プリップリの弾力。噛むほどに広がる濃厚な旨み。そして、黄金色に輝く脂――。福島・会津で今、“幻の鶏”と呼ばれる「会津地鶏」が注目を集めています。
鉄板で焼けば、皮は香ばしく、肉はジューシー。さらに、手羽先や砂肝、卵まで、一羽まるごと味わい尽くしたくなるほど魅力たっぷりの地鶏なのだとか。今回の『食彩の王国』では、そんな会津地鶏の美味しさの秘密に迫ります。けれど実は、会津地鶏はかつて絶滅寸前だった“幻の鶏”でした。
故郷・奥会津を元気にしたい――。そんな想いから立ち上がった生産者と、その味に惚れ込んだ料理人たち。そこには、18年にもわたって続く“食の絆”の物語がありました。なぜ会津地鶏は、これほどまでに料理人たちを惹きつけるのでしょうか? そして、“脂がうまい鶏”は、どのように復活を遂げたのでしょうか?
【放送日:2026年5月16日(土)9:30 -9:55・テレビ朝日】
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会津地鶏はなぜ“幻の鶏”になったのか?|消えかけた在来種の危機
今、“幻の鶏”とも呼ばれている会津地鶏。プリプリとした弾力のある肉質と、甘みのある脂が魅力の地鶏ですが、実はかつて絶滅寸前だった時代がありました。
会津地鶏のルーツは、古くから会津地方で飼われていた在来種にあります。もともとは観賞用として飼育されていた時代もあり、その独特の姿や力強さが親しまれていました。しかし時代が進むにつれ、鶏肉の世界でも“効率”が重視されるようになります。
短期間で大きく育つ鶏。均一に大量生産できる鶏――。そうした品種が主流になる中、成長に時間がかかる会津地鶏は次第に姿を消していきました。肉質がしっかりしている分、育てるには手間も時間もかかります。大量生産には向かず、生産者も減少。気づけば、“幻の鶏”と呼ばれるほど希少な存在になっていたのです。
けれど、その味を忘れられなかった人たちがいました。「この地鶏を、会津の宝として残したい」そんな想いが、会津地鶏復活への挑戦へ繋がっていったのです。
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なぜ奥会津で復活を目指したのか?|故郷を元気にしたい生産者の挑戦
会津地鶏の復活に挑んだのが、奥会津・三島町で「会津地鶏みしまや」を営む小平和広さんです。小平さんが目指したのは、単に“珍しい地鶏”を売ることではありませんでした。「会津の力になりたい」その想いが、挑戦の原点にあったのです。
奥会津は、豊かな自然に恵まれた地域です。けれどその一方で、人口減少や過疎化など、多くの地方と同じ課題も抱えています。
若い世代が減り、地域の産業も少しずつ元気を失っていく――。そんな故郷の姿を前に、「会津にしかない価値を残したい」と小平さんは考えたのでしょう。そこで目を向けたのが、消えかけていた会津地鶏でした。手間も時間もかかる地鶏です。大量生産には向きません。
それでも小平さんは、飼育から加工まで一貫して手がけながら、“本当に美味しい会津地鶏”を作り続けてきました。その品質は、次第に料理人たちの信頼を集めていきます。
けれど、そこへ辿り着くまでには、多くの苦労や試行錯誤があったはずです。
「効率」ではなく、「土地の味」を守る。
小平さんの挑戦は、会津地鶏を通して、故郷そのものを未来へ繋ごうとする挑戦でもあったのかもしれません。
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会津地鶏はなぜ“脂がうまい”のか?|プリプリ食感を生む飼育の秘密
会津地鶏の魅力として、多くの料理人が口にするのが、「脂の美味しさ」です。地鶏というと、“歯ごたえ”を思い浮かべる人も多いかもしれません。けれど会津地鶏は、プリプリとした弾力のある肉質に加えて、甘みのある脂がしっかり感じられるのが特徴なのです。
その美味しさを支えているのが、奥会津の自然環境と、時間をかけた飼育です。会津地鶏は、一般的なブロイラーよりも長い期間をかけて育てられます。さらに、自由に動き回れる環境で育つため、筋肉がしっかりつき、肉の旨みも濃くなっていきます。
雪深い会津の気候も、この味わいに影響しているのかもしれません。寒暖差のある土地で、じっくり育つことで、脂には自然な甘みが生まれていくのでしょう。だから会津地鶏は、“脂っこい”のではなく、“脂が美味しい”。
鉄板で焼けば、黄金色の脂がじゅわっと溢れ出し、香ばしさと濃厚な旨みが口いっぱいに広がります。さらに、モモ肉だけでなく、手羽先や砂肝にまで強い存在感があるのも特徴です。一羽まるごとに旨みが宿っている――。それが、多くの料理人を惹きつける会津地鶏の力なのかもしれません。
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会津地鶏はどう料理されているのか?|焼きカレーパンから極上フレンチまで
会津地鶏の魅力は、さまざまな料理の中でさらに引き出されていきます。地元・会津では、朝・昼・晩と“地鶏三昧”を楽しめるほど、多彩な料理に使われているのだとか。
まず印象的なのが、鉄板焼き。モモ肉を高温の鉄板で焼き上げることで、皮はパリッと香ばしく、肉はプリプリでジューシーに仕上がります。焼かれた脂の香りだけで、ご飯もお酒も進みそうです。さらに、手羽先や砂肝を使った料理も登場。会津地鶏は一羽まるごと旨みが強いため、部位ごとに異なる魅力が楽しめるのも特徴なのでしょう。
そして地元ならではの面白さが、会津地鶏を使った創作グルメです。焼きカレーパンには、地鶏と地元野菜がたっぷり。さらに、2日に1個ほどしか産まれないという貴重な卵を使った、濃厚でふわふわな料理も紹介されます。こうした料理からは、“会津地鶏を地元の誇りとして味わっている”空気が伝わってきます。
一方で、東京の一流ホテル「ホテルメトロポリタンエドモント」では、会津地鶏がフレンチの食材としても高く評価されています。岩崎均シェフが挑戦するのは、胸肉を使った冷製料理。火入れによってしっとりジューシーに仕上げる技術は、まさに一流シェフならではです。
ホテルメトロポリタンエドモント
地元の温かな料理にも、洗練されたフレンチにも応える――。それは会津地鶏そのものに、“素材としての深さ”があるからなのかもしれません。
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なぜ料理人は会津地鶏に惚れ込むのか?|18年続く“食の絆”
会津地鶏を支えてきたのは、生産者だけではありません。その味に惚れ込み、料理として世に送り出してきた料理人たちの存在も大きかったのでしょう。中でも象徴的なのが、「ホテルメトロポリタン エドモント」総料理長・岩崎均シェフとの18年にわたる絆です。
まだ会津地鶏の知名度が高くなかった頃、生産者の小平さんは手羽先や胸肉の在庫を抱え、悩んでいたといいます。そんな時に手を差し伸べたのが、岩崎シェフでした。一般的には扱いづらい部位も、「美味しい素材なら料理で生かせる」と信じ、会津地鶏を使い続けてきたのです。
今回番組で紹介される冷製フレンチや、18年ぶりに再現される思い出の料理からも、2人の信頼関係の深さが伝わってきます。けれど、会津地鶏のような在来種を守り続けることは、決して簡単ではありません。時間も手間もかかる。大量生産には向かない。効率だけを考えれば、もっと別の選択肢もあるはずです。
それでも料理人たちが会津地鶏を求め続けるのは、“この味でしか作れない料理”があるからなのでしょう。土地の風土。生産者の想い。そして料理人の技術――。そのすべてが重なって、会津地鶏という食文化は守られてきました。
『食彩の王国』が描いているのは、単なる高級食材ではありません。人と人の信頼によって受け継がれていく、“土地の味の物語”なのかもしれません。
