江戸前海苔の新ブランド誕生!とろける“江戸前ちば海苔”に挑む漁師夫婦の物語|食彩の王国

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東京湾で育つ海苔は、かつて「浅草海苔」と呼ばれ、江戸の食文化を支えてきました。いまその伝統を受け継ぎながら、新しいブランドとして注目されているのが「江戸前ちば海苔」です。

舞台は千葉県市川市。夜明け前の海で海苔を摘み取る漁師と、それを丁寧に板海苔へと仕上げる妻。夫婦二人三脚で生み出された新品種は、濃厚な旨みととろけるような口どけが特徴です。

町中華のラーメンを彩る一枚の海苔、家庭の食卓を支える佃煮、そしてホテルシェフが挑む新作フレンチへ――。
東京湾の海で育まれた海苔は、いま新たな食の物語を紡ぎ始めています。この記事では、「食彩の王国」で紹介される江戸前ちば海苔の魅力と、漁師夫婦の挑戦をたどります。

【放送日:2026年3月14日(土)9:30 -9:55・テレビ朝日】

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江戸前海苔とは?浅草海苔から続く東京湾の海苔文化

冬の海辺では、岩場に生える海苔を摘み取る光景が昔から見られます。伊豆などでは今でも解禁日になると、人々が潮の引いた岩場に集まり、手際よく海苔を摘み取っていきます。こうした天然の海苔採りは古くから行われてきた、日本の冬の風物詩でもあります。

海苔が文献に登場するのは古く、奈良時代にはすでに貴重な海産物として扱われていました。ただ当時の海苔は、岩や杭に自然に生えたものを採る「天然採取」が中心。現在のように海の上で育てる養殖が広がったのは、江戸時代になってからです。

江戸湾では、海に立てた杭や竹に海苔が付着してよく育つことが知られるようになり、やがて海の上に網や杭を並べて海苔を育てる養殖が発展しました。さらに、細かく刻んだ海苔を水に溶かして簀(す)に流し、紙のように乾かす製法が生まれます。こうして現在の「板海苔」の形が作られるようになりました。

江戸で売られていた海苔は、主に浅草の問屋を通して流通していたため、「浅草海苔」と呼ばれるようになります。実際の産地は江戸湾沿岸でしたが、この名前はやがて江戸前海苔の代名詞として広く知られるようになりました。

江戸の町では、寿司やおにぎり、そばなどに海苔が使われるようになり、海苔は江戸前の食文化に欠かせない存在となっていきます。
そしてその伝統は、現在の東京湾にも受け継がれています。いま、東京湾の海苔の多くを生産しているのは千葉県。そこで新たなブランドとして生まれたのが「江戸前ちば海苔」です。

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千葉が海苔王国になった理由

現在、東京湾で生産される養殖海苔の多くは千葉県側で育てられています。実に東京湾の海苔生産の9割以上が千葉県という、まさに“海苔王国”ともいえる地域です。

その理由の一つが、東京湾東岸の海の環境です。市川や木更津、富津といった沿岸には遠浅の干潟が広がり、海苔の養殖に適した穏やかな海が続いています。特に船橋から市川にかけての三番瀬は、潮の流れがよく栄養分も豊かな海域として知られ、昔から海苔漁が盛んな場所でした。

さらに、東京湾の海苔漁は時代の変化の中で産地が移動してきた歴史があります。かつて江戸湾の海苔といえば東京側の海も重要な産地でしたが、高度成長期の埋め立てや水質悪化によって漁場は大きく減少しました。その一方で、比較的自然の海が残っていた千葉県側では海苔養殖が受け継がれ、現在では東京湾の中心的な産地となっています。

こうして守られてきた東京湾の海苔文化から生まれた新しいブランドが「江戸前ちば海苔」です。江戸前の伝統を受け継ぎながら、千葉の海で育った海苔は、いま再び多くの人に注目され始めています。

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千葉の漁師夫婦の繊細な海苔づくりとは?

「江戸前ちば海苔」を支える現場では、まだ夜の気配が残る早朝から仕事が始まります。
千葉県市川市で海苔漁を営む秋本久さんが海へ出るのは、朝5時半。冬の冷たい海風の中、海苔網から摘み取られる生海苔は、わずか2時間ほどで約500キロにもなります。しかし、海苔づくりはここからが本当の勝負です。

収穫した生海苔はすぐに加工場へ運ばれ、細かく刻まれて水と混ぜられます。これを簀(す)の上に流し、紙を漉くように均一な薄さに広げて乾燥させることで、私たちがよく知る「板海苔」が生まれます。この工程を担当するのが、妻の美千代さん。

板海苔の品質は厚さや密度によって大きく変わるため、仕上がりの重さは0.1グラム単位で調整されます。ほんのわずかな違いが、焼き上げたときの香りや口どけを左右するからです。

夫が海で海苔を育て、妻がそれを一枚の板海苔へと仕上げる。こうした夫婦二人三脚の仕事が、江戸前の海苔の味を支えてきました。そして秋本さんは5年前から、新しい海苔づくりにも挑戦しています。それが、濃厚な旨みととろけるような柔らかさを持つ新品種の海苔――「江戸前ちば海苔」です。

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とろける新品種「江戸前ちば海苔」の秘密

「江戸前ちば海苔」の中でも注目を集めているのが、秋本さんが5年前から育てている新品種の海苔です。この海苔の特徴は、なんといっても濃厚な旨みととろけるような柔らかさ。焼き海苔にすると、口に入れた瞬間にふわりとほどけ、海の香りが広がります。

江戸前ちば海苔(出典:豊洲市場ドットコム)
江戸前ちば海苔(出典:豊洲市場ドットコム

海苔の味や食感は、海の環境だけでなく品種によっても大きく変わります。
より柔らかく、香りがよく、旨みが強い海苔を作りたい――そんな思いから、秋本さんは試行錯誤を重ねながら新品種の栽培に挑戦してきました。

しかし、新しい海苔づくりは決して簡単なものではありません。
海水温や栄養の状態、天候など、わずかな条件の違いが海苔の育ち方に影響するため、思うような品質が出ない年もありました。それでも改良を重ねた結果、この新品種は千葉県知事賞を受賞するほど高い評価を得るようになります。

こうして誕生したのが、江戸前の伝統と新しい挑戦が生み出した「江戸前ちば海苔」。
香ばしく焼き上げれば、パリッとした食感のあとにやさしく溶ける口どけが楽しめます。

この海苔の魅力は、寿司やおにぎりだけではありません。
その豊かな風味は、思いもよらない料理の世界へと広がっていきます。

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海苔がフレンチに?ホテルシェフの新作料理

江戸前ちば海苔の新しい魅力に注目したのが、千葉市の ホテルニューオータニ幕張 の総料理長、小出裕之シェフです。

地元の食材をもっと知ってもらいたい――。そんな思いから、朝食ビュッフェではすでに「江戸前ちば海苔」を使ったおにぎりを提供してきました。そこで今回、新品種の海苔を使った新しい料理に挑戦することになります。

秋本さんの海苔を初めて口にしたシェフが驚いたのは、その柔らかな口どけと豊かな香り。この個性を生かすため、板海苔や焼き海苔だけでなく、生海苔も含めてさまざまな形で料理に取り入れることを考えました。試作された料理はどれも意外性に満ちています。

淡い甘みのある仔羊の肉に海苔の香りを重ねた一皿。さらに、海苔とホワイトチョコレートという大胆な組み合わせまで登場します。

和食のイメージが強い海苔ですが、その旨味と香りは料理のジャンルを超えて広がる可能性を秘めています。江戸前の海から生まれた一枚の海苔が、フレンチという新しい世界へと踏み出そうとしているのです。

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「食彩の王国」『江戸前ちば海苔』の見どころ

今回の「食彩の王国」では、江戸前の海で受け継がれてきた海苔文化と、新しい挑戦が紹介されます。

まず登場するのは、市川市で長く愛されてきた町中華。ラーメンの上にたっぷりとのった海苔が香りを添え、地元の人々に親しまれてきた一杯です。さらに、家庭で楽しめる海苔の佃煮を使った料理など、海苔が身近な食材として活躍する姿も紹介されます。

のりネギチャーシュー麺(出典:Googleマップ)
のりネギチャーシュー麺(出典:Googleマップ)

扶養亭

番組の中心となるのは、早朝の海で海苔を収穫する漁師と、それを板海苔へ仕上げる妻の仕事。収穫から加工まで、夫婦二人三脚で続けられる繊細な海苔づくりの現場に密着します。

加藤海苔店

そしてもう一つの見どころが、新品種の「江戸前ちば海苔」を使った新しい料理。ホテルニューオータニ幕張のシェフが、海苔の香りと旨味を生かしたフレンチ料理に挑戦します。仔羊やチョコレートなど、意外な食材と海苔を組み合わせた斬新なメニューが誕生します。

ホテルニューオータニ幕張

江戸の食文化を支えてきた海苔が、いま新しい料理の世界へと広がっていく――。海と人の仕事が生み出す一枚の海苔の魅力を、さまざまな角度から楽しめる内容になっています。

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まとめ|江戸前の海が育てた一枚の海苔

江戸の時代、東京湾で育てられた海苔は「浅草海苔」と呼ばれ、寿司やおにぎりなど江戸の食文化を支えてきました。その伝統は時代を越え、いまも東京湾の海で受け継がれています。

現在、東京湾の海苔づくりの中心となっているのは千葉県の沿岸。遠浅の海と豊かな干潟に恵まれた海で、漁師たちは冬の海に向き合いながら海苔を育て続けています。夫婦二人三脚で作り上げる繊細な海苔づくり、そして濃厚な旨みととろける口どけを持つ新品種「江戸前ちば海苔」。

江戸前の海で生まれた一枚の海苔は、町中華のラーメンや家庭の食卓だけでなく、フレンチの新しい料理へと広がり始めています。

黒く薄い一枚の海苔の中には、海と人が積み重ねてきた長い時間が詰まっています。東京湾の海が育てたその味は、これからも新しい食の物語を紡いでいくのかもしれません。

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