奈良県十津川村。面積の96パーセントを森林が占める、日本でも有数の山深い村です。江戸時代から林業が盛んに行われてきたこの地では、人々は木を育て、山を守りながら暮らしてきました。
今回の「小さな旅」は、2011年の紀伊半島豪雨の経験を未来へ生かそうとする人々や、木の命を無駄にしないものづくりに取り組む木工職人との出会いを通して、十津川村の今を見つめます。
木とともに生き、山とともに歩む人々。その営みの先にある「次の百年」とはどのような未来なのでしょうか? 深い森に包まれた十津川村を訪ね、受け継がれてきた知恵と新たな挑戦をたどります。
【放送日:2026年6月26日(金)11:05 -11:30・NHK-総合】
【放送日:2026年6月27日(土)6:05 -6:30・NHK-BSP4K】
【放送日:2026年6月29日(月)4:20 -4:45・NHK-総合】
【放送日:2026年7月3日(金)9:00 -9:25・ NHK-BSP4K】
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十津川村とはどんな場所?|森とともに歩んできた日本有数の山村
奈良県南部に位置する十津川村は、面積およそ672平方キロメートルを誇る日本最大の村です。村の約96パーセントを森林が占め、見渡す限りの山々と深い森が広がっています。
村の中央を流れる熊野川水系の川は、古くから人々の暮らしを支え、険しい山々は豊かな森林資源を育んできました。江戸時代にはすでに林業が盛んに行われていたとされ、十津川村の人々は木とともに生きる暮らしを受け継いできました。
森は一朝一夕には育ちません。苗木を植え、手入れを重ね、立派な木になるまでには数十年もの歳月が必要です。そのため林業は、今だけでなく未来を見据えて続けていく仕事でもあります。
今回の「小さな旅」で訪ねる十津川村は、そんな長い時間の流れの中で山と向き合ってきた場所。人々は木を育て、森を守りながら、次の世代へと豊かな山を受け継ごうとしています。番組は、深い森に抱かれた十津川村で、木とともに生きる人々の営みを見つめていきます。
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木を育て、山を守る|十津川村の林業と造林の仕事
十津川村では、江戸時代から林業が地域の暮らしを支えてきました。しかし木を伐るだけが林業ではありません。豊かな森を未来へ残すためには、新たな木を植え、育てる「造林」の仕事が欠かせないのです。
番組で訪ねた造林業の会社では、山に苗木を植え、下草を刈り、長い年月をかけて森を育てています。木が建築材として利用できるまでには数十年を要するため、その仕事は常に未来へ向けた取り組みでもあります。
近年は輸入木材の普及や木材価格の低迷などにより、日本の林業を取り巻く環境は大きく変化しました。安価な海外産木材が広く利用される一方で、国産材の需要は減少し、多くの林業地域が厳しい状況に置かれています。
それでも十津川村の人々は木を植え続けます。それは単に木材を生産するためだけではなく、山を守り、次の世代へ豊かな森林を引き継ぐためです。
森は何十年もの時間をかけて育まれます。今植えられた苗木も、立派な木へ成長する頃には別の世代へ受け継がれているかもしれません。十津川村の造林の仕事には、「次の百年」を見据えた人々の思いが込められていました。
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紀伊半島豪雨の教訓|山に道をつくる新たな挑戦
2011年9月、紀伊半島を襲った記録的な豪雨は、十津川村にも大きな被害をもたらしました。各地で土砂崩れや道路の寸断が発生し、自然の脅威と山間地域の厳しい現実を改めて突きつける出来事となりました。
番組で訪ねた造林業の会社では、この豪雨災害の経験を教訓として、新たな山づくりに取り組んでいます。その一つが、山の中へ作業道を整備する工事です。
山に道をつくることは、木材の搬出を効率化するだけではありません。森の状態を把握しやすくなり、間伐や保育作業を行いやすくなるほか、災害発生時の対応にも役立ちます。
人の手が届かなくなった山は、やがて管理が難しくなります。木々が密集しすぎたり、手入れが行き届かなくなったりすると、森林本来の力を十分に発揮できなくなることもあります。
だからこそ十津川村の人々は、災害から学び、未来に備えようとしています。山に道をつくる取り組みは、単なる復旧工事ではなく、次の世代へ森を受け継ぐための基盤づくりでもあるのです。
紀伊半島豪雨の記憶を忘れず、その経験を未来へ生かそうとする人々の姿に、「次の百年」を見据える十津川村の思いが感じられました。
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木を無駄にしない|移住した木工職人が描く未来
十津川村で出会った木工職人は、2011年の紀伊半島豪雨をきっかけにこの地へ移住してきたといいます。深い森に囲まれた十津川村で暮らしながら、職人が取り組んでいるのは、木の命をできるだけ無駄にしないものづくりです。
木材は、伐採された瞬間に価値が生まれるわけではありません。長い年月をかけて育てられた木は、製材され、加工され、人々の暮らしの中で使われて初めてその役割を果たします。
しかし現代では、安価な輸入木材や工業製品が広く流通するようになり、国産材を取り巻く環境は厳しさを増しています。その中で職人は、一つひとつの木の個性を生かしながら、できる限り無駄を出さない製品づくりに挑戦していました。
節のある部分や小さな端材も工夫して活用する姿勢には、単なる製造ではなく、木を育ててきた人々への敬意も感じられます。
木工職人の仕事は、森と暮らしをつなぐ役割でもあります。山で育った木が人の手を経て新たな価値を持つことで、林業や森林を支える循環が生まれるからです。
豪雨をきっかけに十津川村へやって来た職人は、木と向き合いながら、この土地で新たな未来を描いていました。そのものづくりには、森から受け取った恵みを次の世代へ手渡そうとする思いが込められているようでした。
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木と山がつなぐ次の百年|十津川村が守り続けるもの
十津川村の旅を通して見えてきたのは、木を育てる人、山を守る人、そして木の価値を暮らしの中へ届ける人々の姿でした。
森は長い時間をかけて育ちます。今日植えられた苗木が立派な木になる頃には、植えた人とは別の世代がその森を受け継いでいるかもしれません。だからこそ林業は、今だけを見ていては続けることができない仕事です。目の前の利益だけではなく、何十年も先の未来を見据えながら木を育て、山を守り続ける必要があります。
2011年の紀伊半島豪雨は、十津川村の人々に大きな試練をもたらしました。しかし人々はその経験を忘れることなく、山に道を整備し、森と向き合いながら未来への備えを続けています。また、移住してきた木工職人は、木の命を無駄にしないものづくりを通して、森と暮らしを結び直そうとしていました。
木を植える人がいて、山を守る人がいて、その木を生かす人がいる。そのつながりがあるからこそ、十津川村の森は次の世代へ受け継がれていきます。
「次の百年」という番組タイトルには、未来の森を育てる人々への願いが込められているのかもしれません。深い山々に囲まれた十津川村で出会った人々は、今日も静かに木と向き合いながら、その先にある未来を育て続けています。