がれてきた知恵があります。
美山町に残る風景は、“昔を懐かしむ場所”というだけではないのでしょう。これから先、どんな景色を未来へ残していくのか——。その問いを静かに見つめる場所でもあるのかもしれません。
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茅葺き職人は何をしている?|屋根を守り、技を受け継ぐ仕事
美山町に残る茅葺き屋根の風景。静かな山あいに並ぶその姿は、どこか当たり前の景色のようにも見えます。けれど、その屋根は、ただ時間を重ねるだけでは残りません。茅葺き職人たちは、傷んだ屋根を修理し、年月を重ねた茅を新しく葺き替えながら、長い時間をかけて受け継がれてきた景観を守っています。
茅葺き屋根は、自然素材でできているからこそ、定期的な手入れが欠かせません。雨や風、雪、強い日差し。自然の中にある屋根だからこそ、自然と向き合いながら守り続ける仕事が必要になります。
屋根を葺き替える作業は、一人ではできません。茅を束ねる人。屋根の上で組み上げていく人。長年培われた技術を受け継ぎながら、職人たちは力を合わせ、一つの屋根を完成させていきます。そして、美山町の職人たちが守っているのは、この土地だけではありません。
全国に残る茅葺き屋根の維持や修理にも携わり、それぞれの地域に残る「原風景」を未来へつないでいます。人口減少や高齢化が進む中、茅葺き技術を受け継ぐ人材は決して多くありません。だからこそ、職人たちが受け継いでいるのは、単なる技術ではないのでしょう。
そこにある暮らし。地域の記憶。人が自然とともに生きてきた時間。茅葺き職人の仕事は、屋根を直す仕事でありながら、その土地に流れてきた時間そのものを未来へ手渡す仕事なのかもしれません。
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なぜ茅葺き職人が必要なのか?|過疎化の中で消えゆく技術と原風景
美山町に残る茅葺き屋根。どこか懐かしく、静かな時間が流れるその景色は、多くの人に「日本の原風景」を感じさせてくれます。けれど、その風景を未来へ残していくことは、決して簡単ではありません。
全国の山あいの集落では、人口減少や高齢化が進んでいます。かつて地域の人たちが力を合わせて守ってきた茅葺き屋根も、暮らし方の変化とともに維持が難しくなってきました。
茅を確保する人。技術を受け継ぐ職人。屋根を守り続ける担い手。そのどれか一つが欠けても、長い時間をかけて受け継がれてきた景色は、少しずつ形を変えていきます。
そして失われるのは、建物だけではありません。そこにあった地域の記憶。人と自然が寄り添いながら築いてきた暮らし。季節を感じながら生きてきた時間。そうしたものもまた、静かに遠ざかっていくのかもしれません。
もちろん、時代は変わります。暮らし方も変わります。変わることそのものが悪いわけではありません。けれど、その中でも残していきたいものがある。美山町の茅葺き職人たちは、ただ屋根を直しているのではないのでしょう。
人が自然とともに生きてきた記憶を。土地に積み重なった時間を。そして、未来に残したい景色を守り続けているのかもしれません。原風景は、放っておけば残るものではない。だからこそ、守る人が必要なのです。
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原風景は、守る人がいるから残る|未来へ受け継がれる茅葺き文化
美山町に広がる茅葺き屋根の風景。山々に囲まれた静かな集落に立つと、どこか懐かしい時間が流れているように感じます。けれど、その景色は自然にそこにあり続けたわけではありません。屋根を守る人がいました。技を受け継ぐ人がいました。そして、その風景を「未来へ残したい」と願う人たちがいました。
茅葺き屋根は、一度つくれば終わりではありません。年月を重ねれば傷み、風雨にさらされれば手入れも必要になる。時には大きな葺き替えも必要になります。だからこそ、職人の存在が欠かせません。けれど職人たちが受け継いでいるものは、単なる屋根の技術だけではないのでしょう。
自然とともに暮らしてきた知恵。地域で支え合いながら生きてきた時間。山とともに季節を重ねてきた記憶。そうした“土地に積み重なった文化”そのものを、未来へ手渡しているのかもしれません。
人口減少や高齢化が進む今、全国の茅葺き集落は大きな転換点を迎えています。だからこそ、美山町の職人たちが守っているものには、大きな意味があるのでしょう。
昔を懐かしむためだけではない。未来の誰かが、「こんな景色が日本にあったんだ」と、そう感じられる時間を残すために。原風景は、守る人がいるから残る。美山町に息づく茅葺き文化は、そのことを静かに教えてくれているようでした。
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茅葺き屋根の向こうにあるもの|美山町がつないでいく未来
京都・美山町に残る茅葺き屋根の風景。山あいに静かにたたずむ家々を見ていると、まるで時間だけが昔のまま残っているような気持ちになります。
けれど、その景色は決して“自然に残っていたもの”ではありません。屋根を守る人がいました。技を受け継ぐ人がいました。地域に暮らし続ける人がいました。誰かが人知れず毎日を積み重ねてきたからこそ、今日もあの風景がそこにあります。
時代は変わります。暮らしも変わります。便利なものが増え、人の流れも変わっていく。それでも、その中で「残したい」と願う人がいる。その思いがあるから、文化は未来へ受け継がれていくのでしょう。
茅葺き屋根を守ることは、ただ古い建物を残すことではないのかもしれません。自然とともに生きてきた知恵を。土地に積み重なった時間を。そして、人が手をかけながら暮らしてきた記憶を、未来へ手渡していくこと。
『あさイチ』が映す美山町の茅葺き職人たちの姿から見えてくるのは、技術の継承だけではありません。目立たなくても。脚光を浴びなくても。毎日を静かに積み重ねながら、大切なものを支えている人たちがいる。その存在があるからこそ、日本の原風景は今日も残り続けているのでしょう。
歌手の中島みゆきさんは自らの歌の中で、♪草原のペガサス、街角のビーナス、…♪と歌われていますが、ボクには「そのへんのペガサス~」と聞こえてしまいます。草原に佇むかっこいいペガサスではなく、”そのへん”のどこにでもいるペガサスだって凄いことをしてるんだぞ、という意味です。
茅葺き屋根の向こうには、人が守り続けてきた時間がある。そしてその時間は、きっとこれからも、未来へ静かにつながっていくのだと思います。