あさイチ中継・秋田湯沢『根っこが美味!せり』とは?秋田・湯沢のせりと宮城・名取のせりの違いは?根まで味わう冬のごちそうを徹底解説!

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冬が来ると食べたくなる、根までおいしい“せり”

冬の寒さが深まるころ、鍋に浮かぶ緑が恋しくなる、その代表格が――“せり”です。とくに、根っこまで味わう「せり鍋」は、東北の冬の風物詩。シャキッとした歯ざわり、かすかな苦み、そして根から立ちのぼる土の香り。食べるたびに、体の奥からあたたまるような幸福感が広がります。そんな“根のうまさ”に注目したのか、10/28放送のNHK『あさイチ』中継は、秋田県湯沢市から、「根っこが美味!せり」の中継が行われます。

🏔️第1章:あさイチ中継が伝える、秋田・湯沢の“根っこ文化”

秋田県湯沢市といえば、江戸時代から“せりの名産地”として知られる三関(みつせき)地区があります。
冷たい湧水と雪どけ水に恵まれたこの土地では、根が長く、白く、香りの強い「三関せり」が育ちます。

今回の中継では、あさイチ東北担当の岩﨑果歩アナウンサーが登場。せりを育てる農家の人々と交流しながら、「なぜ根まで食べられるのか」「どう育てているのか」を紹介するはずです。

あさイチの中継は、“食材を映す”だけではなく、その土地の人の暮らしや、自然との距離感までも伝えるのが特徴。今回も、せりを通して秋田の冬の営みが見えてくるはずです。

三関セリ(出典:あきた郷土作物研究会)
三関セリ(出典:あきた郷土作物研究会)

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🌱第2章:なぜ“根っこ”が主役なのか?

せり鍋にとって、一番の主役は“根っこ”です。見た目は地味ですが、この部分こそ香りと歯ごたえ、そして旨味の源。出汁の熱で少し透き通った根を噛むと、シャキッとした食感のあとに、かすかな苦味とみずみずしい甘味がふわりと広がります。

宮城県では、せりの根を残したまま調理する“せり鍋”が冬の定番です。わたしも毎冬、近所のスーパーで宮城産のせりを見つけると、つい手が伸びてしまいます。
鍋の中で鶏肉や豆腐と絡み合う白い根を見ると、「ああ、冬が来たな」と感じるのです。

しかし最近は、根が切られた状態で売られているせりも増えています。
調理がしやすいという利点はありますが、根のないせりでは、あの独特の食感や香りが半減してしまいます。せりは“葉もの”というより、根まで味わってこそ本来の姿なのです。

秋田・湯沢の三関(みつせき)せりも、この“根の魅力”を大切に受け継いできた地域です。寒さの厳しい土地で育つため、根は長く太く、寒気を閉じ込めたようなコリコリとした歯ごたえがあります。
「根を食べる」という文化が息づいていることが、湯沢のせりを特別な存在にしているのです。

だから都会のスーパーなどで「根っこが切られて売ってるタイプは“体験&味”が半減」してしまうのです。わたしにとってもガッカリなセリになってしまいます。だから農家さん、スーパーの方にお願いします。せりの根っこは多少泥が付いていてもいいので切らないでください!

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🥢第3章:宮城(名取)と秋田(湯沢)のせり、どこが違う?

同じ“根までおいしいせり”でも、宮城と秋田では少し顔つきが違います。宮城の名取市周辺で育つ「仙台せり」は、茎が細く繊細で、香りがやさしく、根っこも比較的短めです。
一方で、秋田・湯沢の「三関せり」は、根が白く長く、歯ごたえがしっかりしています。寒冷地の澄んだ水と土に鍛えられて育つため、ひと噛みごとに“地の力”を感じる味わいです。

わたしが普段食べているのは宮城のせりです。葉や茎のシャキシャキ感が心地よく、根っこの部分にはほんのり甘みがあります。鍋に入れると、熱で根がすこし透き通り、香りが一段と際立ちます。
対して、秋田の三関せりは“根が主役”と言われるほど存在感が強く、茹でても形が崩れにくく、噛むたびにコリッとした力強い食感が残ります。

また、せりの“育て方”にも違いがあります。宮城のせりは湿地帯の浅い水場で栽培されることが多く、柔らかな水の流れの中で根が自然と伸びます。
一方、秋田の湯沢では、雪どけ水や湧水を利用した冷たい水中でじっくりと育てられ、その寒さが“根の締まり”と香りの強さにつながっています。

どちらのせりにも、それぞれの土地の個性が宿っています。名取(宮城)のせりが「やさしく包み込む味」なら、三関(秋田)のせりは「しっかりと主張する味」。
同じ“せり鍋”でも、使うせりが違うだけで表情ががらりと変わる――そこが、この野菜の奥深さなのだと思います。

宮城(名取)と秋田(湯沢)のせり、どこが違う?

比較軸宮城(名取・仙台せり)秋田(湯沢・三関せり)
風味シャキシャキで軽やか香りとコクが深い
根の特徴丸ごと食べられる細めの根白く太い、力強い根
食文化せり鍋・鴨せり鍋せり鍋、石焼鍋・比内地鶏鍋にも合う

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🍃第4章:根まで味わう“せり鍋”の作り方ヒント

せり鍋をおいしく作るコツは、せりの“扱い方”を丁寧にすることです。せりは見た目よりも繊細で、少しの手間で香りや食感が大きく変わります。ここでは、わたしがいつも意識しているポイントを紹介します。

🌱1. 根は絶対に捨てないで

せりの魅力はなんといっても根っこです。買ってきたら、まず水でやさしく泥を落とします。
歯ブラシなどを使って強くこすると根が傷むので、指先でなでるようにして丁寧に洗うのがポイントです。丁寧に洗っても泥のような汚れが残ることもありますが、これも滋味があっていいものです。泥さえ落ちればいいのですから。

根を残したまま調理することで、出汁にほんのりと甘みが加わります。根の部分は茎の上5センチほどのところで切り落とします。そして、鍋の中で煮込むうちに透明感が出て、“シャキッ”とした歯ごたえの中にとろりとした食感が生まれます。

🍲2. 入れるタイミングは最後に

せりの葉は火を通しすぎると香りが飛んでしまいます。鶏肉や豆腐、しらたきなどを入れたらセリの根の部分だけを鍋に入れます。そして他の具材が煮えたあと、一番最後に半分ほどの長さに切ったせりの葉と茎の部分を入れて30秒ほどで火を止めるのが理想です。根の歯ごたえと葉の柔らかさ、そのコントラストこそが“せり鍋の醍醐味”です。

🍜3. 出汁はやさしく、香りを立てる

出汁は鶏ガラや比内地鶏(普通の鶏もも肉などでも十分です)など、コクがありながらもくどくないものが合います。醤油や塩で整える際は、せりの香りを邪魔しないように控えめに。
鍋の最後に、根と茎の香りがふわっと立ち上がる瞬間が、冬のごちそうのクライマックスです。

せり鍋は、難しい料理ではありません。けれど、ひとつひとつの工程に“せりへの愛情”を込めることが大切です。わたしにとって、せり鍋を作る時間は“冬を味わう儀式”のようなものです。その年のせりを見て、香りを感じ、根をしゃぶる――。きっとそれが、東北の冬に生きる人たちのささやかな楽しみなのだと思います。

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❄️第5章:地元に根づく“冬のごちそう”

せり鍋は、単なる冬の料理ではありません。それは、土地の水と空気と人の手が生み出す“季節の物語”だと思います。秋田の三関せりも、宮城の仙台せりも、寒さの中でゆっくりと育ち、凍てつくような冬の風景の中でこそ輝きを増します。

雪解け水や湧水がせりの根を育て、農家さんたちの手で丁寧に束ねられて出荷される――その一つひとつに、冬を越えるための知恵とあたたかさが詰まっています。

わたしにとって、せり鍋は“東北の冬を味わう儀式”のようなものです。根をしゃぶりながら感じる土の香り、煮えた鍋の中で広がる甘みと苦みのバランス、そして食べ終えたあとに残る、「今年もこの季節が来たんだな」という小さな幸せ。

テレビで見るせり鍋も美しいけれど、実際に食卓でせりを煮込むと、部屋いっぱいに立ちのぼる香りが、
まるで冬の空気をやわらかく包んでくれるように感じます。

根までおいしいせりは、東北の冬に生きる人たちの誇りであり、その香りは、雪の下で息づく命のぬくもりを教えてくれる気がします。

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