水没した車は、もう走れないの?|修理か廃車か、その境界線と意外な第二の人生【あさイチ中継】

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突然の豪雨で道路や駐車場が冠水し、車が水に浸かってしまった。そんなとき、まず気になるのは「この車は、もう走れないのだろうか?」ということでしょう。エンジンがかかれば大丈夫なのか。それとも、見た目には何ともなくても、内部には深刻な損傷が残っているのでしょうか?

かつての自動車は、エンジンや機械部品を中心に修理することができました。けれど、現在の車には数多くの電子制御装置が搭載され、ハイブリッド車や電気自動車には高電圧の駆動用バッテリーも使われています。

水没による影響は、目に見える故障だけではありません。時間がたってから発生する腐食や電気系統の不具合など、思わぬ危険が隠れていることもあります。では、水没した車は、どこまでなら修理できるのでしょうか?そして、修理を断念して手放した車は、その後どうなるのでしょう。

実は、車としての役目を終えたと思われた水没車にも、海外での再利用や部品・資源としてのリサイクルなど、さまざまな行き先があります。NHK『あさイチ中継』では、埼玉県三芳町から「豪雨で水没した車は今?」というテーマが紹介されます。

今回は、この中継をきっかけに、水没車の修理と廃車を分ける判断、安全に関わる注意点、そして持ち主の手を離れた車の意外な行方を探ってみたいと思います。

一度水に浸かった車は、本当にもう走れないのでしょうか。そして、走れなくなった車には、どんな未来が待っているのでしょうか?

【放送日:2026年11月4日(水)8:15 -9:55・NHK-総合】

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水没車の行方|豪雨で水没した車は、その後どこへ行くの?

豪雨が去り、ようやく水が引いた駐車場。そこには、泥にまみれた愛車が残されていました。
「エンジンはかかるだろうか?」
「修理するとしたら、いくらかかるんだろう?」
「もしかして、もう廃車にするしかないの?」
車の持ち主なら、まずそんなことを考えるのではないでしょうか。けれど、ここで注意したいことがあります。水没した車は、見た目に問題がなくても、自分でエンジンをかけてはいけないということです。

国土交通省やJAFも、水没車にはエンジンの破損だけでなく、電気系統のショートや車両火災、感電などの危険があるとして、専門家による点検を呼びかけています。

では、水没してしまった車は、その後どうなるのでしょうか?まずは販売店や整備工場、ロードサービスなどに相談し、安全を確認したうえでけん引などで車両を搬送してもらいます。ロードサービスなども危険性がわかっていますからいきなりエンジンをかけようとしたりはしないはずです。

そこで浸水の程度や故障箇所を調べ、修理に必要な費用を見積もることになります。損傷が比較的軽ければ、必要な部品を交換し、点検や整備を行って再び走れるようになる可能性があります。一方、車内にまで泥水が入り込んだ場合は、話が複雑になります。

シートの表面を洗って乾かしたとしても、その内部のクッション材や床下のカーペット、吸音材などに汚れや水分が残ることがあります。その結果、カビや不快な臭いが発生したり、金属部品や配線が腐食したりすることもあるのです。車内をきれいに見せることと、安心して乗り続けられる状態に戻すことは、必ずしも同じではありません。

さらに、エンジンや電子制御装置まで被害が及んでいれば、修理費用が車そのものの価値を上回る可能性もあります。こうして、持ち主は修理するか、買い替えるかという難しい選択を迫られます。

では、修理を諦めて手放した車は、すべてスクラップになってしまうのでしょうか? 実は、そうとは限りません。水没車を買い取る専門業者もあり、車両の状態によっては修理・再販の対象になったり、使える部品を取り外して再利用したり、金属などの資源としてリサイクルされたりすることがあります。

つまり、持ち主にとっては乗れなくなった車でも、必ずしも価値がなくなったわけではないのです。ただし、どのような行き先になるかは、車の状態や安全性、経済的な価値によって異なります。水没した車の運命は、どこで分かれるのでしょうか。次は、修理できる車と廃車になる車を分ける、その境界線を詳しく見ていきましょう。

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修理と廃車の境界線|水に浸かった車は、どこまでなら修理できるの?

豪雨で水没してしまった愛車。水が引いたあと、持ち主が真っ先に確かめたくなるのは「エンジンがかかるかどうか」かもしれません。キーを回してエンジンがかかれば、まだ乗れるかもしれない。そう考えるのは自然なことですが、実はこの行動が、車に致命的なダメージを与えてしまう場合があります。

ガソリン車やディーゼル車のエンジンは、空気を吸い込み、燃料を燃焼させて動いています。ところが、吸気口から大量の水が入り込んでいると、エンジン内部のピストンが水を圧縮しようとしても、ほとんど圧縮できません。その結果、エンジン内部のコンロッドなどの部品が曲がったり、エンジンそのものが破損したりすることがあります。これが、いわゆる「ウォーターハンマー(液圧ロック)」です。

つまり、水没した車は、エンジンがかかるかどうかを試す前に、水がどこまで入り込んだのかを調べる必要があるのです。これには専門の工具や車の構造の知識も必要なので素人が簡単に確かめられるようなものではありません。

では、浸水の深さによって、修理の可能性はどのように変わるのでしょうか?まず、タイヤの下部が水に浸かった程度で、車内や重要な機器への浸水が確認されなければ、点検や必要な整備によって乗り続けられる可能性があります。ただし、ブレーキや足回りなどの確認は欠かせません。

次に、エンジンの吸気口や排気管の高さまで水が達していた場合は、注意が必要です。特に吸気経路からエンジン内部へ水が入り込んでいれば、重大な損傷につながるおそれがあります。一方、排気管の出口が水に浸かったことだけで、直ちにエンジン内部まで水が入ったと判断できるわけではありません。エンジンが動いていたのか、停止していたのか、どの程度の時間水に浸かっていたのかによっても、状況は変わります。

さらに、車内の床面まで水が入っていた場合は、エンジンだけでなく、電子制御装置や配線、シート下の部品なども点検しなければなりません。現代の自動車には、数多くのセンサーやコンピューターが使われています。そして、ハイブリッド車や電気自動車には、高電圧の駆動用バッテリーやモーターを制御する装置も搭載されています。

これらの部分が浸水した場合は、感電や火災などの危険もあるため、専門知識のない人が触れたり、分解したりしてはいけません。国土交通省やJAFも、水没した車については、自分でエンジンを始動せず、専門家による点検を受けるよう注意を呼びかけています。

では、修理費用はいくらくらいかかるのでしょうか? 軽い浸水で点検や一部の部品交換だけで済む場合もあれば、エンジンや電子制御装置の交換、車内の内装材の取り外しや洗浄が必要になり、数十万円から、場合によっては100万円を超える修理費用がかかることもあります。

ただし、「タイヤの半分までなら何万円」「床上浸水なら必ず100万円以上」といった単純な基準で判断することはできません。同じ水位でも、車種や年式、浸水時間、水の汚れ具合、エンジンが動いていたかどうかによって、被害は大きく異なるからです。

修理の見積もりを取るときには、どの部品が故障しているのか、交換が必要な理由は何か、車内の洗浄や乾燥まで含まれているのかを確認したいところです。さらに、修理後に電気系統の不具合や異臭などが発生する可能性についても、説明を受けておくことが大切でしょう。

できれば、修理費用だけでなく、現在の車の価値や買い替えに必要な金額とも比較したいものです。技術的に修理できることと、費用や安全性を考えて修理するべきかどうかは、別の問題なのです。

愛着のある車だからこそ、納得できる判断をしたいもの。そして、修理しないと決めた場合にも、その車にはまだ別の道が残されているかもしれません。次は、日本で役目を終えた水没車が、どのような形で再び活用されるのかを見ていきましょう。

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水没車の第二の人生|日本で走れなくなった車が、海外で再び走ることもあるの?

豪雨で水没し、修理費用が高額になることから手放された車。持ち主にとっては、そこで愛車との別れを迎えることになります。では、その車はすぐに解体され、スクラップになってしまうのでしょうか?

実は、日本では修理する価値がないと判断された車でも、海外では再び利用される可能性があります。その理由の一つが、国や地域によって異なる修理費用や中古部品の流通事情です。日本では、故障した電子制御装置をユニットごと交換することも珍しくありません。部品代や工賃が積み重なれば、まだ比較的新しい車でも、修理費用が車両の価値を上回ってしまうことがあります。

ところが、海外には、日本とは異なる修理環境や中古部品の市場があります。車の状態によっては、現地で必要な修理を施し、再び中古車として利用されることもあるのです。ただし、ここで大切なのは、日本で修理を断念した車が、海外なら安全に走れるとは限らないということです。

特に注意が必要なのが、ハイブリッド車や電気自動車です。これらの車には、高電圧の駆動用バッテリーやインバーターなど、専門的な知識と設備がなければ安全に扱えない装置が搭載されています。浸水によって絶縁性能が損なわれたり、内部に腐食が発生したりしていれば、感電や火災につながる危険性もあります。

一般的なエンジン車であっても、配線や電子制御装置に残った水分や汚れが、時間の経過とともに故障を引き起こすことがあります。つまり、エンジンが動いて車輪が回ることと、安全な中古車として販売できることは、同じではありません。

国連環境計画(UNEP)は、世界の中古車輸出について、輸出先の国々で安全基準や環境規制に大きな違いがあることを指摘しています。適切な検査や整備が行われないまま、古くて安全性に問題のある車が流通することは、国際的な課題にもなっているのです。

もちろん、海外へ輸出される中古車がすべて危険というわけではありません。適切に整備され、安全性が確認された中古車を長く使うことには、資源を有効に活用するという利点があります。問題なのは、修理や検査が不十分なまま、危険性のある車が再び海外で道路を走ってしまうことです。

そして、水没車の第二の人生は、再び車として走ることだけではありません。エンジンや変速機、ドア、ホイールなど、浸水による影響が少なく、再利用できると確認された部品は、中古部品として活用される可能性があります。さらに、取り外した部品を分解・整備し直す「リビルト部品」の材料になる場合もあります。

再利用できない部品や車体も、鉄やアルミニウムなどの金属を回収することで、新たな製品の材料として役立てられます。つまり、一台の車として走れなくなっても、その車を形づくっていた部品や資源まで、すべて価値を失うわけではないのです。ただし、駆動用バッテリーなどの危険性がある部品については、適切な回収や処理が欠かせません。

車を長く使うことは大切ですが、安全を犠牲にしてまで走らせ続けることが、資源を大切にすることとは限りません。水没した車の第二の人生を考えるとき、私たちが見つめるべきなのは、再利用できるかどうかだけではなく、どのように安全に再利用するかということなのでしょう。

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もし自分の車が水没したら|エンジンをかけてはいけないのは、なぜ?

もし、突然の豪雨で自分の車が水没してしまったら、どうすればよいのでしょうか。最初に覚えておきたいのは、車を守ることよりも、自分や同乗者の命を守ることが優先だということです。走行中に冠水した道路へ入り、車が動かなくなってしまった場合は、エンジンを再始動しようとせず、まず安全に脱出することを考えましょう。

水位が低いうちならドアを開けて脱出できる可能性があります。しかし、水位が上がると外からの水圧でドアが開きにくくなり、電気系統が故障すればパワーウインドウも動かなくなることがあります。

そんなときに備えて、車内に緊急脱出用ハンマーを用意しておくことも大切です。ただし、フロントガラスや一部のドアガラスに使われている合わせガラスは、通常の脱出用ハンマーでは割れません。

では、駐車場などで水没し、水が引いたあとに自分の車を見つけた場合はどうでしょうか?ここでも、やってはいけないことがあります。それは、「エンジンがかかるかどうか、とりあえず試してみる」ことです。エンジンの吸気経路に水が入り込んでいれば、始動操作によって内部の部品を破損させるおそれがあります。

また、エンジンに問題がなくても、浸水した配線や電子制御装置がショートし、火災につながる危険性があります。電気自動車やハイブリッド車の場合は、さらに注意が必要です。高電圧の駆動用バッテリーや関連装置が搭載されているため、外観に異常がなくても、専門知識のない人が点検や分解を試みてはいけません。

国土交通省も、水没した車については自分でエンジンをかけず、販売店や整備工場に相談するよう注意を呼びかけています。

それでは、水が引いたあと、持ち主は具体的に何をすればよいのでしょうか? まずは、自分自身の安全を確保したうえで、車を購入した販売店や整備工場、加入しているロードサービスなどに連絡しましょう。車を自走させず、必要に応じてレッカー車などで搬送してもらいます。

車両の周囲が安全であれば、浸水した高さや車内の状態を写真に残しておくと、修理の相談や保険の手続きに役立つ場合があります。ただし、撮影のために冠水した場所へ戻ったり、危険な車内へ入ったりしてはいけません。

次に確認したいのが、自動車保険です。一般に、台風や豪雨による洪水・冠水で車が損害を受けた場合、加入している車両保険の補償対象になることがあります。ただし、補償されるかどうかは契約内容や事故の状況によって異なります。修理や処分を進める前に、保険会社や代理店へ連絡し、必要な手続きを確認しておきましょう。

そして、整備工場で車の状態を調べてもらい、修理費用の見積もりを取ります。ここで大切なのは、目に見える故障だけでなく、電子制御装置や配線、車内のカーペットやシート内部まで、どの程度の被害があるのかを確認することです。修理できる場合でも、将来的な腐食や電気系統の不具合、異臭などのリスクについて、十分な説明を受けておきたいところです。

見積もりに疑問があれば、別の整備工場にも相談してみるとよいでしょう。修理費用、保険金、買い替えに必要な金額などを比較してから、修理するのか、手放すのかを判断することが大切です。

水没した車を前にして、慌ててエンジンをかける必要はありません。むしろ、何もしないことが、さらなる故障や事故を防ぐ最善の行動になる場合もあるのです。

そして何より、車は買い替えられても、命は買い替えられません。豪雨のときには、無理に冠水した道路へ進入しないこと。そして、万が一水没してしまったら、車のことよりも先に、自分と大切な人の安全を考えたいものです。

豪雨のときには、家族から「迎えに来て」と連絡が入ることもあるでしょう。けれど、冠水した道路を無理に車で走ることが、必ずしも家族を守る行動になるとは限りません。

まずはお互いの安全な場所を確認し、危険な移動を避けること。子供には、近くの安全な施設や避難場所で待ち、必要なら周囲の大人や施設の職員に助けを求めるよう、普段から伝えておきたいものです。助けに行く人自身が安全でいることも、大切な人を守るために必要なのです。

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車を最後まで使うということ|廃車になった車は、本当に価値がなくなるの?

長い間、一緒に走ってきた愛車。毎日の通勤や買い物、家族との旅行。何気ない日常の中にも、車と過ごした思い出はたくさんあるものです。そんな車が、突然の豪雨で水没してしまったら…。

修理できないとわかったときには、単に移動手段を失ったというだけではない、寂しさを感じるかもしれません。けれど、廃車になった車は、本当に何の価値もなくなってしまうのでしょうか?

実は、自動車は役目を終えたあとも、さまざまな形で再利用されています。エンジンや変速機、ドアやホイールなど、状態のよい部品は取り外され、中古部品として別の車の修理に使われることがあります。

日本では修理費用が高くて手放された車でも、その部品が海外の修理工場で必要とされることもあるでしょう。日本製の自動車やバイクは世界各地で使われており、それらを長く走らせるためには、交換用の部品が欠かせないからです。

もちろん、水没によって損傷した部品まで、無条件に再利用できるわけではありません。安全性や品質を確認し、再利用できるものを選び出すことが大切です。そして、部品として使えなくなったものにも、まだ役割が残されています。

車体を構成する鉄やアルミニウムなどの金属は、回収して再び材料として利用できます。一方、バッテリーや油脂類などは、環境や安全への影響を考慮した適切な処理が必要です。つまり、一台の自動車としての役目が終わっても、その車を形づくっていたものが、すべて無駄になるわけではないのです。

愛車を廃車にすることは、決して簡単な決断ではありません。けれど、無理に修理して危険を抱えながら乗り続けることだけが、車を大切にする方法ではないのでしょう。

安全を考えて手放すことも、一つの大切な判断です。そして、その車の部品がどこかで別の車を走らせ、金属が新しい製品に生まれ変わるのだとしたら…。長い間、自分や家族を乗せて走ってくれた愛車が、最後にもう一度、誰かの役に立つのかもしれません。

もちろん、それで失った車への寂しさが消えるわけではありません。それでも、愛車との別れを少しだけ前向きに受け止められる気がします。車としての旅は終わっても、その車を形づくっていたものの旅は、まだ続いていくのかもしれません。


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