こんにちは鳥巣です。5/7のあさイチでは、千葉の南房総市からハイブリッド魚の養殖の中継があるようです。最近では”ハイブリッド”というとガソリンと電気で動く自動車のことを思い浮かべてしまいますが、魚の”ハイブリッド”とはどこが違うのでしょうか?その秘密に迫ってみようと思います。
ハイブリッドの魚とは?
生物学の世界では、別の種類の魚(オスとメス)を掛け合わせたものを「ハイブリッド」や「交雑種」と呼ぶことがあります。これは人間が人為的に掛け合わせを行うだけでなく、自然界でも一定の割合でハイブリッドが生まれることがあります。中でもベラやスズメダイなどの魚では、比較的、ハイブリッドが生まれやすい傾向があります。
今回紹介されるのは「マアジ」と、アジ科の希少魚の「カイワリ」を掛け合わせたハイブリッドで、千葉県館山市に本社を置くベンチャー企業「さかなドリーム」では「夢あじ」という商品名で売り出しているそうです。

同じような例では、高級魚の「クエ」と、より早い成長が期待される「タマカイ」との交雑があります。平成25年(2013年)にマレーシアで養成されている「タマカイ」から精子を採集・凍結保存して持ち帰って、近畿大学水産研究所で養殖した「クエ」の卵を用いて、平成26年2014年)4月に交配させて、孵化後に飼育を開始しました。
孵化後195日目には262尾(全長23.5cm、体重212.4g)が成長し、海上生簀で養殖試験に入りました。2年後の今年10月末時点では、純粋なクエが1.09kgであるのに対し、ハイブリッドの「クエタマ」は4.15kgで3.8倍の成長となって、タマカイの持つ成長の早さを発揮しているのではないかと考えられています。
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ハイブリッド魚「夢あじ」のお味は?
「マアジ」と「カイワリ」の例では、人気の寿司ネタでもある「マアジ」と、上品な味わいで知られる「カイワリ」を掛け合わせることで、テストで握ってもらった銀座ミシュラン店の寿司屋さんも、上品な脂が乗っていて、養殖シマアジよりスッキリした旨みが強いとのことです。

「夢あじ」は2025年夏〜秋頃に本格な出荷が予定されているそうです。(公式Xアカウントより)
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人工的に交雑させることで生態系への影響はないの?
心配されるのが、生簀から逃亡した魚が他の魚と交配してしまって、自然の生態系への影響があるのではないかということですが、ハイブリッドで生まれた魚には、「先天的に繁殖能力を持たない」という特徴があるため、遺伝的な攪乱は起こらないと考えられています。
もっとも、かつて映画「ジェラシックパーク」の中のセリフで、「生命は生き延びる道を探す」と言っていたように、生物に”絶対”はありませんから、こうした品種改良が将来的にどのような影響をもたらすのか、神すらもわからりません。
株式会社さかなドリーム
- 千葉県館山市湊493番地19 レアージュ館山オーシャンタワー1303
- https://sakana-dream.com/technology
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日本の漁業の未来は養殖技術が救うのか?
日本では多くの魚種で、漁業生産量が最盛期の3分の1まで減少しています。漁獲量を制限することも行われていますが、温暖化による海水温の上昇や海流の変化による漁獲量への影響がどの程度あるのかは、まだよくわかっていません。
そういった観点からも、「獲る漁業から育てる漁業への転換」が全国的に求められている今、海の資源や魚(生態環境)を守りながら、「世界一旨い魚」を提供することで、地元との密接な連携を図り、雇用の促進や地域活性化、観光産業への貢献にも繋げていこうとしています。
かつてはイワシやアジ、ブリ、サバなども天然モノだけでしたが、今ではほとんどの魚で養殖漁業がおこなわれています。そういった取り組みによって、漁業資源が安定的に供給されるようになってきたことは、ある意味で”進歩”と言っていいかもしれません。
またこうしたハイブリッドの技術で、海外にも日本の漁業をアピールする機会が増えていくことは、喜ぶべきことではないでしょうか?
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まとめ
ハイブリッドの魚とは?
生物学の世界では、別の種類の魚(オスとメス)を掛け合わせたものを「ハイブリッド」や「交雑種」と呼ぶことがあります。これは人間が人為的に掛け合わせを行うだけでなく、自然界でも一定の割合でハイブリッドが生まれることがあります。今回紹介されるのは「マアジ」と、アジ科の希少魚の「カイワリ」を掛け合わせたハイブリッドで、千葉県館山市に本社を置くベンチャー企業が「夢あじ」という商品名で売り出そうとしているそうです。
ハイブリッド魚「夢あじ」のお味は?
「マアジ」と「カイワリ」の例では、人気の寿司ネタでもある「マアジ」と、上品な味わいで知られる「カイワリ」を掛け合わせることで、テストで握ってもらった銀座ミシュラン店の寿司屋さんも、上品な脂が乗っていて、養殖シマアジよりスッキリした旨みが強いとのことです。「夢あじ」は2025年夏〜秋頃に本格な出荷が予定されているそうです。
人工的に交雑させることで生態系への影響はないの?
心配されるのが、生簀から逃亡した魚が他の魚と交配してしまって、自然の生態系への影響があるのではないかということですが、ハイブリッドで生まれた魚には、「先天的に繁殖能力を持たない」という特徴があるため、遺伝的な攪乱は起こらないと考えられています。
日本の漁業の未来は養殖技術が救うのか?
日本では多くの魚種で、漁業生産量が最盛期の3分の1まで減少しています。漁獲量を制限することも行われていますが、温暖化による海水温の上昇や海流の変化による漁獲量への影響がどの程度あるのかは、まだよくわかっていません。そういった観点からも、「獲る漁業から育てる漁業への転換」が全国的に求められている今、海の資源や魚(生態環境)を守りながら、「世界一旨い魚」を提供することで、地元との密接な連携を図り、雇用の促進や地域活性化、観光産業への貢献にも繋げていこうとしています。