冬の北海道・白糠町。この町では、正月を前に欠かせない冬の幸がある。それが「ヤナギダコ」だ。
「柳だこ=白糠」と言われるほど、白糠町のヤナギダコは評価が高い。煮ダコは豊洲市場で指名買いされ、その名を聞けば、味を思い浮かべる人も少なくない。漁獲後すぐ、職人が大釜で一気に茹で上げる。サクッとした歯切れと、噛むほどに広がる甘みは、冬の海と人の手が生んだ、この町ならではの味だ。あさイチ中継では、白糠町が誇るヤナギダコの魅力と、その裏にある仕事の現場を訪ねる。
【放送日:2026年1月19日(月)8:15 -9:55・NHK総合】
「柳だこ=白糠」と言われる理由
ヤナギダコとは、北海道を中心に水揚げされる大型のタコで、身がやわらかく、甘みが強いことから、正月用の煮ダコとして重宝されてきた。なかでも白糠町のヤナギダコは評価が高く、市場では「柳だこ=白糠」と言われるほどである。
マダコ科のタコの一種で、寒い海域(北海道〜三陸沖など)に生息する。マダコよりも身質がやわらかく、その一方で、かつてはミズダコと混同されることもあった別種だ。
サクッと歯切れ、噛むほど甘い食感の秘密
白糠町のヤナギダコを口にすると、まず感じるのは、意外なほどの歯切れのよさだ。噛んだ瞬間に、身がすっと切れ、そのあとに、じんわりと甘みが広がっていく。
この食感は、偶然生まれるものではない。冬の冷たい海で育ったヤナギダコは、身が締まりすぎず、しかし水っぽくもならない。寒さの中で、ゆっくりと身を整えていくことで、やわらかさと弾力のバランスが保たれる。
さらに白糠町では、漁獲のタイミングが厳しく見極められている。身質が最も安定する時期を外さない。だから毎年、「今年もこの食感だ」と言われる一本になる。
市場で指名される理由は、派手なブランド力ではない。切っても、噛んでも、期待を裏切らない確かさにある。このあと、その食感を決定づける“最後のひと手間”が加わる。それが、白糠町の職人たちが行う、大釜での一気茹でだ。
漁獲後すぐ、大釜で一気に茹で上げる職人技
水揚げされたヤナギダコは、時間を置かずに、すぐ加工場へ運ばれる。白糠町では、鮮度を待たせないことが、食感を守るための大切な前提だ。
大釜に湯が張られ、タコは一気に茹で上げられる。ゆっくり火を入れるのではない。一瞬で熱を通し、旨みを中に閉じ込める。
茹で時間も、湯の温度も、その日のタコの状態を見ながら決められる。毎回同じ作業に見えて、同じ日はひとつもない。
この工程があるから、サクッとした歯切れと、噛むほどに広がる甘みが、最後まで失われない。派手な演出はない。ただ、長年繰り返されてきた「迷わない手つき」があるだけだ。
刺身からBBQまで!ヤナギダコの楽しみ方
白糠町のヤナギダコは、まずは茹でたてを、そのまま味わいたい。薄く切って刺身にすれば、歯切れのよさと甘みが、まっすぐに伝わってくる。
火を通しても、身は固くなりにくい。塩味、味噌味、醤油味など、あらかじめ味付けされたものは、焼くだけで、冬のごちそうになる。
BBQで香ばしく焼けば、甘みはいっそう際立つ。さらに、唐揚げにした「タコザンギ」も定番だ。外はカリッと、中はやわらかく、噛むほどに旨みが広がる。
刺身でも、焼いても、揚げても。ヤナギダコは、素材のよさがそのまま生きる。手をかけすぎなくても、「おいしいところ」に自然と着地するのが、このタコの強さだ。
燻製・加工品・通販で味わう白糠の冬
白糠町のヤナギダコは、生や茹でだけで終わらない。冬の海の旨みを生かした加工品も、静かに並んでいる。なかでも燻製は、タコの甘みと香ばしさが重なり、噛むほどに味が深まる一品だ。
酒の肴として、少しずつ切って味わうのもいい。茹でダコや味付きの商品は、調理の手間がかからない。切るだけ、焼くだけで、白糠の冬の味が食卓に立ち上がる。
こうした加工品は、北海道の食材を扱うネット通販などでも取り扱いがあり、現地に足を運ばなくても手に入れることができる。
番組を見て、「一度味わってみたい」と思った人にとって、ちょうどいい入り口だ。無理にすすめる必要はない。ヤナギダコは、食べたいと思ったときに、きちんと応えてくれる準備が整っている。
冬の海と人が育てた、白糠町のヤナギダコ
白糠町のヤナギダコは、冬の海だけで完成するものではない。冷たい海で育った身を、人の手が受け取り、迷いのない仕事で仕上げていく。
漁の見極め、水揚げ後すぐの処理、大釜での一気茹で。どれも特別な演出ではなく、長年続けてきた“当たり前”の積み重ねだ。
だからこそ、毎年変わらない食感があり、市場での信頼が生まれ、正月の食卓へとつながっていく。
白糠町のヤナギダコは、冬の海と、人の仕事が重なって生まれる、この土地ならではの冬の幸なのである。
まとめ
北海道・白糠町の冬を代表するヤナギダコ。サクッとした歯切れと、噛むほどに広がる甘みは、冷たい海と職人の手仕事が生んだ味だ。あさイチ中継では、白糠町が誇る冬の幸と、その裏にある現場の仕事が紹介される。