人生 海あり山あり 尾鷲・九鬼町に息づく暮らしのかたち|小さな旅

九鬼町の集落 BLOG
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熊野灘をのぞむ三重県尾鷲市九鬼町。海と山がすぐそばで寄り添うこの町には、昔ながらの暮らしと、新しい人生が静かに交差しています。春、町は「春ぶり」の季節に沸き立ちます。かつて住民たちが力を合わせて定置網を設けた歴史が、今もこの海に息づいています。

細い路地に民家が連なる漁師町。その一角には、東京から移り住んだ女性が開いた小さな書店があります。また、海へと続く山道では、道を整えながら人を案内する山岳ガイドの女性の姿も。

海で生きる人、山で生きる人。そして、この町で新たな一歩を踏み出した人たち。九鬼町には、それぞれの「海あり山あり」の人生が、ゆっくりと重なりながら流れています。

【放送日:2026年3月22日(日)8:00 -8:25・NHK-総合】

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春ぶりに沸く海 ― 九鬼町に息づく漁師の歴史

三重県尾鷲市九鬼町。熊野灘に面したこの小さな漁師町は、古くから海とともに生きてきました。春になると、この町はひときわ活気づきます。目当ては「春ぶり」。脂ののったぶりが回遊してくるこの季節は、海の恵みを実感する特別な時間です。

九鬼町ではかつて、住民たちがお金を出し合い、定置網を設置しました。海は誰か一人のものではなく、町の人たちみんなで支え、分かち合うものだったのです。

その営みの中には、自然への敬意と、暮らしを守る知恵がありました。豊かな海であっても、いつも同じように魚が獲れるわけではありません。潮の流れや天候、そして魚の動き――人は海を支配することはできず、ただ寄り添いながら生きていくしかない。

だからこそ、海で生きるということは、自然と向き合いながら、自分の力の限界を知ることでもありました。九鬼町の人々は、そうした海の厳しさと恵みの両方を受け止めながら、長い時間をかけてこの町を守り続けてきたのです。

春ぶりに沸くこの季節。それは単なる漁のにぎわいではなく、海とともに生きてきた歴史が、今も息づいている証でもあります。

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路地に生まれた新しい風 ― 漁師町の小さな書店

九鬼町の路地は、細く入り組み、家々が肩を寄せ合うように建ち並んでいます。海と山に挟まれたこの土地では、限られた場所の中で暮らしが形づくられてきました。そんな漁師町に、ひとつの小さな書店があります。

開いたのは、東京から移り住んできた女性。かつて都会で暮らしていた彼女は、この町に新しい風を運んできました。

九鬼町には、もともと本屋がなかったといいます。本を買うには、町の外へ出なければならない。そんな環境の中で、この書店は生まれました。

けれどこの場所は、ただ本を売るための店ではありません。本を手に取り、言葉に触れ、誰かと少しだけ会話を交わす。そんな時間が、静かに流れています。漁に出る人たちの町に、本という“もうひとつの世界”が加わることで、日常の中に小さな広がりが生まれました。

外から来た人だからこそ見えた、この町の魅力。そして、ここに足りなかったもの。書店というかたちは、その両方をやさしく結びつけています。九鬼町の路地の奥で、新しい物語が、静かにページをめくり始めています。

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海から山へ続く道 ― 九鬼町の自然と暮らし

九鬼町の魅力は、海だけではありません。振り返ればすぐそこに、深い山の気配が広がっています。熊野灘に面したこの町は、海と山が隣り合うように存在しています。漁師町でありながら、山の恵みとも無縁ではない――そんな独特の環境です。

海へと続く道と、山へと続く道。その両方が、日々の暮らしの中に自然に溶け込んでいます。かつてこの地域では、山の道は単なる登山道ではなく、生活を支える大切な道でもありました。

物を運び、人が行き来し、海と山をつなぐ“生活の動脈”のような存在。その道は今も残り、人の手によって守られながら、静かに息づいています。

海のそばで暮らしながら、山の気配を感じる。山の中に入りながら、海の存在を忘れない。九鬼町の暮らしは、その両方に支えられています。

海あり、山あり。この言葉は、ただの風景の説明ではなく、この町に生きる人々の暮らしそのものを表しているのです。

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山をつなぐ人 ― 登山道を守るガイドの想い

九鬼町の山へと続く道には、今も人の手が入れられています。それを担っているのが、登山道の整備に力を注ぐ山岳ガイドの女性です。

木々に覆われた山道は、放っておけばすぐに荒れてしまいます。落ち葉に埋もれ、枝に覆われ、やがて人が通れない道になってしまう。だからこそ、道を守るということは、人と自然をつなぎ続けることでもあります。

彼女は道を整えながら、人を山へと案内します。安全に歩けるように、そしてこの土地の自然を感じられるように。

足元の石、木の香り、差し込む光。一歩一歩の中に、この山の時間が流れています。かつて生活のために使われていた道。今は、訪れる人が自然と向き合うための道へと変わりつつあります。それでも、その役割の本質は変わりません。

人が山に入り、山を感じ、そしてまた戻ってくる。その循環を支えているのが、この道であり、それを守る人の存在です。海の町でありながら、山とも深く結びついている九鬼町。その静かなつながりを、彼女は今日も足元から支えています。

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海と山のあいだで ― 新しい人生が重なる町

熊野灘の海と、背後に広がる山。九鬼町は、そのふたつに抱かれるようにして存在しています。

海で生きてきた人々の歴史。山とともに歩んできた暮らし。そしてそこに、新しくこの土地を選び、根を下ろした人たちの人生。それぞれの歩みは違っていても、この町ではゆっくりと重なり合っていきます。

漁師町の路地に生まれた小さな書店。山の道を守り、人を導くガイドの存在。どちらも、この土地に新しい息吹をもたらしています。

変わらないものと、変わっていくもの。そのあいだで、人は自分の居場所を見つけていく。九鬼町の魅力は、特別な何かがあることではありません。海と山があり、人の暮らしがあり、その中でそれぞれの人生が静かに流れていること。

「海あり山あり」という言葉は、この町の風景であると同時に、ここに生きる人々の人生そのものでもあります。九鬼町には、それぞれの物語が、今日も静かに重なっています。

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まとめ|海と山に抱かれて生きる町

三重県尾鷲市九鬼町。熊野灘の海と、背後に広がる山に囲まれたこの町には、昔から続く暮らしと、新しく始まる人生が静かに重なっています。

春ぶりに沸く海には、住民たちが支えてきた歴史があり、路地の奥には、新しい風を運ぶ小さな書店が生まれました。山へと続く道は、今も人の手によって守られ、そこには自然と向き合いながら生きる人の姿があります。

海と山、そのあいだで紡がれるそれぞれの人生。大きく語られることはなくても、ひとつひとつが確かに息づいています。「海あり山あり」という言葉の中には、この町の風景だけでなく、人の生き方そのものが映し出されています。

九鬼町を歩くと、どこか懐かしく、そしてあたたかな時間に出会います。その静かな余韻は、きっと訪れた人の心の中に、そっと残り続けるのでしょう。

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