柑橘の産地として知られる愛媛県。なかでも八幡浜市は、温暖な気候と豊かな自然に恵まれた“みかんの町”として親しまれてきました。
そんな八幡浜がいま、「マーマレードの聖地」として世界から注目を集めています。きっかけとなったのは、イギリスで生まれたダルメイン世界マーマレードアワードの日本大会が、この地で開催されていることでした。
世界中から寄せられるマーマレードの中で、なぜこの町の存在が際立つのでしょうか? ただ柑橘が豊富というだけでは語りきれない、土地の文化や人の営みがそこにはあります。
今回の「あさイチ中継」では、八幡浜のマーマレードを通して、地域の魅力がどのように世界へと広がっていったのか、その理由をやさしくひもといていきます。
【放送日:2026年4月14日(火)8:15 -9:55・NHK-総合】
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八幡浜はどんな町?なぜ柑橘の産地として知られるのか?
愛媛県八幡浜市は、宇和海に面した温暖な気候の町です。冬でも比較的あたたかく、霜が降りにくい環境は、柑橘類の栽培にとても適しています。
さらに特徴的なのが、海に向かって広がる段々畑の風景です。斜面に作られた畑は日当たりがよく、太陽の光をしっかりと受けることができます。加えて、海からの反射光や、石垣に蓄えられた熱が夜間の冷え込みをやわらげることで、果実はゆっくりと甘みを蓄えていきます。
こうした自然条件が重なり、八幡浜を含む愛媛の地域は、全国でも有数の柑橘産地として知られるようになりました。いわば、この土地そのものが“みかんを育てるための器”のような存在だったのです。
和歌山のみかんが流通によって広がっていったのに対し、愛媛のみかんは、この土地の環境に支えられて育まれてきました。だからこそ、その味わいには、どこか自然の恵みそのもののようなやさしさが感じられるのかもしれません。
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なぜマーマレードの聖地に?世界大会が八幡浜に来た理由
柑橘の産地として知られる八幡浜が、「マーマレードの聖地」と呼ばれるようになった背景には、ひとつの大きなきっかけがあります。イギリス発祥のダルメイン世界マーマレードアワードの日本大会が、この地で開催されるようになったことです。
もともとマーマレードは、柑橘の果実だけでなく、皮のほろ苦さや酸味も活かしてつくられる食品です。そのため、素材となる柑橘の品質が味を大きく左右します。
八幡浜を含む愛媛の柑橘は、甘さだけでなく、ほどよい酸味や香りの豊かさも特徴としています。まさにマーマレードに適したバランスを持っていたことが、この町が注目された理由のひとつでした。
さらに、地域全体で柑橘と向き合ってきた歴史や、生産者と加工の担い手が近い距離でつながっている環境も、この取り組みを支えています。単に素材が良いだけではなく、それを活かそうとする人の営みがあったからこそ、世界大会の舞台として選ばれたのかもしれません。
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マーマレードの魅力とは?ジャムとは違う美味しさ
マーマレードとジャムは似ているようで、その魅力にははっきりとした違いがあります。大きな特徴は、果実の“皮”を使うかどうかです。
ジャムは主に果肉を煮詰めて作られるのに対し、マーマレードは柑橘の果肉に加えて、皮も一緒に使うことで、独特の風味を生み出します。
この皮の存在が、マーマレードならではの美味しさをつくり出しています。やわらかな甘さの中に、ほのかな苦みやさわやかな酸味が重なり、単調にならない奥行きのある味わいになります。
まさに、甘さだけでは終わらない“バランスの美味しさ”。それは、レモンを効かせた料理のように、ひとつの要素が全体を引き締め、味わいをより豊かにしてくれる感覚に近いのかもしれません。
マーマレードは、ただ甘いだけではない、大人のための保存食。その奥深さが、世界中で愛されている理由のひとつと言えるでしょう。
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世界に届く理由——職人と家庭が支える多様な味
マーマレードといえばオレンジを思い浮かべる人も多いかもしれませんが、愛媛・八幡浜では、さまざまな柑橘を使ったマーマレードが作られています。
温州みかんのやさしい甘さ、伊予柑の豊かな香り、甘夏のほろ苦さ、レモンの爽やかな酸味――それぞれの個性が、そのままマーマレードの味わいとして表現されているのです。
さらに特徴的なのは、プロの職人だけでなく、家庭で作られたマーマレードも評価の対象になっていることです。ダルメイン世界マーマレードアワードでは、個人の作品も数多く出品され、技術だけでなく発想や個性も大切にされています。
同じ柑橘を使っていても、作り手によって味は大きく変わります。皮の刻み方や煮詰め方、甘さの加減――そのひとつひとつに、作り手の考えや暮らしがにじみ出ます。
八幡浜のマーマレードが世界に届く理由は、特別なひとつの味にあるのではなく、この多様性にあるのかもしれません。たくさんの個性が重なり合うことで、この町ならではの魅力が形づくられているのです。
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なぜ今、マーマレードなのか?健康と食文化の変化
マーマレードが改めて注目されている背景には、食の好みや価値観の変化があります。かつては甘さをしっかり感じるデザートが好まれていましたが、近年では“甘すぎない美味しさ”を求める傾向が強まってきました。
その中で、柑橘の酸味や皮のほろ苦さを活かしたマーマレードは、ちょうどよいバランスの食品として受け入れられています。甘さだけでなく、さっぱりとした後味や香りの広がりが、日常の食卓にも取り入れやすい存在になっているのです。
さらに、柑橘の皮に含まれる成分や、生姜のような素材が持つ機能性にも注目が集まっています。たとえば、八幡浜のマーマレードの中には、ゆずと生姜、蜂蜜を組み合わせたコンフィチュールが世界大会で高く評価された例もあり、素材そのものの力を活かした味づくりが支持されています。
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ただ甘いだけではない、体にもやさしく、日々の中に自然に溶け込む味わい。マーマレードは、そんな現代の食文化の変化に寄り添うかたちで、あらためてその魅力が見直されているのかもしれません。
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地方から世界へ——八幡浜が示す新しい可能性
八幡浜のマーマレードが世界に届いた背景には、特別な技術や大きな仕組みだけがあったわけではありません。むしろ、この土地に根づいてきた柑橘の文化と、それを大切にしてきた人々の積み重ねが、ゆっくりと形になっていった結果とも言えるでしょう。
イギリス発祥のダルメイン世界マーマレードアワードと、日本の地方都市である八幡浜。一見遠く離れた存在のように見える両者が、柑橘という共通の素材を通じて結びついたことは、とても象徴的です。
それは、どちらかがどちらかに近づいたというよりも、それぞれが持つ価値が重なり合った結果なのかもしれません。甘さだけではない味わい、手間をかけることの意味、日々の中にある豊かさ――そうした感覚が、言葉を超えて共有されたとも言えるでしょう。
地方にあるものが、そのまま世界へと届く。八幡浜のマーマレードは、その可能性を静かに示しています。特別なものを新しく作るのではなく、もともとあるものを見つめ直すこと――そこに、これからの地域と世界の関係のヒントがあるのかもしれません。
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まとめ|なぜこの町のマーマレードは世界に届くのか?
八幡浜のマーマレードが世界に届いた理由は、ひとつではありません。温暖な気候に育まれた柑橘の質の高さ、地域に根づいた食文化、そしてそれを活かそうとする人々の営み――そのすべてが重なり合って、この町ならではの味わいを生み出してきました。
さらに、世界大会という場を通じて、異なる文化同士が出会い、それぞれの価値を認め合うことで、八幡浜のマーマレードはより広い世界へとつながっていきました。それは、どちらか一方が優れているということではなく、互いの魅力が響き合った結果なのかもしれません。
甘さだけではない、酸味や苦みを含んだ奥行きのある味わい。その“ちょうどよさ”が、いまの時代の感覚と重なり、国や文化を越えて受け入れられているのでしょう。
この町にあるものを、そのまま丁寧に届けること。八幡浜のマーマレードは、その積み重ねが世界へとつながることを、やさしく教えてくれているのかもしれません。