雪どけ水の音が、春を連れてくる――山菜芽吹く西和賀町へ|小さな旅

山菜採り BLOG
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東北有数の豪雪地帯として知られる、岩手県西和賀町。長い冬が終わりを迎える5月、この町には雪どけとともに遅い春がやってきます。

山から流れ出す雪どけ水。やわらかく芽吹き始める山菜。そして、この時期だけ湖に現れる幻想的な水没林――。厳しい雪に閉ざされていた土地だからこそ、春の訪れは何より特別な季節なのかもしれません。

今回の『小さな旅』は、西和賀町を舞台に、雪どけの恵みとともに生きる人々を訪ねます。豊かな自然を見つめ続ける人。山の恵みを育てる人。そして、巡ってきた春に静かに感謝しながら暮らす人々。雪どけ水の音に耳を澄ませながら、“命が動き始める季節”の西和賀町を歩く旅になりそうです。

【放送日:2026年5月17日(日)8:00 -8:25・NHK-総合】
【放送日:2026年5月22日(金)11:05 -11:30・NHK-総合】

【放送日:2026年5月23日(土)6:05 -6:30・NHK-BSP4K】

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雪どけ水が流れ出すころ――豪雪の町に訪れる“遅い春”

岩手県西和賀町は、東北有数の豪雪地帯として知られています。冬のあいだ町は深い雪に包まれ、場所によっては人の背丈を超えるほど雪が積もることもあります。春の訪れは遅く、5月になってようやく町全体が雪どけの季節を迎えます。

山に積もった雪が少しずつ解け始めると、沢の水音が町のあちこちで聞こえるようになります。雪どけ水は川へ流れ込み、田畑を潤し、人々の暮らしに春を運んできます。

西和賀町の春は、一気に景色が変わるのではなく、雪が解ける音とともにゆっくり始まります。道ばたに小さな緑が芽吹き、山菜が顔を出し始めるころ、人々はようやく「今年も春が来た」と感じるのかもしれません。

厳しい冬を越えて迎える春だからこそ、その喜びは静かで、深く心に残ります。今回の『小さな旅』は、そんな雪どけの季節を迎えた西和賀町で、自然とともに暮らす人々の姿を見つめていきます。

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湖に現れる幻想の森――雪どけが生む「錦秋湖の水没林」

西和賀町にある錦秋湖では、雪どけの季節になると、この時期だけの幻想的な景色が現れます。
湖に立ち並ぶ木々。まるで森がそのまま水の中へ入り込んだような、不思議な風景――それが「水没林」です。春になると、山から流れ込む大量の雪どけ水によって、錦秋湖の水位は普段よりおよそ15メートルも高くなるのだそうです。

その水が木々の根元まで満たし、湖の中に静かな森を浮かび上がらせます。風のない日には、水面に映る木々がゆらぎ、湖全体が鏡のように見えることもあります。カヌーで湖を進むと、聞こえてくるのは水の音と鳥の声だけ。雪国の春が、まだ静けさの中にあることを感じさせてくれる景色です。

錦秋湖の水没林(出典:hirotographer)
錦秋湖の水没林(出典:hirotographer

この幻想的な水没林も、雪どけの時期が終われば少しずつ姿を変えていきます。“雪が多い土地だからこそ生まれる春の風景”――錦秋湖の水没林には、西和賀町ならではの季節の物語が映っているのかもしれません。

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山菜が芽吹く季節――雪国の春を味わう西和賀町の恵み

雪どけが進むころ、西和賀町の山々では春の恵みが一斉に芽吹き始めます。わらび、タラの芽、コシアブラ――。長い冬を越えた山の中から顔を出す山菜は、雪国に暮らす人々にとって“春そのもの”のような存在です。

西和賀町は、特産のわらびでも知られています。雪どけ水をたっぷり含んだ大地で育つわらびは、やわらかく香りも豊か。春になると、農家の人たちは土の状態や雪どけの進み具合を見ながら、山の恵みと向き合います。

採れたての山菜を天ぷらにすると、湯気とともにふわりと広がる春の香り。ほろ苦さの中には、雪国ならではの力強い季節の味わいがあります。

厳しい冬があるからこそ、芽吹いたばかりの山菜がこんなにも愛おしく感じられるのかもしれません。西和賀町の春は、景色だけではなく、食卓にも静かに訪れていました。

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雪どけを見つめながら――自然とともに暮らす人たち

西和賀町で暮らす人々は、長い冬とともに生きています。深い雪に閉ざされる季節を越え、5月の雪どけとともにようやく動き始める自然。この町では、その小さな変化ひとつひとつが、暮らしと深く結びついています。

錦秋湖でカヌーガイドをする男性は、雪どけの水が生み出す水没林を訪れる人たちに案内しています。毎年少しずつ違う水位。光の加減で変わる湖の色。静かな湖面に映る木々の姿――。自然を相手にしているからこそ、「同じ春は二度とない」と感じるのかもしれません。

また、この土地の自然を見つめ続けてきた写真家夫婦は、観察会を開きながら、西和賀の豊かな風景を伝えてきました。花が咲く時期。雪が消える速さ。鳥の声や風の匂い。そんな小さな変化に目を向けながら暮らしていると、季節は“カレンダー”ではなく、自然の中で動いていることに気づかされます。

厳しい自然に囲まれた土地。それでも人々は、雪どけとともに訪れる春の恵みに感謝しながら、静かにこの土地で暮らしていました。

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雪が解けるたび、春が始まる――西和賀町が教えてくれる季節の喜び

長い冬を越えた西和賀町では、雪どけとともに少しずつ春が動き始めます。
山から流れ出す雪どけ水。湖に現れる幻想的な水没林。そして、芽吹いたばかりの山菜が並ぶ春の食卓。この土地の春は、自然の小さな変化を通して静かにやってきます。

雪の多い年。雪どけが早い年。山菜が芽吹く時期が少し違う年――。毎年同じように見えても、自然の表情は少しずつ変わっています。だからこそ、人々は春の訪れを当たり前とは思わず、雪どけが運んでくる恵みに感謝しながら暮らしているのかもしれません。

厳しい冬があるからこそ、水の音も、新緑も、山菜の香りも、より深く心に残る。今回の『小さな旅』は、西和賀町の雪どけの風景を通して、“季節が巡ることの豊かさ”をそっと教えてくれる旅になりそうです。

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