核兵器は「持つべきではない」。世界の多くの国がそう語ります。しかし現実には、核兵器は今も存在し、新たな保有を目指す国も後を絶ちません。
「核の傘」が平和を守るという考え方は、本当に世界を安全にしているのでしょうか? それとも、お互いを信じ切れない不安が、誰も核兵器を手放せなくしているのでしょうか?
『真相の館』は、歴史や国際政治をたどりながら、人類が「究極の兵器」を手放せない理由を一つずつ謎解きしていきます。
【放送日:2026年8月1日(土)20:30 -21:00・NHK-Eテレ】
【放送日:2026年8月6日(木)22:00 -22:30・NHK-Eテレ】
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なぜ人類は核兵器を作ったのか?
1940年代、人類は「原子の力」が莫大なエネルギーを生み出すことを知りました。しかし、その発見は人々を喜ばせるだけではありませんでした。もし敵国(ドイツ)が先に原子爆弾を完成させたら──。そんな危機感の中で始まったのが、アメリカの「マンハッタン計画」です。
世界中から優れた科学者たちが集められ、原子爆弾の開発が急速に進められました。ところが、研究が進むにつれ、多くの科学者はある疑問を抱き始めます。
「私たちは、人類が扱ってはいけない兵器を生み出そうとしているのではないか?」
一方で、政府や軍には「戦争を一日でも早く終わらせたい」「敵国に先を越されてはならない」という強い判断がありました。ここで最初の謎が生まれます。
人類は、本当に核兵器を作るしかなかったのでしょうか?
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なぜ核兵器は世界へ広がったのか?
1945年に原子爆弾が実戦で使われたあと、「核兵器は二度と使われない兵器になる」そう考えた人もいました。しかし、現実は逆でした。アメリカが核兵器を保有すると、今度はソ連も開発を急ぎます。さらにイギリス、フランス、中国へと広がり、世界は「核を持つ国」と「持たない国」に分かれていきました。
その象徴となったのが1962年のキューバ危機です。アメリカとソ連は核ミサイルをめぐって激しく対立し、人類は核戦争寸前まで追い込まれました。皮肉なことに、この危機を経験した両国は、「核戦争だけは絶対に起こしてはならない」という認識も共有するようになります。
ここで二つ目の謎が生まれます。
核兵器は戦争を防いだのでしょうか?
それとも、世界を破滅寸前まで追い込んだのでしょうか?
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なぜ核兵器はなくならないのか?
核兵器は「使えば世界が破滅しかねない兵器」です。そのことは、核保有国もよく理解しています。それでも手放せない理由は何でしょうか?相手の国民が憎いからでしょうか?そうではありません。本当に恐れているのは、
「将来、その国の政府や指導者がどう判断するか分からない」
という不確実性です。今日の友好関係が、10年後、20年後も続く保証はありません。政権交代や国際情勢の変化によって、安全保障環境は大きく変わることがあります。だから各国は、「自分だけが武器を手放したらどうなるのか?」という不安を抱え続けるのです。
核兵器は使うためというより、「使われないため」に持つという考え方が核抑止論です。しかし、その考え方が世界の安全につながるのか、それとも新たな不安を生むのかは、今も議論が続いています。
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日本はどんな立場なのか?
ここで四つ目の謎が生まれます。日本は世界で唯一の戦争被爆国として、「核兵器のない世界」を目指すと繰り返し表明しています。しかし一方で、日本は核兵器禁止条約には参加せず、安全保障ではアメリカの核抑止力にも依存しています。政府は「現在の安全保障環境では両立が必要だ」と説明しています。一方で、
「理想を掲げるのであれば、条約にも参加すべきではないか」
という批判や疑問もあります。では、日本は理想と現実のどちらを優先しているのでしょうか?それとも、その両方を同時に追い求めようとしているのでしょうか?
核兵器をなくしたいという理想。今この瞬間の安全を守りたいという現実。日本は、その二つの間で難しい選択を続けています。しかし矛盾する二つの答えを同時に求めることこそ矛盾しているといわざるを得ないでしょう。
日本の政府には「アメリカさんに嫌われたらいざというときに守ってもらえないかも…」という打算があることはほぼ間違いないでしょう。しかしそんな虫のいい話を信用する人がどれほどいるのかはなはだ疑問です。アメリカだって日本が好きで日米協定を結んでいるわけではありません。アメリカの国益につながるからです。
日本と台湾は、中国本土から見て地理的に太平洋への出口を塞ぐ形になっています。だから日本を”子分”にしていけばアメリカは太平洋で中国の脅威を減らすことができるわけです。これはアメリカの防衛費にもかかわる問題です。ですから、その選択をどう評価するかは、一人ひとりが考えるべき問いなのかもしれません。
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核兵器のない世界は実現できるのか?
核兵器は、人類が生み出した最も強力で危険な兵器の一つです。お互いが本気で核兵器を使えば人類どころか地球上の生き物は破滅するかもしれません。だからこそ、多くの人が「核兵器のない世界」を願っています。しかし、その願いは80年以上たった今も実現していません。
国家は未来を予測できません。今日の友好関係が、10年後も続く保証はありません。宗教や民族、歴史、政治、そして安全保障――。世界には今も、互いを完全に信頼することを難しくする要因が数多く存在します。
だからこそ、各国は「自分だけが武器を手放すこと」への不安を抱え続けています。核兵器をなくすために必要なのは、新しい条約だけなのでしょうか?アメリカやロシアのような国連の常任理事国が、自ら戦争を主導しているような現代社会で、果たして人類が互いを信頼できる国際社会を築くことなのでしょうか?『真相の館』が投げかける最後の謎は、そこにあります。