iPhoneの「ショートカット」というアプリはご存じでしょうか?この記事では、iPhoneの「ショートカット」アプリを使った自動化の方法を、初心者向けに詳しく解説します。アプリの持っている機能を組み合わせて自動で実行させたり、複雑な操作の工程を簡単にしてくれるスグレモノのアプリです。とはいえ、ちょっとした“プログラミング的”な要素があるため、難しそうと感じている人も多いかもしれません。そんな方のために「ショートカットってなに?」という基礎的な疑問から、「ショートカットの機能や使い方」、「ショートカットの導入や作り方」まで、細かく丁寧に解説していこうと思います。
iPhoneのショートカットってなに?なんの役に立つの?
「ショートカット」はiOS 12にSiriの機能として登場してから、iOS 13では標準機能として内蔵されるようになりました。私が以前に使っていたiPhone SE(第2世代)でも、iOSをバージョンアップしたら普通に動きましたから、そんなに最新のiPhoneでなくても、iOS 14以降にアップデートできれば問題なく使えると思います。

「ショートカット」とは、iPhoneが持っている複数の機能を組み合わせて、ひとつの動作として自動化できるアプリです。あたかも「自分専用アプリ」を作るような感覚で使えます。例えば具体的に言うと、
「今、いる場所の近くにあるコンビニやガソリンスタンドの場所を知りたい!」というようなときに、普通ならGoogleマップを開いてコンビニやガソリンスタンドを検索しますが、それって地味に面倒くさいと思いませんか?
どうせならアプリを立ち上げて、調べたい場所の名前を選べばGoogleマップで教えてくれたら便利ですよね。それなら画面を2回タップするだけで完了します。他にも「特定のWi-fiの圏内になったら・・・」とか、「知らない番号からかかってきた電話が誰からの電話だか知りたい」なんていう要望があるかもしれません。
つまり「ショートカット」とは、コンピュータのプログラムを書かなくても、自分がやりたいことを、ワンタッチで自動的に実行してくれるように設定できるアプリ、というわけです。これを使えば「楽天ポイントの入力画面を開いてバーコードを読み取ったらPayPayの支払い画面を開く」なんてことも簡単にできます。
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どんな機能があるの?
ショートカットに設定できる機能には例えば、「コメント(文字列)を入力する」機能だったり、「Wi-fi」のネットワーク名を取得する」なんて機能もあります。先ほど触れたように「現在位置から緯度・経度を取得」したりする機能も簡単に選べますから、自分でプログラムコードを書くような必要はまったくありません。
私は若いころにはコンピュータのプログラマーやSE(システムエンジニア)をやっていましたから、「一からプログラムを書いてやりたい機能をコンピュータに実行させる」というようなことをやっていました。
しかし今、学校などで教えているプログラミングの基礎というのは、特定の機能を持った既成のプログラムを組み合わせて、やりたいことを実現することからは始めるようです。そうすればアルファベットが並んだプログラム言語を覚えて書く必要もありませんから、最低限の知識さえあればプログラムを組み上げることが出来るわけです。
もちろん実際のプログラミングの現場でも、必要な機能を細分化して部品(パーツ)化して、プログラムを作るという手法がありますが、部品の中身などわからなくても「何をしてくれる部品なのか」さえ分かっていれば、プログラムを組み立てることはできるのです。ですからこの先は「ショートカット」というiPhoneのアプリを使って、いろいろなプログラムを作っていこうと思います。
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ショートカットの基本的な使い方
「ショートカット」で使うのは基本的にプログラムの名前です。そしてひとつひとつのプログラムを分解して中身を調べることはしません。プログラムの名前とそれが何をしてくれるのかさえ分かっていれば十分です。ですからショートカットを作ったり使うために、プログラム言語を勉強する必要もないのです。
そしてショートカットを実際に使おうと思ったときにはいくつかのやり方があります。それは、
- Appleが用意しているショートカットを使う
- 他の人が作ったショートカットを使う
- 自分でショートカットを自作する
という3つの方法です。iPhoneのショートカットには最初からAppleが用意してくれているメーカーの既成プログラムがあります。一番簡単なのはこれをそのままインストールして使う方法です。
例えばショートカットアプリを起動すると画面下部に「ショートカット」、「オートメーション」、「ギャラリー」という3つのタブが現れます。この中で「ギャラリー」のタブをタップすると、「テキストをオーディオに変換」や「リマインダーを一括追加」というような”部品”が現れます。
詳しいことはまたのちほど解説しますが、この中で「テキストをオーディオに変換」は、テキストフィールドに入力した文字列を音声で読み上げてくれるアプリです。これを普通に行うには、「設定」メニューの「アクセシビリティ」で、「読み上げコンテンツ」のスイッチをONにしたり、読み上げて欲しい文字列を選択したりと、面倒な操作がたくさんありますが、それを一気に解決してくれるツールです。
その他にもたくさんのショートカットがありますので、これらの中に自分が求めているものがあればそれをタップして、「ショートカットを追加」すればとりあえずは完了です。ただ毎回そのショートカットを立ち上げるのに、ショートカットアプリを立ち上げるのは面倒ですから、このショートカット自体をホーム画面に追加しておいて、ワンタッチで起動できるようにしておくと便利です。
それにはショートカットアプリの画面下にある「ショートカット」タブをタップして出てくるショートカットの一覧で、ホーム画面に登録したいショートカットのアイコンの中にある「・・・」をタップします。
そこで出てきたショートカットの中身の編集画面で、一番上にある「(ショートカットの名前)」の右側にある下向きの山形アイコン(∨)をタップして出てくるメニューの中から「ホーム画面に追加」を選択すると、このショートカットがホーム画面に追加されます。
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オリジナルのショートカットを作ってみよう
ただ、既成のショートカットの中に自分が求めている機能のものがない可能性もあります。というかほとんどの場合は欲しい機能のものはないことがほとんどです。システム開発の場合でも同じですが、自分のやりたい仕事にドンピシャなシステムなんて、どこにでも転がっているわけではありませんから、結局は”カスタマイズ”することになるわけです。
その場合でもやり方は2つあります。それは
- 最初から自分で作り上げる方法
- 誰かが作ったショートカットをコピーして改造する方法
の2つです。実は最初から自分で全部作ろうと思うと、システム全体で、何をどうしたいのかを事前に整理する作業をしてから設計して実装(システムを組み上げること)をしなければいけないのでやや手間がかかります。例えばそこで、このような設定が考えられます
「帰宅したらWi-Fi&おやすみモードON」にするショートカット
条件としては、「自宅に帰って自宅のWi-Fiに接続したら処理を自動実行する」というものです。実行する動作としては、
- Wi-Fiをオンにする
- (彼氏・彼女がいれば)LINEで「今帰ったよ」と定型文を送信する
- 翌朝のアラームをONに設定
というのはどうでしょう?毎日、家に帰ったときにスマホで行う最低限のルーティーンです。これをオートメーションで自動的に実行しようというわけです。
トリガー(動作が始まるきっかけ)は自宅のWi-Fiネットワークに接続するところから始まります。もちろん自宅以外のWi-Fiに接続されたときに実行されてはいけませんから、自分が自宅の住所にいることを検知しなければいけません。
それが検知出来たら「翌朝のタイマーをセットする」や「メッセージをLINEで送信する」ということを自動で実行させます。
不用意に外部のWi-Fiに自動接続されてしまうと、セキュリティ上問題があるという方がいるかもしれないので、別途、家を出た時には自動的にWi-FiをOFFにするというショートカットが必要になるかもしれませんが、このショートカットを見て改造してみるのもいいと思います。
しかし家に帰ったときに、Wi-FiをONにし忘れていつもと同じようにネットや動画を見てしまうと、パケットのギガを使いすぎて最悪速度制限に引っかかってしまうこともあるため、帰宅時には必ずWi-FiをONにする必要があるのですが、毎回この操作をするのはちょっと面倒です。そこでショートカットを作ってしまおうというわけです。
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家に着いたらWi-FiをONにする
まずは「ショートカット」のアプリを開いて、一番下の「オートメーション」タブをタップします。

ここで「新規オートメーション」をタップします。

「個人用オートメーション」の中から、「到着」を選択します。

ここで一番上にある”場所”を選択して「自宅の住所を入力」するか、今現在、自宅にいるのなら「現在地」をタップします。そして右上の「完了」をタップして元の画面に戻ります。そして一番下にある「すぐに実行」にチェックを入れます。

右上の「完了」をタップします。”いつ”の画面に戻ったら右上の「次へ」をタップします。これでトリガーになる条件(自宅の住所に到着したとき)が設定できたので、次に実行するアクションを設定します。ここで「新規の空のオートメーション」をタップします。

ここでは自宅のWi-Fiに接続するアクションを追加するので、”アクションを検索”の欄に「Wi-Fi」と入力します。すると「Wi-Fiを設定」という項目が出てくるので、これをタップします。
次の画面で「Wi-fiをオンに変更」と表示されるので、そのまま右上の「完了」をタップします。

これで”オートメーション”に新しくアクションが1つ追加されました。ちなみにここで表示される”オートメーション”が不必要になったら、該当する項目を右にスライドすることで削除することが可能です。
これで「家に着いたら自動的にWi-FiをONにする」オートメーションが完成しました。

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LINEで特定の人にメッセージを送る
次はさらに行うアクションを追加します。オートメーションの画面で”自分がXXXXに到着したとき」の右端にある「>」をタップします。

ここには”行う”の欄に先ほど設定した「Wi-Fiを設定」があると思いますので、この右端にある「>」をタップします。

ここで画面を下にスクロールして「LINE」をタップします。

すると”メッセージを送信”という項目が出てくるので、これをタップします。

次に出てくる画面のLINEの項目にある「メッセージ」をタップして「今帰ったよ!」と入力します。

次に「宛先」をタップして「宛先:」の欄に、LINEを送りたい人の名前を入力します。入力したら右上の「完了」をタップします。
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翌日のアラームをONにする
次に設定するアクションは、翌朝のアラームをONにすることです。このアクションを追加する前に、あらかじめ時計アプリのアラームに起床時間を設定しておく必要があります。
翌朝のアラームをONにするアクションを追加するために、画面を下にスクロールして「時計」をタップします。ここではアラームの項目内に「アラームを切り替える」などがあるので、これをタップします。
すると今度は「アラーム⏰X:XXをオンに変更」という項目が追加されるので、既に時計アプリでアラームの時間を設定してある場合には時間を選んでから、右上の「完了」をタップします。

これで家に帰ってきたときに実行されるショートカットの”オートメーション”の設定は完了です。
家を出るときにはiPhoneのWi-FiをOFFにする
次はこれと対になる「家を出たらWi-FiをOFFにする」オートメーションを追加します。これは先に作った「家に着いたら自動的にWi-FiをONにする」オートメーションを参考していただければOKです。新しくオートメーションを追加するときにはオートメーションの画面の右上にある「+」マークをタップすれば追加できます。

※この画面は出発時にWi-FiをOFFにするオートメーションを追加したあとの状態です。
このような感じで分かりましたでしょうか?流れとしては、
- 自宅に帰ったら、「Wi-Fi接続」→「LINEメッセージを送信」→「翌日のアラームをONにする」
- 自宅を出たら、「Wi-FiをOFF」
のアクションが、オートメーションで自動実行されるようになります。
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普通のショートカットとオートメーションの違い
今はショートカットの中にあるオートメーションという機能で、ショートカットを自動実行させるプログラムを作りましたが、普通のショートカットはホーム画面などからアイコンをクリックして実行させます。
つまりユーザーが明示的に”実行”させない限りショートカットは動きません。一方でオートメーションを設定すると、ユーザーが何もしなくても、条件が整えばショートカットが自動実行される点が大きな違いです。
この点を理解してショートカットを有効活用していただければ幸いです。
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まとめ
- ショートカットはiPhoneの機能を組み合わせて自動実行できる便利なツールです。
- 初心者でもギャラリーからショートカットを選んで使えます。
- 慣れてきたらオートメーションを活用して、自分だけの自動化ルーチンが作れます。