そのお鼻、もう上手に使える?|すくすく成長中!アジアゾウの赤ちゃん「タワ」ちゃん【あさイチ】

タワちゃん BLOG
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久しぶりにまどかです。こんにちは!
地面に置かれた一本のバナナ。その前で、小さなゾウが長い鼻をそーっと伸ばしています。つかめるかな?ちゃんと口まで運べるかな?見ているこちらまで、思わず応援したくなってしまいます。

(出典:NHK福岡放送局)
(出典:NHK福岡放送局)

NHK『あさイチ』の中継で訪れるのは、大分県宇佐市にある九州自然動物公園「アフリカンサファリ」。ここで2025年12月19日に生まれたのが、アジアゾウの女の子「タワ」ちゃんです。生まれたときの体重は128キロ。

人間なら「赤ちゃん」と呼ぶのをためらいそうな大きさですが(笑)、お母さんの母乳を飲んですくすく成長し、半年ほどで280キロほどになりました。

そして体が大きくなるのと一緒に、少しずつ上手になってきたことがあります。それが、ゾウの鼻の使い方です。ゾウは生まれたときから長い鼻を持っていますが、最初から大人のように自由自在に操れるわけではありません。

お母さんの姿をまねしながら、鼻を伸ばす。食べ物に触れる。つかんでみる。そして、口へ運ぶ。タワちゃんも、そんな練習を重ねながら、バナナなどのエサを自分で食べられるようになってきました。

でも、せっかくゾウの赤ちゃんに会えるのなら、ちょっとだけゾウのことも知りたくなりませんか?タワちゃんはアジアゾウ。では、アフリカにいるゾウとは何が違うのでしょう?野生のアジアゾウは、いったいどんなところで暮らしているのでしょう。

そして、日本でアジアゾウの赤ちゃんが生まれることが「珍しい」といわれるのは、なぜなのでしょうか?今回は、バナナを一生懸命つかもうとするタワちゃんの小さな鼻から、ゾウたちの世界をちょっとだけのぞいてみましょう。難しいことを考えるのは、そのあとで。まずは――。タワちゃん、そのバナナ、上手にお口まで運べるかな?🐘🍌

【放送日:2026年9月17日(木)8:15 -9:55・NHK-総合】

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すくすく成長中!「タワ」ちゃんってどんな子?

2025年12月19日、大分県宇佐市の九州自然動物公園「アフリカンサファリ」で、一頭のアジアゾウの赤ちゃんが誕生しました。名前は「タワ」ちゃん。女の子です。

生まれたときの体重は、なんと128キロ。「赤ちゃん」と聞いて抱っこできそうな姿を想像してはいけません(笑)。人間の大人よりずっと重い128キロから始まったタワちゃんですが、お母さんの母乳をたっぷり飲んで、半年ほどで約280キロまで成長しました。半年で、ほぼ倍です。

そんなタワちゃんにとって、体が大きくなることと同じくらい大切なのが、少しずつ「ゾウらしいこと」ができるようになることです。その一つが、長い鼻を使うこと。

ゾウの鼻は、人間でいえば手のような役割も果たします。匂いを嗅ぐだけではなく、物に触れたり、食べ物をつかんだり、水を吸い上げて口へ運んだり。大人のゾウを見ていると当たり前のように使っていますが、赤ちゃんゾウが最初から何でも器用にできるわけではありません。

タワちゃんも、お母さんの行動をまねしながら練習中。鼻を伸ばして――。バナナに触って――。つかんで――。お口へ、ぱくっ。🍌🐘

そうそう。鼻で食べるんじゃありません。口まで運ぶんです。まどかもさっき間違えました(笑)。最近では宿舎の外へ出たり、お客さんからエサを受け取ったりする練習も始まっています。

『あさイチ』の中継では、そんなトレーニングの成果を見せてもらう予定です。とはいえ、相手はまだ赤ちゃんゾウ。NHKも「動物が相手です。何が起きるかわかりません!」と言っています。

ちゃんとバナナを受け取ってくれるのか。途中で別のものが気になってしまうのか。それとも――。写真の後ろでタワちゃんを見守っているお母さんが、「ところで、私のバナナは?」と鼻を伸ばしてくるのかもしれません(笑)。

でも、そんな予想どおりにいかない姿も含めて、タワちゃんが今まさに成長している証なのでしょう。生まれたばかりのころは、お母さんのそばで母乳を飲んでいた小さなゾウが、自分の鼻を使って食べ物を受け取ろうとしている。128キロだった体は280キロほどになり、鼻も伸び、できることも少しずつ増えていく。

「大きくなる」だけではなく、「自分でできることが増えていく」。それが、タワちゃんの「すくすく成長中!」なのかもしれません。

……ところで。ここまで何度も「鼻を使う」と書いてきましたが、考えてみると不思議です。私たちは手なら、物をつかむところを自分の目で見ながら練習できます。

でもゾウの鼻は、とても長い。しかも曲げる、伸ばす、巻きつける、つまむ、水を吸う――いろいろな動きを一本でこなします。赤ちゃんゾウって、あんなに長い鼻をどうやって上手に使えるようになるのでしょう?

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ゾウの赤ちゃんは、どうやって鼻の使い方を覚える?

バナナを鼻でつかんで、くるりと曲げて口へ運ぶ。大人のゾウがやっているところを見ると、とても簡単そうです。でも、もし私たちの鼻が突然1メートル以上も伸びて、しかも「今日からこれで物をつかんでください」と言われたら――。

たぶん、バナナどころではありません(笑)。ゾウの鼻は、私たちが思っている以上に複雑な器官です。そもそも、あの長い鼻の中には骨がありません。

ゾウの鼻は、鼻と上唇が一体となって長く発達したもの。骨や関節で曲げるのではなく、たくさんの筋肉を組み合わせることで、上下左右へ曲げたり、伸ばしたり、縮めたり、ねじったりできます。

仕組みとしては、人間の舌やタコの腕にも似た「筋肉そのものによって形を変える」構造です。だからゾウは、太い木の枝を持ち上げるような力仕事から、小さな食べ物をつまむような繊細な動きまで、一本の鼻でこなせます。

さらに鼻は「手」だけでもありません。匂いを嗅ぐのはもちろん、物に触れて確かめる。食べ物を口へ運ぶ。水を吸い上げて口へ送る。仲間に触れる。ときには土や水を体へかける。鼻で食べているわけではないけれど(笑)、ゾウの暮らしには欠かせない万能道具なのです。

では、赤ちゃんゾウも生まれた瞬間から、この高性能な鼻を自由自在に操れるのでしょうか?そうではありません。赤ちゃんゾウは、生まれたときから鼻を動かすことはできますが、大人のような細かな使い方は、成長しながら身につけていきます。

最初のころは、鼻をうまく扱えずにぶらぶらさせたり、食べ物をつかもうとして失敗したり。そうした経験を繰り返しながら、自分の鼻をどう動かせば目的のものに届くのかを覚えていきます。

そして、そこにはお母さんや周囲のゾウの存在もあります。タワちゃんが、お母さんが食べる様子をまねして鼻を伸ばしているというのも、ただのかわいい仕草ではないのでしょう。

見る。触る。失敗する。またやってみる。少しずつ鼻と体の動きを覚えていく。そう考えると、タワちゃんがバナナを一本受け取って口まで運べることも、私たちには何気ない一瞬に見えて、本人にとっては立派な成長なのかもしれません。人間の赤ちゃんが「寝返りをうった!」「立った!」にも似ています(笑)

「タワちゃん、バナナ食べられた!かわいい~!」で終わっても、もちろんかわいい(笑)。でも、その鼻の中では骨の代わりに無数の筋肉が働き、タワちゃん自身も毎日少しずつ、その使い方を覚えている。そう知ってから見ると、一本のバナナをつかむ姿まで、ちょっと違って見えてきませんか?

そして、タワちゃんの鼻をよく見ていると、もう一つ気になることがあります。ゾウなら、みんな同じ鼻なのでしょうか。タワちゃんはアジアゾウです。一方、私たちが「ゾウ」と聞いて思い浮かべる大きな耳のゾウは、アフリカに暮らすゾウかもしれません。

耳の大きさも違う。体つきも違う。そして実は、鼻の先にも違いがあります。さて――。アジアゾウとアフリカのゾウ、どこを見れば見分けられるのでしょう?🐘

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アジアゾウとアフリカのゾウ、どこが違う?

タワちゃんは「アフリカンサファリ」で暮らしています。でも、タワちゃん自身はアジアゾウです。……名前だけ聞くと、ちょっとややこしいですね(笑)。では、アジアゾウとアフリカに暮らすゾウは、どこが違うのでしょう。

いちばん分かりやすいのは、やっぱり耳です。アフリカのゾウは、とても大きな耳を持っています。一方、アジアゾウの耳は、それと比べると小さめ。ゾウの耳にはたくさんの血管が通っていて、大きな耳を動かすことは体から熱を逃がすことにも役立っています。

そして、体の大きさ。一般にアジアゾウよりもアフリカのゾウのほうが大型です。アジアゾウの頭には二つの盛り上がりがあり、背中の形などにも違いがあります。

牙にも違いがあります。アフリカのゾウでは一般にオスにもメスにも牙が見られますが、アジアゾウで大きく目立つ牙を持つのは主に一部のオス。タワちゃんは女の子なので、大人になっても将来、アフリカのゾウのような立派な長い牙が生えてくるわけではありません。

そして――。さっきから私たちが気にしている鼻です。実は、ここにも違いがあります。ゾウの鼻先をよーく見ると、食べ物などをつまむための小さな突起があります。まるで、人間の指のような部分です。アジアゾウは、1本。☝️アフリカのゾウは、2本。✌️なのです。

だからタワちゃんがバナナをつかもうとしているところをよく見れば、その鼻先にはアジアゾウならではの「一本の指」があるはずです。ただし、ゾウの鼻は人間の手とまったく同じ使い方をするわけではありません。

アジアゾウは鼻先の突起だけでつまむほか、食べ物を鼻先で巻き込んだり、包み込むように持ったりすることもできます。一本しかないから不器用、ということではないのです。タワちゃん、その一本でバナナと格闘していたのか……。そう思うと、ますます応援したくなってしまいます(笑)。

ところで、「アフリカゾウ」とひとまとめに書いてきましたが、ここでもう一つ。現在、ゾウの仲間は大きく3種に分けられています。アジアに暮らす「アジアゾウ」。アフリカの草原などに暮らす「アフリカサバンナゾウ」。そしてアフリカの森林を中心に暮らす「アフリカマルミミゾウ」。

つまり、ゾウさんは「アジアゾウ vs アフリカゾウ」の2種類だけではないのです。タワちゃんを見ているだけだったのに、耳を見て、牙を見て、ついには鼻先まで見てしまいました。でも、こうして違いを知ると、動物園でゾウに会ったときの見方も少し変わります。

「あ、耳が小さい」「頭が丸い」「鼻先の指が一つだ」そんなところから、「この子は、どんな場所で暮らしてきたゾウなんだろう?」という次の疑問が出てきます。ではタワちゃんと同じアジアゾウは、野生ではどこにいるのでしょう。

日本からそう遠くない国にも暮らしています。そう。まどかがかつてゾウさんの背中に乗り、最後にバナナを渡したタイも、野生のアジアゾウが暮らす国の一つです。🐘🍌

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タワちゃんは、いつまで「子ども」なの?

生まれたときは128キロ。半年ほどで280キロ。鼻を使ってバナナなどの食べ物も口へ運べるようになってきたタワちゃん。この調子で大きくなっていったら、いったいいつまで「子ども」なのでしょう?

人間なら、日本では18歳になれば法律上は成人です。ではゾウにも、「今日からあなたは大人です!」という日はあるのでしょうか。

もちろん、そんな成人式はありません(笑)。ゾウの場合は、体の成長、性成熟、母乳からの離乳、そして群れの中での立場など、いくつもの段階を長い時間をかけて進んでいきます。アジアゾウが性成熟を迎えるのは、およそ8~13歳ごろとされています。いわゆる人間の女子の「初潮」のようなものでしょうか?

でも、それまでずっと何もできない「赤ちゃん」というわけではありません。タワちゃんが今まさにやっているように、少しずつ植物などの食べ物を口にするようになり、鼻の使い方を覚え、周りのゾウを見ながら生活の仕方を学んでいきます。

つまり、赤ちゃん→子ども→ある日突然大人!ではなく、できることを少しずつ増やしながら、何年もかけて大人のゾウになっていくのです。それは人間と同じような感じですね。

そして面白いのが、大人になったあとの暮らし方です。アジアゾウの社会では、血縁関係のあるメスとその子どもたちを中心とした群れがつくられます。オスは成長すると、生まれ育った群れから徐々に離れ、一頭で行動したり、ほかのオスと緩やかな関係を持ったりするようになります。

でも、タワちゃんは女の子。メスは成長しても、生まれた家族の群れにとどまるのが基本です。ということは――。タワちゃんは大人になっても、「はい、今日から独り立ち。お母さん、さようなら!」ではないのです。

お母さんやほかのメスたちと一緒に暮らしながら、いつか自分より小さなゾウの面倒を見る側になるかもしれません。

やがて自分が母親になることもあるでしょう。そして、その子どもが鼻の使い方を覚えるところを、今度はタワちゃんがそばで見守るのかもしれません。そう考えると、今、お母さんのまねをしてバナナをつかもうとしている姿も、なんだか少し違って見えてきます。

ゾウは、とても長く生きる動物です。野生のアジアゾウについて正確な「平均寿命」を出すことは簡単ではありませんが、一般には50歳前後からそれ以上まで生きることのある動物です。飼育下では70歳を超えて生きた例もあります。

2025年に生まれたタワちゃんにとって、今はまだ人生(ゾウ生?)のほんの入り口。これから何年もかけて鼻の使い方を上達させ、体も大きくなり、ほかのゾウとの付き合い方を覚えていきます。だから、「すくすく成長中!」というのは、体重が128キロから280キロになったことだけではないのでしょう。

バナナをつかめた。知らない場所へ出られた。人から食べ物を受け取れた。お母さんの行動を一つまねできた。そんな小さな「できた」を、これから何年も積み重ねていく。ゾウの子ども時代は、大人になるための長い練習時間なのかもしれません。

そして、タワちゃんにはこれから何十年という時間があります。では、その長い時間を野生で生きるアジアゾウたちは、いったいどんな場所で暮らしているのでしょう。

インドから東南アジアへ。森の中を歩き、食べ物や水を探しながら、家族とともに暮らすゾウたち。ところが今、その暮らす場所そのものが少しずつ失われています。タワちゃんと同じアジアゾウは、野生ではどんな毎日を送っているのでしょう。

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野生のアジアゾウは、どこで暮らしている?

タワちゃんは、大分県宇佐市のアフリカンサファリで、お母さんに見守られながら育っています。では、タワちゃんと同じアジアゾウたちは、野生ではどこで暮らしているのでしょう。

名前のとおり、その故郷はアジア。現在、野生のアジアゾウは南アジアから東南アジアにかけて13か国に分布しています。インドやスリランカ、ネパール、ブータン。そしてミャンマー、タイ、ラオス、カンボジア、マレーシア、インドネシアなど。

かつてはもっと広い地域に暮らしていましたが、現在の生息地はところどころに分断されています。だから――。タイでゾウの背中に乗ったことがあるという「まどか」の昔話も、まったく不思議ではないわけです。……はい。

ここ重要です(笑)。そのとき、ゾウ使いの人はゾウの横を歩いていました。大きなゾウの背中に乗っているのに、不思議と怖かった記憶はありません。そして最後に渡したのが、バナナ。鼻を伸ばして受け取って、おいしそうに食べてくれました。

今タワちゃんが一生懸命練習していることを、その大人のゾウは当たり前のようにやっていたんですね。あのゾウにも、バナナをうまくつかめなかった子どものころがあったのかな。そう考えると、ずいぶん昔の景色と今のタワちゃんが、一本のバナナでつながったような気がします。

野生のアジアゾウというと、深いジャングルの奥だけで暮らしているようなイメージがあります。でも実際には森林だけでなく、草地が入り交じる場所など、さまざまな環境を利用します。そして、とても大切なのが食べ物と水です。

巨大な体を維持するためには大量の植物を食べなければなりません。そのため野生のゾウは、一か所にじっとしているのではなく、食べ物や水を求めながら広い範囲を移動します。

ところが、ここで困ったことが起こります。今までゾウが歩いていた場所に、道路ができる。畑ができる。町が広がる。森が分断される。ゾウからすれば、いつものように食べ物を探して歩いているだけなのに、その先が人間の畑になっていることもあります。

そして畑には――。ゾウにとっても魅力的な食べ物がある。でもゾウに畑の作物を食べられれば、人間にとっては生活にかかわる大きな被害です。そんなこんなで追い払われたり、傷つけられたり、ときには命を落としたりするゾウもいます。

現在、アジアゾウにとって大きな脅威となっているのが、こうした生息地の減少や分断、そして人間との衝突です。アジアゾウは現在、絶滅の危機にある動物です。野生で暮らしている数を正確に把握すること自体が難しいのですが、スミソニアン国立動物園は現在の野生個体数を3万~5万頭程度としています。

3万~5万頭。数字だけを見ても、なかなか実感できません。でも、タワちゃんを一頭知ったあとなら、少し違って感じられます。お母さんのそばを離れない子がいる。鼻の使い方を練習している子がいる。バナナをうまくつかめない子もいる。そして、その子を守りながら暮らしている家族がいる。

野生にも、そんな一頭一頭の暮らしがあります。だから「アジアゾウが減っています」という話は、単に動物の数が減っているというだけではないのでしょう。ゾウの家族が暮らし続けられる場所が、少なくなっている。そう考えたほうが、タワちゃんを見てきた私たちには分かりやすいのかもしれません。

そして――。ここまで来ると、最初に聞いた『あさイチ』の言葉が気になってきます。「アジアゾウの赤ちゃんが日本で誕生するのは、とても珍しい」野生でも絶滅の危機にあり、一頭の子どもを長い時間をかけて育てるゾウ。ならば、日本の動物園で一頭の赤ちゃんが生まれることにも、単なる「かわいいニュース」ではない意味がありそうです。

タワちゃんが生まれたことは、いったいどれくらい珍しいのでしょう。そして動物園は、絶滅危惧種であるゾウを「飼う場所」から、どんな役割を担う場所へ変わっているのでしょう。

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タワちゃんが生まれたことは、なぜ「珍しい」の?

2025年12月19日。体重128キロで生まれた、タワちゃん。
今では280キロほどまで大きくなり、鼻を伸ばしてバナナを受け取る練習までしています。そんな姿を見ていると、「元気に大きくなったね」と、つい半年ほどの成長に目が向きます。でも、タワちゃんがお母さんのおなかの中にいた時間までさかのぼってみると――。

驚きます。アジアゾウの妊娠期間は、およそ18~22か月。人間の倍以上です。ゾウは陸上最大級の動物とはいえ、お母さん、ほぼ2年間も妊娠しているのです。しかも、一度の出産で生まれるのは通常1頭。双子が生まれることもありますが、珍しいケースです。

さらに、一頭を産んだらすぐ次の子を妊娠できるわけでもありません。野生のアジアゾウでは、出産から次の出産までの間隔は平均して3~8年ほどとされています。つまりゾウは、妊娠して、約2年かけておなかの中で育て、出産して、母乳を与え、何年もかけて子どもを育てる。とてもゆっくりと世代をつないでいく動物なのです。

だから、数が減ったからといって、「じゃあ、たくさん赤ちゃんを産んでもらえばいい」とはいきません。まして動物園で繁殖させるとなれば、さらに難しい問題があります。オスとメスがいれば、それだけで赤ちゃんが生まれるわけではありません。

繁殖できる年齢や健康状態、相性、発情や排卵のタイミング、遺伝的な組み合わせ。そして、妊娠したとしても約2年間にわたって母親と胎児の状態を見守り、無事に出産を迎えなければなりません。ゾウの人工授精についても研究されていますが、適切なタイミングを見極めるためにホルモンを調べるなど、高度な繁殖管理が必要になります。

考えてみれば、気の長い話です。「赤ちゃんができました!」となってから、「では、再来年ごろに会いましょう」なのですから(笑)。しかも、無事に生まれることが約束されているわけではありません。だから日本に限らず、動物園でアジアゾウの赤ちゃんが誕生することは、大きな出来事になります。

実際、アメリカのスミソニアン国立動物園では2026年2月、約25年ぶりにアジアゾウの赤ちゃんが誕生しました。その母親が交尾したのは2024年4月。そして赤ちゃんが生まれたのは2026年2月。妊娠期間は21か月でした。一頭のゾウが生まれるまでには、本当に長い時間が流れているのです。

そう考えてから、もう一度タワちゃんを見てみます。お母さんのおなかの下にすっぽり入って、鼻をぶらぶらさせて、バナナを見つけたら、「それ、ください🐘」とばかりに鼻を伸ばす。私たちが見ているのは、たった数分の『あさイチ』の中継です。

(出典:NHK福岡放送局)
(出典:NHK福岡放送局)

でも、その数分の画面に登場するまでに、タワちゃんにはお母さんのおなかの中で過ごした長い時間がありました。そして生まれてからも、お母さんの母乳を飲み、鼻の使い方を覚え、少しずつ外の世界へ出る練習をしてきました。

「アジアゾウの赤ちゃんが生まれました」
たった一行なら、それだけのニュースです。でも、その一頭が生まれるまでに約2年。次の世代へ命をつなぐには、さらに何年もの時間がかかります。しかも野生のアジアゾウは、現在も絶滅の危機にあります。だからタワちゃんの誕生は、「赤ちゃんのゾウさん、かわいい!🐘」だけでは終わらないのでしょう。

もちろん――。かわいいものは、かわいいんですけどね(笑)。🐘💕むしろ、かわいいから見てしまう。見ているうちに名前を覚える。「アジアゾウなんだ」と知る。鼻の使い方を知る。野生の仲間がどこで暮らしているのかも知る。そして、その動物が絶滅の危機にあることまで知ってしまう。

もしかすると、動物園で一頭の赤ちゃんが生まれる意味は、そこにもあるのかもしれません。タワちゃんを入口にして、私たちは野生のアジアゾウまで見に行くことができました。そして最後に戻ってくるのは――。やっぱり、あの一本のバナナです。

約2年もの時間をかけて生まれてきたタワちゃんが、今、一生懸命に鼻を伸ばしています。つかめるかな。口まで運べるかな。タワちゃん、そのお鼻、もう上手に使える?

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まとめ

一本のバナナを前に、そーっと鼻を伸ばすタワちゃん。つかんで。持ち上げて。くるっと鼻を曲げて。お口まで運ぶ。大人のゾウなら何気なくやっていることも、タワちゃんにとっては、今まさに覚えている途中です。

2025年12月に128キロで生まれた小さな女の子は、お母さんの母乳を飲んですくすく育ち、半年ほどで約280キロになりました。……やっぱり「小さな女の子」と書くには、ちょっと大きいですけどね(笑)。

でも、ゾウとして見れば、タワちゃんの時間はまだ始まったばかり。鼻の使い方を覚えるのも。いろいろな食べ物を知るのも。ほかのゾウとの付き合い方を学ぶのも。これからです。

今回、タワちゃんの鼻を追いかけていたら、ずいぶん遠くまで来てしまいました。ゾウの鼻には骨がないこと。アジアゾウとアフリカのゾウでは、耳だけでなく鼻先にも違いがあること。女の子のアジアゾウは、大人になっても家族の群れで暮らしていくこと。

野生の仲間たちは南アジアから東南アジアに暮らし、その生息地が失われつつあること。そして、一頭の赤ちゃんが生まれるまでには、約2年にも及ぶ長い妊娠期間があること。最初はただ、「赤ちゃんのゾウさん、かわいい!」だったはずなのに(笑)。

でも、きっとそれでいいのでしょう。かわいいから、もう少し見てみたくなる。見ているうちに名前を覚える。名前を覚えたら、その子がどんな動物なのか知りたくなる。そして気がつけば、その向こうにいる野生の仲間たちのことまで、ほんの少し気になっている。動物を知る入口は、難しい話でなくてもいいのかもしれません。

さて。そんな難しい話を知っているとも知らず、今日もタワちゃんはお母さんのそばで、鼻を伸ばしているのでしょう。目の前にあるのは――。やっぱり、大好きなバナナかな?🍌昨日より少しだけ上手につかめたら、それで十分。明日は今日より、もう少し上手になるかもしれません。

タワちゃん、そのお鼻、もう上手に使える?これからも、いっぱい食べて。いっぱい練習して。お母さんに見守られながら――。すくすく、大きくなってね。🐘💕
(文責:まどか)


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