1400万年の大地が語る物語!古座川「一枚岩」と熊野信仰、そして守り犬伝説の道の駅!【あさイチ中継】

BLOG
スポンサーリンク

中継で映し出されるのは、川の向こうにそびえる巨大な岩壁。その名も「一枚岩」。高さ100m・幅500mという規格外の存在感には圧倒されます。1400万年前の火山の贈り物です。1400万年前の噴火が生んだ巨岩は、時に“守り犬”の影を浮かび上がらせ、熊野の人々に神の気配を伝えてきました。そして現代の旅人を迎える道の駅は、いまもその物語を静かに語りかけています。

古座川の一枚岩(出典:南紀熊野ジオパーク)
古座川の一枚岩(出典:南紀熊野ジオパーク

<広告の下に続きます>

第一章|「一枚岩」ができたわけ

古座川にそびえる「一枚岩」は、いまからおよそ1400万年前──想像もつかないほど昔の火山活動によって生まれました。当時、この一帯では爆発的な噴火が繰り返され、山々を覆い尽くすほどの火砕流が流れ下りました。押し寄せた火山灰や岩片は分厚く積み重なり、やがて固まって「凝灰角礫岩」と呼ばれる岩石になりました。

数百万年という気の遠くなるような時間をかけて、川の流れや風雨が柔らかい部分を削り取り、最後まで残ったのがこの巨大な岩壁です。高さ100m、幅500m──ただの岩というにはあまりに規格外。旅人がこの地を訪れると、まるで地球そのものが目の前に姿を現したかのような迫力に圧倒されます。

👉地球レベルの歴史を身近な例に換算すると…

一口に1400万年前といわれてもピンと来ないかもしれませんが、タモリさんは「お金に換算すると実感が湧く」のだといいます。例えば九州にある阿蘇カルデラの最後の大噴火(ASO-4)は約9万年前だといいます。

この「熊野カルデラ」が1400万円だとすると家が買えるような値段ですが、阿蘇が9万円だと聞くと「ボーナスで買えるような買い物」のレベルです。世界遺産にもなっている「熊野大社」の創建は紀元前33年といわれ、ずいぶん古く感じますが2000年ちょっと前、言い換えれば2000円ちょっとですから、ちょっと贅沢なランチといったところです。1400万円はかなり高価ですがそれと比べて2000円なら「ちょっと出してもいいかな?」という気分になりませんか?(笑)

<広告の下に続きます>

第二章|道の駅「一枚岩Monolith」で楽しむ今

1400万年前の地球の記憶を前にしながら、現代の旅人を迎えてくれるのが「道の駅 一枚岩Monolith」です。巨大な岩壁を背景に、ここではアウトドアや食事など、自然と一体になれる体験が待っています。

🏕 キャンプ&川遊び

清流・古座川に面したキャンプサイトは、夏には川遊びやBBQで賑わいます。目の前にはライトアップされた一枚岩がそびえ立ち、夜は星空と巨岩のシルエットが幻想的な風景を描き出します。

🍴 ご当地グルメ

道の駅のレストランや売店では、熊野ならではの味に出会えます。地元で獲れる川魚の鮎やアマゴ、ジビエ料理(イノシシやシカ)、さらに柑橘を使ったスイーツなど、旅の途中に立ち寄るだけで熊野の“食の物語”を味わえます。

🚗 旅の拠点として

一枚岩Monolithは、熊野古道や熊野三山へのドライブコース途中に位置しているため、観光の拠点としても便利。まるで「1400万年前と現代をつなぐゲート」のように、ここから熊野の旅が広がっていきます。

道の駅 一枚岩 Monolith(モノリス)

<広告の下に続きます>

第三章|カルデラによる一枚岩が熊野信仰と繋がっている?

巨大な一枚岩を前に立つと、私たちはただの岩ではなく「神の気配」を感じてしまいます。実際、熊野信仰の根底には山や滝、岩などの自然を神聖視する“自然崇拝”がありました。

噴火によって出来た奇岩や滝などの地形は、古代の人々から見ると、神々がいる場所を阻んでいたように見えたことでしょう。人の力ではどうすることもできない大きな力に、神秘性を感じ、自然に対する畏敬の念を持ちました。それが熊野の自然信仰の始まりというわけです。

熊野三山(本宮・新宮・那智)に代表される熊野信仰は、那智の滝を神とし、熊野の山々を神とし、人々はその大自然に祈りを捧げてきました。古座川の一枚岩もまた、その規格外のスケールゆえに“神が宿る存在”と見なされていたとしても不思議ではありません。こうした信仰の土壌は、約1400万年前の大噴火──熊野カルデラが形づくった大地そのものに根ざしています。

圧倒的な巨岩は、古代の人々に畏敬の念を抱かせる神秘的な存在でした。そして修験道の霊場として知られる熊野において、一枚岩のような険しい岩場が修行の場となった可能性も十分に考えられます。

そして世界遺産にもなっている「熊野古道」とは、平安時代に皇族や貴族がこぞって熊野詣を行い、自然を敬うことで医療や科学の力もなかった時代に、辛い修行を乗り越えることの先に平穏があると信じられて多くの人たちが歩いた道になったのです。

<広告の下に続きます>

第四章|一枚岩に浮かぶ“守り犬”の影

古座川の一枚岩には、もうひとつの物語が語り継がれています。それは、岩肌に浮かび上がる“守り犬”の影。春と夏、年に二度だけ太陽の角度が重なると、まるで犬が一枚岩を守っているかのような影が現れるといいます。

一枚岩の守り犬の伝説とは和歌山県古座川町に伝わる民話で、昔、太地町から岩が大好物の魔物が現れて古座川をさかのぼり、虫喰岩など次々と岩を食い荒らしながら一枚岩にたどり着きました。

虫喰岩(出典:古座川町観光協会)
虫喰岩(出典:古座川町観光協会)

魔物が一枚岩を食べようとしたとき、村の猟犬が魔物を追い払ったというのです。この伝説にちなみ、毎年4月と8月の特定の数日間、夕日を受けて一枚岩に現れる対岸の山影が、耳を立てた犬の姿に見える現象を「守り犬」と呼び、地元の人々に親しまれています。

守り犬の影(出典:古座川町観光協会)
守り犬の影(出典:古座川町観光協会)


<広告の下に続きます>

まとめ|地球の時間 × 人の信仰 × 旅人の体験

1400万年前に起きた地球規模の火山活動が熊野カルデラを生み、噴出した膨大な火砕流が巨大な「一枚岩」を生み出しました。そしてそれはいつしか、滝や山を敬う熊野信仰と同様に、神の気配を宿す存在となったのです。そんな中で「一枚岩」を守ってきた人々の思いが「守り犬の影」となって語り継がれるようになり、自然の造形に神話を与えてきたのです。
現代ではそんなところに道の駅ができ、雄大な絶景を前にして地球の歴史と人の祈りを同時に体験できる場所になったわけです。

だからこの地を訪れる旅人は、遥か1400万年の大地の記憶と、人々が紡いだ祈りの物語に耳を澄ませながら、自分自身の物語を重ねていくのです。ここはただの道の駅ではなく“時空を超える旅の入口”。あなたも一枚岩の前で、地球と人の歩みを感じてみませんか?

タイトルとURLをコピーしました