福岡県糸島市の甘夏農園と農家カフェと、三重県南伊勢町の養殖鯛を使った小さな食堂。
今回の「人生の楽園」は、愛する土地の魅力を伝えようと奮闘する二組の夫婦の物語です。航空機整備士から農家へ転身し、家族とともに糸島へ移住した若松さん夫妻。震災や病気を乗り越え、甘夏の美味しさと糸島の豊かな暮らしを発信しています。
一方、リアス海岸が美しい南伊勢町では、代々続く鯛養殖業を支えてきた大下さん夫妻が、長年の夢だった鯛料理の食堂を開きました。
どちらの夫婦にも共通しているのは、「わが町の宝をもっと知ってほしい」という強い想いです。甘夏の香りに包まれる糸島。鯛の恵みが息づく南伊勢町。地域の魅力を育て、人を笑顔にする二組の夫婦の歩みをたどります。
【放送日:2026年6月6日(土)18:00 -18:56・テレビ朝日】
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🍊 糸島で始まった第二の人生|甘夏農園と家族の移住物語
福岡県糸島市で甘夏を育てる「わかまつ農園」。その始まりは、農業経験のない一人の会社員が人生を見つめ直したことだった。
若松潤哉さんは、かつて航空機整備の仕事に携わっていた。責任の大きな仕事にやりがいを感じながらも、2011年の東日本大震災をきっかけに人生観が大きく変わる。
食料や電力が不足する様子を目の当たりにし、「自分たちで食べ物を作る暮らし」への思いが芽生えたのだ。さらにその後、脳腫瘍を患ったことで「明日が当たり前に来るとは限らない」と実感する。大きな病気を乗り越えた潤哉さんは、本当にやりたいことに挑戦しようと決意した。
そんな夫の思いに寄り添ったのが妻・由加利さんだった。夫妻は理想の土地を探し歩き、たどり着いたのが福岡県糸島市だった。
海と山に囲まれた豊かな自然。温暖な気候。そして人の温かさ。糸島の風景に魅せられた一家は移住を決断する。借り受けたのは荒れた柑橘農園だった。
草木が伸び放題だった畑を少しずつ整え、手をかけ、時間をかけながら再生していく。その努力の先に生まれたのが、甘酸っぱい香りと爽やかな味わいが魅力の甘夏だった。
移住後には三女と四女も誕生し、両親も福岡市から移り住んだ。家族が増え、暮らしが広がり、農園も育っていく。若松さん一家にとって糸島は、単なる移住先ではない。新しい人生を育てる場所になったのである。
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☕ 農家カフェ「りた」がつなぐ糸島の魅力
若松さん夫妻が営む「わかまつ農園」の魅力をより多くの人に伝える場所として誕生したのが、農家カフェ『お菓子と暮らしの物 りた』である。2021年にオープンしたこのカフェでは、農園で育てた甘夏を使ったスイーツや加工品が楽しめる。
しかし、この店は単なるカフェではない。訪れた人が糸島の魅力に触れ、ゆったりとした時間を過ごせる場所でもある。店名の「りた」は、仏教の言葉である「利他」に由来するとされる。自分のためだけでなく、誰かのために行動するという意味が込められている。
その名の通り、夫妻は甘夏を販売するだけでなく、訪れる人に糸島での暮らしや農業の楽しさを伝えてきた。甘夏の爽やかな香りが広がる店内。窓の向こうには糸島の豊かな自然。そこで味わうスイーツは、単なるデザートではなく、この土地の風景そのものを味わう体験なのかもしれない。
お菓子と暮らしの物 りた
- 福岡県糸島市福吉5丁目21−15
- TEL:092-326-6101
- 営業時間:9:00~16:00(土~月曜は10:00~16:00)
- 定休日:火・金曜
- URL:https://itoshima-olive.com/
さらに若松さん夫妻は加工品づくりや養蜂にも挑戦し、近年では宿泊できるドミトリー「りたの宿」も始めた。農園、カフェ、宿。そのすべてが「糸島の魅力を伝えたい」という思いでつながっている。
甘夏をきっかけに糸島を知り、糸島を好きになる。そんな出会いの場を、夫妻は少しずつ育て続けているのである。
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🐟 鯛の里・南伊勢町|養殖業を支えてきた夫婦の歩み
三重県南伊勢町は、リアス海岸が織りなす穏やかな海に囲まれた町である。中でも五ケ所湾に面した迫間浦は、古くから鯛の養殖が盛んな「鯛の里」として知られてきた。
この地で長年養殖業を支えてきたのが、大下清美さんと弘和さん夫妻である。清美さんは大阪府生まれ。結婚を機に南伊勢町へ移り住み、養殖業を営む夫の家業を手伝うようになった。しかし、海の仕事は決して楽なものではなかった。慣れない作業に苦労しながらも、子育てをし、家業を支え、夫婦二人三脚で歩み続けてきた。
ところが時代の流れとともに、養殖鯛の価値は少しずつ下がっていく。そんな現実を前に、夫妻は自分たちで新たな販路を切り開こうと、西京漬け作りにも挑戦した。百貨店などで販売する中で清美さんが驚いたのは、「南伊勢町が鯛の町であることを知らない人が多い」という事実だった。
美味しい鯛がある。長年培ってきた技術もある。それなのに、その魅力が十分に伝わっていない。その悔しさが、やがて一つの夢へと変わっていく。
「いつか、自分で鯛料理の店を開きたい」
しかし、その夢の前に大きな試練が待っていた。2011年の東日本大震災である。三重県でも津波の影響により、生け簀は大きな被害を受けた。廃業も頭をよぎるほどの苦境だったが、夫妻は諦めなかった。借金をして生け簀を再建し、稚魚を育て、時にはアルバイトをしながら家業を守り続けた。
海とともに生きる。鯛を育てる。そして南伊勢の魅力を未来へつなぐ。その思いが、大下さん夫妻を支え続けてきたのである。
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🍽️ 寶鯛の食堂 日々|夢だった鯛づくし食堂
長年温め続けてきた夢が形になったのは、わずか3年前のことだった。清美さんは自宅の一角を改装し、完全予約制の食堂『寶鯛の食堂 日々』をオープンさせた。店内は8席だけ。決して大きな店ではない。しかし、その小さな空間には、長年鯛と向き合ってきた夫婦の思いがぎっしり詰まっている。
この店最大の魅力は、朝に生け簀から水揚げされたばかりの養殖鯛を味わえることだ。夫・弘和さんが丹精込めて育てた鯛を、清美さんがさまざまな料理へと仕立てる。刺身。焼き物。和え物。西京漬け。その日ごとの工夫を凝らした鯛料理が並ぶ「寶鯛定食」は、多くの人を魅了している。
特別な高級魚ではない。しかし、鯛を知り尽くした夫婦だからこそ引き出せる美味しさがある。そして料理とともに伝えたいのは、南伊勢町そのものの魅力だ。
寶鯛の食堂 日々
- 三重県度会郡南伊勢町迫間浦1188−19
- TEL:090-7850-7557
- 営業時間:11:00~17:00
- 営業日:土・日曜
- URL:https://nichinichi.base.ec/
リアス海岸が育む穏やかな海。養殖業を支える人々の暮らし。この町で育った鯛の美味しさ。料理を通して、それらを丸ごと味わってほしいという願いが込められている。かつて夢だった小さな食堂は今、多くの人に南伊勢町の宝を伝える場所になっているのである。
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💕 わが町の宝を未来へ|地域の魅力を伝える二組の夫婦
福岡県糸島市の若松さん夫妻。三重県南伊勢町の大下さん夫妻。
それぞれ歩んできた道のりは異なるが、二組には共通する思いがある。それは、自分たちが暮らす町の魅力をもっと多くの人に知ってほしいという願いだ。
若松さん夫妻は、甘夏農園や農家カフェを通じて糸島の豊かな自然や暮らしの魅力を伝えている。大下さん夫妻は、養殖鯛と食堂を通じて南伊勢町の海の恵みと人の温かさを届けている。どちらも単に商品を売っているわけではない。その土地で育まれてきた風景や文化、人とのつながりを未来へ受け継ごうとしているのである。
人生には思いがけない出来事がある。震災や病気、経営の苦労など、二組の夫婦も決して平坦な道ばかりを歩いてきたわけではなかった。それでも支え合いながら前を向き、自分たちの信じる道を歩き続けてきた。だからこそ、甘夏の甘酸っぱい香りにも、鯛料理の美味しさにも、単なる味覚を超えた温もりが感じられるのだろう。
わが町の宝を届けたい。その思いから生まれた小さな挑戦は、訪れる人々を笑顔にし、地域の未来を少しずつ明るく照らしている。二組の夫婦が紡ぐ物語は、これからも多くの人の心に温かな余韻を残していくに違いない。

