冬の横浜は、思っている以上ににぎやかだ。近年はみなとみらいの風景が目を引くが、横浜開港の時代から続く中華街には、いまも湯気の立つ熱々のグルメが並び、港町ならではの味と技が、静かに息づいている。
あさイチ特集「冬でも楽しい横浜」では、中華街の“ガチ”マーラータン、目を奪われるアクロバティックな獅子のワザ、そして横浜生まれの個性派ナポリタンを巡る。寒い季節だからこそ、体も心も温まる。横浜は、冬でも歩いて楽しい街だ。
【放送日:2026年1月22日(木)8:15 -9:55・NHK総合】
中華街の“ガチ”マーラータン巡り
冬の中華街で、湯気を上げながら存在感を放つのがマーラータンだ。花椒(ホアジャオ)のしびれと、唐辛子の辛さ。スープに具材を浸し、自分好みに仕上げるこの料理は、いまや横浜中華街でも定番のひとつになっている。
マーラータンは、ただ辛いだけのラーメンとは少し違う。スープの香り、油の重さ、しびれの立ち方。店ごとに配合が異なり、「どこで食べるか」で、まったく別の顔を見せる。
中華街では、辛さや具材を細かく選べる店も多い。野菜を多めにする人もいれば、肉や春雨を中心にする人もいる。その日の体調や気分で、一杯の中身が変わるのも魅力だ。
たとえばカスタマイズ性が高く本格的な味を楽しめる「楊國福 麻辣湯」や、「横濱麻辣湯」、そして本場中国で人気の「張亮麻辣烫」などがあるのでいろいろと調べながら巡ってみるのもいいかもしれない。
寒い季節に、体の芯から温まる。そして食べ終えたあと、もう一度歩きたくなる。中華街の“ガチ”マーラータンは、冬の横浜を動かす、熱々の起点になっている。
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世界トップクラス!獅子のワザにびっくり仰天!
中華街の路地を進んでいくと、今度は一気に空気が変わる。銅鑼や太鼓の音、緊張感のある間合い、そして目の前で跳ね上がる獅子。横浜中華街で披露される獅子舞は、祝祭の余興という言葉では収まりきらない。
高く跳び、回り、支え合いながら技を決めていくその姿は、世界トップクラスのアクロバティックな技術そのものだ。獅子は一頭で舞っているように見えて、中では複数の演者が呼吸を合わせている。重さ、視界、足場。すべてが制限される中で、一瞬の判断と信頼だけで技が成立する。
観る側は、ただ驚き、ただ拍手を送る。だがその裏では、長い訓練と積み重ねが、静かに支えている。食の街として知られる横浜中華街だが、ここには、体で受け止める文化も息づいている。獅子のワザは、この街が持つもうひとつの熱だ。
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実は横浜生まれ!個性派ナポリタンの世界
横浜のグルメというと中華街が思い浮かぶが、もうひとつ、この街で生まれ、育ってきた味がある。それがナポリタンだ。
戦後まもない頃、山下公園前にあるホテルニューグランドで生まれたとされるこの料理は、当時の外国人客、とりわけ米軍関係者の食文化を背景に、日本の食材と感覚で作り直された洋食だった。
ケチャップの甘み、太めの麺、具材の組み合わせ。本場イタリアとはまったく違うが、そこには“港町・横浜らしい折衷”があった。
やがてナポリタンは、ホテルの料理から、喫茶店や洋食店へと広がっていく。店主の数だけ、味も、考え方も違う。濃い味のものもあれば、どこか上品にまとめた一皿もある。それぞれが、自分の横浜を表現している。
異国の文化を受け入れ、そのまま真似るのではなく、自分たちの味に作り替える。ナポリタンは、横浜という街が得意としてきたやり方を、そのまま一皿にした料理なのだ。
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冬でも楽しい理由は、文化が重なっているから
横浜は、ひとつの文化だけでできた街ではない。港を通って入ってきたものを、そのまま並べるのではなく、少しずつ混ぜ、整え、自分たちの形にしてきた。
中華街のマーラータンは、本場の香りを残しながら、横浜の街歩きに馴染んでいる。獅子のワザは、祭りの余興にとどまらず、通りすがりの人の足を止める“技”として息づく。ナポリタンは、異国の料理を日本の感覚で作り替え、港町の記憶として定着した。それぞれは別々の文化だ。
けれど横浜では、それらが競い合うことなく、同じ街の風景として重なっている。だから冬でも、横浜は歩いて楽しい。
寒さの中に、湯気や音や、懐かしさがある。外から来る人にとっても、そして何度も訪れる人にとっても、横浜は、そのたびに少し違う顔を見せてくれる街なのだ。