いすみ市のアワビ養殖が熱い!陸上養殖の最新トレンドに迫る!【あさイチ・いまオシ中継】

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こんにちは鳥巣です。7/31のあさイチ・いまオシ中継では千葉・いすみ市から今、注目の陸上鮑養殖場が紹介されます。SDGsにも配慮した新時代のあわび養殖を可能にした養殖場がどんなものなのか、天然モノと養殖の違いなどをわかりやすくご案内します。

当日はいすみ市に津波注意報が発令されていたため放送はありませんでした

はじめに

アワビ養殖ってどこも同じ…?

かつてのアワビの一大産地だった大原の賑わいを取り戻したい!という気持ちで、不可能といわれたアワビの陸上養殖に取り組んでいるのが「A’Culture株式会社」の小山義彦さんです。

SDGs時代の陸上養殖スタイルとして評価が高く「第40回(令和5年度) ベンチャークラブちば準大賞」や2024年開催「第1回 ちばガストロノミーAWARD」生産者部門TOP30にも選ばれています。

実は今、あわびの陸上養殖にはSDGsの観点からも注目される理由があります。地元漁師の小山さんによれば、この辺りの年配の寿司職人や料理人が、大原と聞いて思い浮かべるのはアワビなんだそうです。

大原港から10キロほど先の沖には器械根(器械潜水と呼ばれる方法でアワビを獲っていたことに由来)という広大な岩層地帯があって、かつては日本最大級のアワビの産地でした。世界で2番目に大きな種「マダカアワビ」がざくざくと獲れていました。
水深10~100mという深い水深に生息しているマダカアワビは、見つけにくく乱獲を免れていましたが、潜水服の進化によって一気に獲りつくされ、現在は「クロアワビ」「メガイアワビ」とともに絶滅危惧種に指定されています。

日本のアワビ類の漁獲高は1970年頃をピークに下り坂で、天然アワビの出荷は10分の1にまで落ちています。代わりに出回っているのが養殖アワビで、うち8割は韓国産なのだそうです。

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陸上養殖・多品種・持続可能な取り組みとは?

そこで考えたのがあわびの「陸上養殖」です。洋上養殖は生簀のなかに大量にエサを撒き、アワビが食べ切れなかったカスや糞といったゴミが海底に堆積して流れ出てしまうため、環境汚染や生態系破壊に繋がりかねません。

まさに韓国で主に行われているのがこの洋上養殖なのです。しかし陸上養殖はコストがかかるうえに成功率も低いのが問題でした。

そこで小山さんが考えたのは次世代型農業として注目されている、水耕栽培と養殖を組み合わせた循環型農業「アクアポニックス」という方法です。

一般的な養殖ではフィッシュミールを使いますが、原料に海藻や魚を大量に必要とするので、逆に海洋資源の乱獲という問題が発生します。

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2. アワビの陸上養殖とは?

一般的な洋上養殖との違い

韓国では洋上に筏(いかだ)を浮かべて稚貝を育てます。稚貝のうちは海に漂うコンブをエサに利用するのでエサ代や電気代がかかりません。人件費も家族経営なのでローコストです。しかし一方、日本は入江が少ないのでアワビの洋上養殖には向きません。また前述したように環境汚染や生態系破壊の問題もあります。

そこで陸上養殖では、植物性で栽培されている小麦とルピナス(ルピナスは、マメ科の属の1つで和名はハウチワマメ属)の茎を利用し、廃液はそのまま捨てずに一部を「スジアオノリ」の養殖に再利用しています。

廃液といっても、この廃液には窒素、塩酸、カルシウム、リンなどが含まれていて、スジアオノリを育てるのに充分なのだそうです。

スジアオノリとは、アオノリの一種で、特に香りが高く、高級食材として珍重される海藻です。主に河口域や内湾の岩場などに生息し、冬から早春にかけて旬を迎えます。

もともと千葉県の東京湾では「江戸前海苔」をはじめ海苔養殖が盛んでしたが、生産者の減少や環境変化、気候変動などの影響により急激に生産量を減らしています。

また海藻類は優れたCO2吸収源としても注目されていて、小山さんはスジアオノリを養殖することで、よりSDGsな養殖環境を目指しているわけです。

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陸上養殖のメリットとデメリット

もちろん陸上養殖にはデメリットもあります。一般的な陸上養殖に用いられる、水を換えずに循環・浄化して再利用する技術は、流れるプールのような円型が多いのですが、アワビは直線的に前へ前へと動くため円型は適しません。

それにアワビは流れの速い海底環境を好むので、円型水槽では水面上で速く見えても60~70cmの深さでは水流が遅いのだといいます。

そこで小山さんは水深2cm、長さ20mの直線型水槽を用意しました。ひと水槽あたり季節によって120~140ℓの海水を流し、自然の海に近い環境を維持しています。

水槽のなかでは、アワビが海水の流れる方向へ動くので、片側に溜まりダムをつくってしまうこともあるそうです。しかしこれを無理矢理はがして傷つけると、アワビはすぐ死んでしまうといいます。

そこで今度は逆サイドから海水を流します。そうすると流れにそって方向を変えて動くわけです。アワビはペタッと止まっているようでも意外に動く生き物で、一晩で逆サイドへと移ってしまう時もあるそうです。

20mの水槽を掃除するのは大変そうですが、ここでは海水をドンと3回流せばゴミは流れてしまいます。それがアワビ側からすると心地よいようです。

水深が2cmしかありませんから掃除もしやすいので、スタッフ1人でもすべての掃除とエサやりが3~4時間くらいで終わります。人手不足の今の日本ではありがたいメリットといえるでしょう。

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養殖アワビ vs 天然アワビ 比較してみよう!

天然アワビと養殖アワビの一番の違いは、もちろん育った環境です。天然アワビは自然の海で育ち、海藻を食べて育ちます。一方、養殖アワビは、水槽や生簀で、海藻や配合飼料を食べて育ちます。そのため、味や食感、見た目にも違いが出ます。

天然アワビの特徴としては、

  • 食感:身が引き締まっており、コリコリとした食感が特徴です。
  • 味:いくらか甘みがあります。
  • 見た目:殻が黒褐色で、身は赤褐色をしています。
  • 価格:一般的に高価です。

一方で養殖アワビの特徴は、

  • 食感:身が厚く、柔らかい食感が特徴です。
  • 味:甘みが強い傾向があります。
  • 見た目:殻が緑色を帯びていることが多いです。
  • 価格:天然アワビよりも安価な傾向があります。

その他に、天然アワビは、自然の海で育つため、漁獲時期や場所によって味が変わることがあります。また漁獲量も一般的に不安定な傾向があります。この点、養殖アワビは、安定した品質で、一年を通して手に入りやすいのがメリットでしょう。

私も伊豆でダイビングをするので、地元の漁師さんから伊勢海老やサザエ、アワビを比較的安価で分けてもらうことがありますが、もちろん漁師さんから買うものは天然モノで、近所の鮮魚店やスーパーで買うものでは養殖モノもあります。

実際に食べ比べてみると、食感や味に多少の違いはあるのかもしれませんが、言われなければわからないレベルで、どちらも美味しくいただいています。

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養殖アワビって何年で出荷できるようになるの?

天然のエゾアワビの10年以上のものは旨味が凝縮していて非常に美味といわれていますが、とにかく天然モノは育つまでに時間がかかり、環境の変化や乱獲により漁獲高は少なく、水産資源としても保護すべき種になっています。

一方の養殖アワビは、速いものでは4歳くらいから、ほとんどが5年で漁獲されるようになります。その後は7年で13.5cm、10年で15cm、12年で17cmくらいになります。 

このように、アワビは成長が遅いため、一度数が減ってしまうと増えるのに時間がかかります。 現在、アワビの漁獲量はあまり多くありません。

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アワビの種類

日本で出回るアワビは主に4種類で、いわゆる「アワビ」として皆さんが口にする種類は、クロアワビやエゾアワビがほとんどです。ですが実は、4種類に味の差はそれほどないといわれています。

  • クロアワビ(黒鮑):歯ごたえがあり刺身向き。最も高級とされています。非常にデリケートで養殖には不向きです。
  • エゾアワビ(蝦夷鮑):クロアワビの北方種と考えられていて、日本のアワビの漁獲量の半分ほどを占めています。
  • メガイアワビ(雌貝鮑):柔らかいので煮物、蒸し物向きです。
  • マダカアワビ(眼高鮑):日本産で最大のアワビで~25cmほどにもなります。漁獲量も非常に少ないです。

A’Cultureでは主にクロアワビ、エゾアワビ、メガイアワビを養殖しています。

A’Culture株式会社

※この養殖アワビを手に入れるには、ふるさと納税サイト「さとふる」でお取り寄せすることが可能です。

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千葉県内でA’Cultureの陸上養殖アワビを食べられるお店はどこ?

翠州亭(旧スイス大使館)

御料理とく竹 和食 いすみ市

貝殻亭

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まとめ

かつて豊富な天然アワビが獲れていた千葉・大原の海。その記憶を未来につなげるため、SDGsを意識した持続可能な陸上養殖に挑むA’Cultureの取り組みは、地域の未来にも、日本の食文化にも希望を灯すものでした。私たち消費者も、選ぶ食材を通して応援していけるといいですね。また今回ご紹介したA’Cultureのアワビ養殖場では、ふるさと納税での購入も可能です。

実際に陸上養殖のアワビを味わってみたい方は「翠州亭」「御料理とく竹」「貝殻亭」といったお店を訪れてみるのもおすすめ。サステナブルで美味しいアワビを、ぜひ体験してみてくださいね。

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