世界一は一匹のクラゲから始まった|山形・鶴岡「かもすい」の感動物語【あさイチ】

かもすい BLOG
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山形県鶴岡市の海辺に、ゆらめくクラゲたちが主役の水族館があります。「あさイチ」の中継で紹介されるのは、山形県唯一の水族館として親しまれてきた鶴岡市立加茂水族館、通称「かもすい」です。

現在では約100種類ものクラゲを飼育・研究し、“世界一のクラゲ水族館”として知られるこの場所ですが、その歩みは決して順風満帆ではありませんでした。来館者の減少によって存続の危機を迎えた水族館の運命を変えたのは、水槽の中に偶然現れた一匹の小さなクラゲだったのです。

幻想的に漂うクラゲの美しさ、その不思議な生態、そしてエチゼンクラゲによる漁業被害のように、人の暮らしと深く関わってきたもう一つの顔。

今回は、一匹のクラゲとの出会いから世界へ羽ばたいた「かもすい」の歴史と、今も人々を引きつけてやまない魅力をたどります。

【放送日:2026年7月15日(水)8:15 -9:55・NHK-総合】

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「かもすい」とは?~山形県唯一の水族館~

山形県鶴岡市の日本海沿いにある「鶴岡市立加茂水族館」は、地元では親しみを込めて「かもすい」と呼ばれています。1930年に開館した歴史ある水族館で、現在は山形県内で唯一の水族館として、多くの観光客や家族連れに親しまれています。2026年4月のリニューアルオープンにあわせて、新たな愛称「東北エプソンアクアリウムかもすい」となりました。

「あさイチ」では、この「かもすい」から生中継が行われます。全国的には“世界一のクラゲ水族館”として知られ、館内では約100種類ものクラゲが展示・飼育されており、幻想的な光景を楽しめる人気スポットです。クラゲの展示だけでなく、庄内浜に生息する魚たちやアシカ、アザラシなど、日本海の豊かな自然を身近に感じられる展示も充実しています。

しかし、「かもすい」が世界中から注目される水族館になった理由は、単にクラゲの数が多いからではありません。その始まりには、一匹の小さなクラゲとの偶然の出会いがありました。次の章では、存続の危機にあった地方の小さな水族館が、どのようにして“世界一”へと歩み始めたのか、その感動の物語をご紹介します。

東北エプソンアクアリウムかもすい

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世界一は一匹のクラゲから始まった~存続の危機を救った奇跡~

「かもすい」の歴史は1930年、地元の人々が資金を出し合って建てた「山形県水族館」から始まりました。

その後、戦時中には海軍に徴用され、戦後は水産高校の校舎として利用されるなど、時代の流れに翻弄されながらも、水族館としての灯は絶えることなく受け継がれていきます。1964年には現在の加茂地区へ新築移転し、多くの人々に親しまれる施設となりました。

しかし、時代とともにレジャーの多様化が進むと入館者数は減少し、1990年代には閉館や施設の売却などもあり、存続そのものが危ぶまれる状況に陥ります。そんな苦しい時期、一つの小さな奇跡が起こりました。サンゴ水槽の中に、偶然一匹のクラゲが現れたのです。

一般的には展示の対象にもならなかったクラゲでしたが、飼育員たちはそのゆったりと漂う姿に美しさと可能性を感じました。そして、「このクラゲを育ててみよう」と挑戦を始めたことが、水族館の未来を大きく変える第一歩となったのです。

今でこそ多くの水族館がクラゲの展示を行っていますが、クラゲの飼育は決して簡単ではありません。種類ごとに異なる環境を整え、繁殖方法を研究し、試行錯誤を何度も繰り返しました。

その努力が少しずつ実を結び、これまで水族館の脇役だった「クラゲ」に光を当てたことで、世界から注目を浴びる水族館へと発展したのです。展示できる種類は年々増加。2000年には日本一、そして2005年には世界一のクラゲ展示種類数を誇る水族館へと成長しました。

さらに2014年には全館をリニューアル。「クラゲドリームシアター」をはじめとする幻想的な展示空間が誕生し、「かもすい」は世界中から注目を集めるクラゲ水族館へと生まれ変わったのです。

世界一は、壮大な計画から始まったわけではありません。一匹の小さなクラゲとの偶然の出会いと、その命の輝きを信じ続けた飼育員たちの情熱が、地方の小さな水族館を世界へ羽ばたかせたのでした。

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約100種類のクラゲが泳ぐ幻想の世界~世界一の展示と研究~

一匹の小さなクラゲとの出会いから始まった挑戦は、今では世界中から人々が訪れる「クラゲ水族館」へと成長しました。現在の「かもすい」では、約100種類ものクラゲを飼育・展示しています。その展示種類数は世界トップクラスを誇り、館内には大小さまざまなクラゲがゆったりと漂う幻想的な空間が広がります。

中でも人気を集めているのが、直径約5メートルの大水槽「クラゲドリームシアター」です。無数のミズクラゲが青い光に包まれながら静かに漂う姿は、まるで宇宙に浮かぶ星々のよう。時間を忘れて見入ってしまう美しさに、多くの来館者が足を止めます。

しかし、「かもすい」の魅力は、美しい展示だけではありません。クラゲは種類によって暮らす環境や成長の過程が大きく異なるため、飼育や繁殖は非常に難しいことで知られています。

「かもすい」では長年にわたり飼育技術を磨き続けるとともに、国内外の大学や研究機関とも連携しながら、まだ多くの謎が残るクラゲの生態解明にも取り組んでいます。

展示されている一匹一匹のクラゲは、来館者を楽しませる存在であると同時に、未来の研究へとつながる大切な命でもあるのです。

幻想的な光景に心を癒やされながら、その裏側では日々、新たな発見を目指す研究が続けられています。美しさと学びが共存することこそ、「かもすい」が世界中から愛される理由なのかもしれません。

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クラゲは不思議な生き物~美しさだけではない海の世界~

水槽の中をゆったりと漂うクラゲを見ていると、時間までゆっくり流れているような気持ちになります。しかし、その穏やかな姿からは想像もできないほど、クラゲは不思議な生き物です。

クラゲは、イソギンチャクやサンゴと同じ「刺胞動物」の仲間です。水族館などで見かける「サカサクラゲ」は、海底で傘を下にして暮らす姿がまるでイソギンチャクのようですが、それも同じ仲間だからこそ。実はクラゲの一生には、岩などに付着して生活する「ポリプ」の時代があり、その姿は小さなイソギンチャクによく似ています。

やがてポリプは「ストロビラ」と呼ばれる節のような姿へと変化し、一枚ずつ切り離されるように小さな幼生「エフィラ」が誕生します。そしてエフィラは少しずつ傘を広げ、私たちがよく知るクラゲへと成長していくのです。

クラゲの一生(出典:ソトラバ)
クラゲの一生(出典:ソトラバ)

このように、クラゲは卵からそのまま成体になるのではなく、まるで別の生き物へ姿を変えていくような不思議な一生を送ります。その姿は、自然が生み出した小さな奇跡と言えるでしょう。

「かもすい」のクラゲ解説コーナー(出典:サスタビ)
「かもすい」のクラゲ解説コーナー(出典:サスタビ)

一方で、クラゲは私たちの暮らしとも深く関わっています。夏の海では、強い毒を持つカツオノエボシなどに注意が必要です。また、日本海では巨大なエチゼンクラゲが大量発生し、漁網を破ったり漁獲物を傷つけたりするなど、漁業に大きな影響を及ぼしたこともありました。

その一方で、クラゲは古くから食文化にも取り入れられています。中華料理の前菜でおなじみのクラゲは、コリコリとした独特の食感が特徴で、淡白な味わいを楽しむ食材として親しまれています。

美しく、時に危険で、ときには食卓にも並ぶクラゲ。その知られざる生態を知ると、水族館でゆらめく姿も、これまでとは少し違って見えてくるかもしれません。

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「かもすい」が教えてくれること~一匹の命が未来を変えた~

「かもすい」が世界一のクラゲ水族館になった理由は、世界一を目指したからではありません。
存続の危機にあった小さな水族館で、一匹のクラゲの美しさに気づいた人がいました。そして、その小さな命の可能性を信じ、諦めることなく研究と挑戦を続けた人たちがいました。その積み重ねが、今では世界中から人々が訪れる水族館へとつながっています。

館内をゆっくり漂うクラゲを眺めていると、不思議と時間の流れが穏やかになります。何かを急ぐ必要もなく、ただ静かに命の営みを見つめるひとときは、忙しい毎日の中で忘れがちな心の余白を思い出させてくれるようです。

クラゲは、美しいだけではありません。不思議な生態を持ち、ときには海で暮らす人々を悩ませ、ときには食文化の一部として親しまれながら、何億年もの昔から地球の海を漂い続けてきました。

そんなクラゲの魅力を世界へ発信し続ける「かもすい」は、水族館であると同時に、命の不思議さや自然の奥深さを伝える場所でもあります。

もし山形・鶴岡を訪れる機会があれば、ぜひクラゲたちがゆらめく水槽の前で、少しだけ立ち止まってみてください。一匹の小さなクラゲから始まった物語は、きっと訪れた人それぞれの心の中で、新しい物語として静かに続いていくはずです。

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