おすすめのポータブル電源はどれ? 災害の多い日本では必須のアイテムです

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非常時の緊急電源を考えたことありますか?

最近、日本全国で地震が相次いでいます。能登半島、千葉県南部、北海道日高地方、宮古島近海(沖縄)、トカラ列島(鹿児島)。これ以外にも2022年には震度5以上の地震が12回も発生しています。元々、日本は地震の多い国ですから全国どこにいても地震のリスクからは逃れられません。

さらに近年増えてきた超大型の台風被害です。記憶に新しいところでは2021年7月に起きた静岡県熱海市で発生した土砂災害。違法な盛り土が問題になりました。

また2020年7月に熊本県を中心に起きた「令和2年7月豪雨」、2019年に台風19号が房総半島・甲信越・東北地方で100人以上の犠牲者を出した「令和元年東日本台風」や2017年と2019年に佐賀・福岡・長崎・大分で起きた「九州北部豪雨」、2018年に広島県や岡山県に浸水や大規模な土砂災害をもたらし200人以上の犠牲者を出した「西日本豪雨」など、毎年のように日本の各地で大雨による浸水や河川の氾濫、土砂災害が起きています。

2015年9月の台風18号から変わった低気圧の影響で千葉県常総市で衣川の堤防が決壊して濁流が渦巻く中、1件だけ流されずに残った白いヘーベルハウスの画像は繰り返しニュースやワイドショーで放送されたので覚えている方も多いでしょう。

10年以上前なら、「ここに住んでいれば絶対に災害なんて来ないよ」とタカを括っていた人も東日本大震災頃を境に、うちも災害対策しておいた方がいいかなと思い始めたのではないでしょうか。

我が家では、災害時用に手回し発電ラジオや軍手を用意したり、東日本大震災の発生時には誰も自宅にいなかったのでどれほどの大きさの揺れだったのかはわかりませんが、家具が転倒することなく本棚に置いてあったガラス製のフォトフレームが床に落ちて割れたくらいでした。

それでもやっぱり「地震対策は大切だね」ということで家具の転倒対策をしたり飲料水を備蓄したり家庭用にしては比較的大型の冷凍庫を買ったりしました。また富士山も近いので万一、噴火した時のためにと防塵メガネまで常備しています。

転倒防止突っ張り棒
転倒防止突っ張り棒
飲料水の備蓄
(奥の段ボールにも24Lあります)
軍手やファーーストエイドキット
大型冷凍庫

それ以前からスマホやノートパソコンの電源バックアップのためにモバイルバッテリーはいくつも持っていましたが、冷蔵庫などのバックアップのために、いわゆる「ポータブル電源」も用意したのでした。

ベランダで小型発電機を使うということも考えたのですが、排ガスや騒音の問題もあってマンションでちゃんと使えるのかどうかにも不安があり、「それならバッテリーをケチケチ使う」方が現実的との結論になったわけです。

ポータブル電源って本当に役に立つの?

我が家に導入したのはAC出力1500WのDELTA2というものです。バッテリー容量は1024Whです。一番気にしたのが停電で冷蔵庫が止まってしまうことでした。

電子レンジやエアコンなどは使わないでも済みますし(我が家でエアコンを使うのは7〜8月の”猛暑夜”の時くらいです)が冷蔵庫は中の物が腐ってしまったりするので待ったなしです。

足の早いものから先に消費するとしても、備蓄量に限りがあることもあってどうしても一気に食べるわけにはいきません。

停電初期にはできるだけ冷蔵庫のドアを開けないようにして中の冷気を温存(冷気を”温存”というのも変な話ですが)するようにします。そして大型の冷凍庫の中で保存しておいた保冷剤を冷蔵庫に移しながらできるだけ温度が上がりにくいようにします。卵などは基本的に常温でも大丈夫です。

一方で、今ではスマホの充電切れに備えてモバイルバッテリーをお持ちの方も多いと思いますが、モバイルバッテリーとポータブル電源は何が違うのでしょうか?

モバイルバッテリーは主にスマホの充電などに使うことは多いので、電気を出力するのはUSB端子です。見てわかるように100Vの家庭用コンセントではありません。容量も数Wから20W前後と小さいですから家電製品は動きません。

主にスマホやノートパソコンの充電用で充電容量も多くありませんから、スマホを1〜2回充電すればなくなってしまいます。つまり災害時のスマホ用充電器として短時間使うには小さくて便利ですが、家電製品を動かし続けることはできないということです。モバイルバッテリーは基本的にUSB出力しかなく、使用用途は限定的なのです。

一方でポータブル電源はサイズや重量が大きい(通常は10kg前後あります)ものの、モバイルバッテリーに比べて電池容量も大きいのが特徴です。

常に持ち運ぶものというよりは、キャンプや災害時など明確な利用目的があるときに便利です。ポータブル電源はAC出力、いわゆる自宅の壁にあるACコンセントを備えています。製品によってはUSB端子や自動車のシガーソケットを備えたものもあるので色々な製品に使うことが可能です。

災害時に停電して本当に困るものは?

災害が発生した場合にもっとも懸念されるのが「電気」「ガス」「水道」といったライフラインが絶たれることです。

そんなライフラインの中でも、電気はもっとも復旧が早く、送電線の倒壊といった特殊な場合を除き、概ね数日から1週間で復旧すると言われています。

もっとも数年前に起きた「北海道胆振東部地震」の時は運転を停止してしまった発電所が多く、運転できていた発電所が容量を超えてしまいそうになり全道でブラックアウト(停電)して1週間以上復旧しなかったことは記憶に新しいところです。

うちの古い冷蔵庫(10年以上前のモデルです)の消費電力は93Wなのでポータブル電源を使えば理論上は8時間ほど使えるはずですが、庫内の温度が高くなってしまってから使うと恐らく3〜4時間でなくなるでしょう。

また大型冷凍庫の消費電力は50W程度なので冷凍食品などはこちらに移した上で冷凍庫を優先して運転するようにします。冷凍庫は中身をギチギチに詰め込んでも効率が落ちにくいからです。

運転を止めた冷蔵庫の中で溶けてしまった保冷剤は、一旦冷凍庫に戻して再冷凍してから冷蔵庫に戻し、冷蔵庫内の温度を低めに保つようにして中の食品をできるだけ長持ちさせるようにします。

これで大型冷凍庫は10時間ほど運転できるはずです。その間に電気が復旧すればラッキーですし、しなければカセットコンロで加熱調理したり塩漬けにしたりして保存食にします。そのためにも(他にも理由がありますが)うちには予備の調味料をストックしてあります。

他にも、キャンプや車中泊でも使えたりしますが、うちはキャンプをほとんどしないのでもっぱら災害時対策です。最近のキャンプではホットカーペットや電気ファンヒーターを使うことも多いらしいですから、そういった用途でも使えば一石二鳥ですね。

ポータブル電源の選ぶときの注意点

それではポータブル電源を選ぶ際に注意しなければならない5つの点についてお話ししていきましょう。

1. 電池容量

容量はかならずチェックするべき項目です。これを間違えると災害時にアテにしていた家電が動かなかったり、連泊でキャンプするときに途中でバッテリ切れになって残念な事態になることもあります。ポータブル電源の理想的な容量は以下の通りです。

 ● 日帰りアウトドア:200Wh~
 ● 連泊キャンプや扇風機などを使用する:350Wh~
 ● 冷蔵庫など大型家電の使用:400Wh~

容量は大きいに越したことはありませんが、製品によって若干の違いはありますが、大きくなればなるほど高価になる上に重量も重くなるので、「主に何に使うのか」「最低でも何が動けばいいのか」を考えて容量を選ぶといいでしょう。

2. 定格出力と周波数

  ポータブル電源を選ぶときには、最大出力よりも定格出力の方を基準にして選ぶようにしましょう。また地域によって、周波数が異なります。東日本では50Hz、西日本では60Hzのものを使用しないと、性能低下や故障の原因になりかねません。

家電によっては、どちらかの周波数にしか対応していないものもあります。50Hzと60Hzを切り替えて使用できるポータブル電源の場合はしっかりと確認してから使用しましょう。

3. 出力波形

ポータブル電源の中には「矩形波」(家庭用電源とは違う交流波)を採用しているものもあります。こちらは価格が安い代わりに、単純な構造の家電にしか使えません。

パソコンなどの精密機器に繋げる場合は正常に作動しないばかりか故障の恐れもあります。色々な電化製品を使うためにも製品の仕様を確認して、「正弦波」が出力されるポータブル電源を選んだ方がいいでしょう。

4.  出力ポートの数と種類

見落としてしまうことも多いのが、出力ポートの数と種類です。出力ポートの数が多いと2台以上のスマホを同時に充電できたり、複数の機器を同時に使えたりと非常に便利です。

また数だけでなく、種類にも注目しましょう。USBやACコンセント、シガーソケットへと接続できるポータブル電源なら、アウトドアや車中泊はもちろん、災害時にも力を発揮。ただし製品によっては、DC出力ポートがシガーソケットに対応している場合もあるので、事前に確認しておいてください。

製品によっては出力だけでなく入力(ポータブル電源の充電)についてもシガーソケットから行える物があります。これはオートキャンプや災害時にも車のバッテリーから充電が可能ということになります。

つまり車のエンジンを掛ければ発電機として使うことができることになります。ただACコンセントからの充電でもシガーソケットからの充電でも、充電中に家電製品などを使おうとするとポータブルバッテリーが過剰に熱くなったり故障してしまうこともあるようなので、製品の取扱説明書をよく確認してから使用するようにしてください。

5. プラスαの便利機能

これは基本機能には関係なくあってもなくても良いものですが、たとえばソーラーパネルを使って太陽光をエネルギーに変換できる製品を繋ぐことができるものもあります。

万一、ACやDCの電源が取れない環境でも太陽光さえあれば充電切れを避けることができます。もちろんACコンセントから充電するときのように早くは充電できません。しかし時間がかかっても充電できるのは緊急時にとても重宝します。

また他にもLEDライトがついているポータブル電源もあります。キャンプだけでなく災害時にも簡易的な照明として使えて停電時も安心です。ついオマケの機能として捉えられがちですが、シチュエーションによっては意外と便利に使えるかもしれません。

ポータブル電源のおすすめ3選

ECOFLOW・DELTA2(1,500W、1,024Wh)

バッテリー容量1,024Whの比較的大容量のポータブル電源です。出力ポートはAC100V(正弦波)が6口とUSBポートがUSB-A×4(うち2つは急速充電に対応)、USB-C×2、シガーソケット×1と充実しています。

充電はAC100Vと別売のソーラーパネルからの充電が可能で、AC100Vからの急速充電では約1.5時間で0から満充電が可能です。出力は1,500Wの高出力に対応しており、一般的な家電製品の90%以上を動かすことが可能です。

大型の家庭用冷蔵庫なら約5〜10時間、スマホなら約70回ほどの充電が可能です。車載用冷蔵庫なら約15〜20時間以上の運転が可能で、オートキャンプで冷凍食材を持っていくなら不安のないスペックです。重量12Kg。

Jackery Solar Generator 1000(1000W、1002Wh)

こちらもEcoFlowと同様の1002Whの大容量ポータブル電源です。出力ポートはAC100V×3(最大1000W・正弦波)、USB-A×2、USB-C×2、シガーソケット×1とEcoFlowと比べるとやや少ないのですが、容量からしても必要十分と言えるのではないでしょうか。

ただしAC出力は西日本の60Hzのみです。充電はAC100Vの他、別売のソーラーパネルや、付属のシガーソケット用充電ケーブルを使って車のシガーソケットからも充電が可能です。AC100Vからの充電は50/60Hzの両方に対応しています。重量はEcoFlowよりやや軽量な10.6Kg。

Anker PowerHouse II 700(770W、701Wh)

前の2機種と比べるとやや容量の小さな701Whのポータブル電源です。容量が少ないため、前の2機種と比べると非常時の家電製品の運転時間はやや短くなりますが、短時間なら運転できるため緊急用電源としては十分と言えるでしょう。

出力ポートはAC110V×2(50/60Hz・正弦波)で500W、USB-A×4、USB-C×2、シガーソケット×1で、合計最大出力が770Wです。家庭用の非常用電源としてはもちろん、小型のためアウトドアのレジャーでも活躍の機会の多いポータブル電源です。

ただAC100出力は最大で500Wのため、消費電力が500Wを超えるドライヤーやホットプレート、コーヒメーカーなどは使用できないことがあります。また別売のソーラーパネルからの充電も可能な上に、常にAC電源から充電したままでも使用できる「パススルー充電」にも対応しています。重量は8.2Kgと容量が少ない分、軽量になっています。

最後に

ポータブル電源は精密機器です。バッテリーを内蔵しているので使用方法によっては発火したりする危険もありますので、使用の前には取扱説明書をよく読んで安全に使用してください。次に挙げるのは一般的な注意事項です。

 ・炎天下の車内、トランク、荷台や直射日光下など高温になる場所で使用や
  保管しないでください。製品の故障・劣化の原因、および発熱の原因となります。
 ・データサーバや医療機器など、非常時に不具合が起こると人命 や財産に重大な
  危険を及ぼしうる用途でのご使用はお控えください。
 ・定格消費電力が規定値を超える機器をACポートに接続した場合には、電源が自動的に
  オフになったり故障や発熱の原因になります。
 ・ポータブル電源にはバッテリーが使われているので飛行機内には持ち込めません。
  預け入れもできません。

以上の点に注意して災害時にも安心・安全に過ごせるように準備しておくことをお勧めいたします。

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