「赤道直下」と聞けば、多くの人は一年中暑い熱帯の国を思い浮かべるでしょう。ところが南米・エクアドルには、熱帯雨林が広がるアマゾンの森から、富士山よりも高い天空の草原、そして標高6000m近くには赤道直下とは思えない壮大な氷河まで、驚くほど多彩な自然が広がっています。
国名の「エクアドル」は、スペイン語で「赤道」を意味する ecuador に由来します。その名のとおり赤道の真下に位置しながら、アンデス山脈が生み出す約6000mもの標高差によって、一つの国の中でまるで別々の世界を旅しているかのような絶景が次々と現れるのです。
今回の『驚き!地球!グレートネイチャー』では、早朝だけ現れる「燃える森」、標高4000mに広がる天空の大草原、そして赤道直下に息づく熱帯氷河を巡りながら、「なぜ赤道直下の国に氷河が存在するのか?」という地球の不思議に迫ります。
【放送日:2026年7月30日(木)12:00 -12:30・NHK-BSP4K】
【放送日:2026年8月2日(日)5:30 -5:59・NHK-BSP4K】
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赤道直下の国・エクアドルはなぜ絶景の宝庫なのか?
南米の北西部に位置するエクアドルは、国名がスペイン語で「赤道」を意味する ecuador に由来する、まさに赤道直下の国です。
赤道直下と聞くと、一年を通して暑い熱帯の国を思い浮かべるかもしれません。しかし、この国にはアマゾンの熱帯雨林だけでなく、富士山より高い高原や、標高6000m近くに広がる氷河まで存在します。その秘密は、国の中央を南北に貫くアンデス山脈にあります。
エクアドルでは、標高約300mのアマゾン低地から、6000mを超える山々まで、およそ6000mもの高低差が一つの国の中に凝縮されています。標高が上がるにつれて気温や降水量、植物や動物たちの姿は大きく変化し、まるで別々の国を旅しているかのように景色が移り変わっていくのです。
さらに赤道直下では、一年を通して太陽の光がほぼ真上から降り注ぎます。その強い日差しとアンデス山脈が生み出す標高差が組み合わさることで、世界でも珍しい自然環境が次々と生まれました。
だからエクアドルの旅は、北へ南へ進む旅ではありません。山を登るたびに、まるで地球そのものの姿が変わっていく「標高の旅」なのです。
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標高300m、アマゾンに現れる“燃える森”
標高約300m。エクアドル東部に広がるアマゾンの熱帯雨林は、世界でも有数の生物多様性を誇る豊かな森です。しかし、この森が最も美しい表情を見せるのは、動植物たちが目覚め始める早朝のほんのわずかな時間だけ。
夜の間に森から立ち上った大量の水蒸気が朝の冷たい空気に包まれて霧となり、そこへ昇り始めた朝日が差し込むと、木々は赤や黄金色に染まり、まるで森全体が炎をまとったかのような幻想的な光景が現れます。もちろん、本当に森が燃えているわけではありません。
無数の葉から放たれた水分や空気中に漂う細かな霧が光を受けて輝くことで、燃え上がる炎のように見える自然現象なのです。

この幻想的な風景は、赤道直下の豊富な日射と、生命あふれる熱帯雨林が生み出す膨大な水の循環があってこそ生まれる、一瞬だけの奇跡です。
ここは、これから始まる「標高の旅」の出発点。燃えるような森をあとにして山を登るにつれ、景色は少しずつ姿を変え、やがて富士山よりも高い天空の草原へと続いていきます。
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標高4000m、富士山より高い天空の草原「パラモ」
ここから、地球の景色は一変します。
熱帯雨林をあとにして山道を登り続けると、やがて木々の姿が少しずつ少なくなり、気がつけば深い森はどこにも見当たりません。標高約4000m。そこは、日本一高い富士山の山頂よりもさらに高い場所です。
空気は薄く、強い日差しが降り注ぐ一方で、風は冷たく、昼と夜の気温差も非常に大きくなります。人にとっては息が上がりやすく、過酷な環境ですが、この高さだからこそ育つ特別な生態系があります。それが「パラモ」です。
パラモは、アンデス山脈北部など限られた地域にだけ見られる高山草原で、背の高い木はほとんど育たず、一面に草や低木が広がります。ところどころには、寒さや強い紫外線に適応した独特の植物が静かに根を張り、まるで別の惑星に降り立ったかのような風景が続いています。

一見すると何もない荒野のようにも見えますが、この草原は雨や霧から水を蓄え、ゆっくりと下流へ送り出す「天然の貯水池」として重要な役割を果たしています。山麓に暮らす人々や森を潤す水は、この天空の草原から始まっているのです。
富士山よりも高い場所でありながら、多くの命を支える水が静かに育まれている――。パラモは、厳しい自然の中で地球の水循環を支える、知られざる生命のゆりかごだったのです。
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標高6000m、赤道直下に広がる「熱帯氷河」の謎
標高6000m近くまで登ると、景色は再び大きく姿を変えます。赤道直下とは思えない白い氷河が広がり、その表面には無数の鋭い氷の刃が天へ向かって並んでいました。まるで氷の森。あるいは、誰かが一本一本彫り上げた巨大な彫刻のようです。

この不思議な景観を生み出しているのは、赤道直下ならではの強烈な太陽の光。太陽がほぼ真上から降り注ぐため、氷は均一には削られず、わずかな凹凸が少しずつ大きくなって、鋭い氷の塔へと成長していきます。赤道に近い場所だからこそ生まれる、世界でも珍しい氷河の姿なのです。
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標高6000mが生み出したエクアドルの奇跡
標高300m。生命があふれるアマゾンでは、森が大量の水蒸気を空へ送り出していました。
標高4000m。その水はアンデス山脈で雨や霧となり、パラモに蓄えられます。
さらに標高6000m。最も高い峰では雪や氷となって長い時間をかけて蓄えられ、熱帯ならではの強い太陽に磨かれながら、幻想的な氷河をつくり出していました。
そして、氷河やパラモから流れ出した水は再び川となり、やがてアマゾンの森へ帰っていきます。ジャングル、高原、氷河。まったく違う三つの世界は、それぞれ孤立した絶景ではありません。標高6000mという圧倒的な高低差が、水と命を一つにつないでいたのです。
だからエクアドルでは、山を登ることが、そのまま地球の仕組みを知る旅になります。赤道直下の暑い森から、天空の草原を越え、熱帯氷河へ。たった一つの国の中で、地球そのものを縦に旅できる――。それこそが、標高6000mが生み出したエクアドルの奇跡なのです。