佐賀と聞いて、何を思い浮かべるだろう。呼子のイカ、伊万里焼や有田焼、嬉野温泉。食も焼き物も温泉もそろっているのに、観光地の人気ランキングでは、なぜかいつも下のほうにいる。正直、ずっと不思議だった。
そんな佐賀で、NHK「列島ニュース」の中で触れられる予定なのが、ご当地アニメの聖地巡礼に特化した「SAGAつながるタクシー」という取り組みだ。アニメに詳しくない人間からすると、「佐賀でアニメ?」と首をかしげてしまう。けれど調べてみると、このタクシーは、ただの“アニメ向けサービス”ではなかった。
「ゾンビランドサガ」というアニメの舞台となった場所などを巡りながら、佐賀の町や風景を、少し違った角度から見せてくれる仕組み。知らなかった世界に、思いがけず連れていかれる旅でもある。
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佐賀でなぜアニメ聖地巡礼?
正直に言えば、「佐賀でアニメ聖地巡礼」と聞いて、すぐにイメージが湧く人は多くないだろう。
佐賀といえば、呼子のイカや伊万里焼や有田焼、温泉地。歴史や食、ものづくりの印象が強く、アニメと結びつくイメージは、後からついてきたものに近い。けれど佐賀県を舞台にしたアニメ『ゾンビランドサガ』は、そんな固定観念を、少しずつ揺さぶってきた。
物語の中に登場するのは、実在する町や風景。佐賀城周辺、唐津の街並み、見慣れたはずの場所が、アニメを通して「意味のある場所」に変わっていく。それに反応したのは、アニメファンだけではない。「どうせ人が来るなら、ちゃんと案内できる形にしよう」そんな発想から生まれたのが、アニメ聖地巡礼に特化したタクシーの仕組みだった。
ただ巡るのではなく、背景を知り、物語を重ねながら走る。佐賀でのアニメ聖地巡礼は、作品をきっかけに、土地そのものに触れてもらうための“入口”として育ってきた。気づけば、興味のなかった人まで、その世界に連れていかれている。
佐賀のアニメ聖地巡礼は、そんな始まり方をする旅なのかもしれない。
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SAGAつながるタクシーとは?
SAGAつながるタクシーは、佐賀県で行われているご当地アニメの聖地巡礼に特化した貸切タクシーサービスだ。最大の特徴は、ただ目的地を回る“移動手段”ではないこと。佐賀市観光協会を通じて予約され、観光コンシェルジュが関わりながら、アニメの舞台となった場所を中心に案内してくれる。
巡るのは、佐賀城本丸歴史館周辺や、唐津の街並みなど、『ゾンビランドサガ』の中で印象的に描かれた場所。画面越しに見ていた風景が、実際の町として立ち上がってくる。とはいえ、案内はアニメの解説だけに偏らない。土地の歴史や、その場所が持つ本来の背景も、さりげなく織り交ぜられる。
アニメをよく知っている人にとっては、「ここがあの場面か」と重ね合わせる楽しみがあり、詳しくない人にとっては、“物語の入口がついた観光案内”として機能する。貸切タクシーという形も、このサービスを支えている。移動のあいだも含めて体験が続き、知らない話題でも、自然と耳を傾けてしまう距離感が生まれるからだ。
SAGAつながるタクシーは、アニメファンのためだけの企画ではない。作品をきっかけに、佐賀という土地に“つながっていく”ための、ひとつの工夫なのだ。
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どこを巡れる?佐賀市・唐津の舞台
SAGAつながるタクシーで巡る場所は、いわゆる“アニメの点”ではなく、町の流れとしてつながる舞台だ。
まず名前が挙がるのが、佐賀城本丸歴史館。天守閣こそないものの、本丸御殿が再現されたこの場所は、歩くだけで当時の空気が伝わってくる。佐賀は鍋島藩の城下町。幕末には、反射炉や大砲製造など先進的な科学技術を積極的に取り入れ、薩摩藩にも引けを取らない存在だった。
静かな佇まいの中に、「実は先進的だった佐賀」の顔が見える場所でもある。アニメの舞台として訪れると、その重なりが面白い。キャラクターの物語と、佐賀が歩んできた歴史が、同じ場所でそっと交差する。タクシーはそのまま、唐津方面へと向かうこともある。
城下町の景色、海の気配、佐賀市とはまた違う表情が広がるエリアだ。唐津では、アニメキャラクターのマンホールなど、ファンなら思わず足を止める仕掛けも点在する。
一方で、唐津城や町並みそのものが持つ魅力も強く、アニメを知らなくても、「いい場所だな」と感じられる。佐賀市と唐津。歴史の中心と、海に開いた城下町。SAGAつながるタクシーは、その間を走りながら、アニメと現実、過去と今を、無理なくつないでいく。頭の中に、点ではなく線が引かれたとき、この旅の輪郭が、少しはっきりしてくる。
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アニメを知らなくても楽しめる?
SAGAつながるタクシーの面白さは、アニメを「知らない人」を置いていかないところにある。たとえば唐津方面へ向かえば、伊万里の「ドライブイン 鳥」に立ち寄る楽しみもある。地元ではおなじみのCMソングとともに、焼き鳥やとりめしを頬張る時間は、それだけで立派な旅の目的になる。
さらに足を伸ばせば、日本の磁器発祥の地とも言われる有田の町並み。白磁の器が並ぶ通りや、静かに続く窯元の風景は、アニメとは関係なく心を引きつける。こうした場所は、アニメの舞台として“設定された”というより、もともと魅力を持っていた町だ。アニメは、その入口を少し分かりやすくしてくれているだけとも言える。
だから、アニメに詳しくなくても大丈夫。「どこかに連れていかれる感覚」の正体は、実は佐賀そのものの引力なのだ。気づけば、歴史に触れ、町を歩き、ごはんを食べ、器を眺めている。アニメは、そのすべてをつなぐ“きっかけ”にすぎない。旅の主役は、最後まで佐賀の町であり続ける。
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どうやって参加する?予約と知っておきたいこと
SAGAつながるタクシーは、思いつきでふらっと乗るタイプのサービスではない。その分、ちゃんと準備されている。予約は、佐賀市観光協会を通じて行う形が基本。日程や希望に合わせて、観光コンシェルジュが内容を調整してくれる。
ここで大事なのは、「アニメに詳しくないけど大丈夫ですか?」と正直に伝えてしまっていい、ということ。むしろ、そのほうが町の話や背景を多めにした案内にしてもらえる。貸切タクシーなので、移動中も含めて体験が続く。
歩き疲れる心配も少なく、「次はどこ?」と考えなくていいのも、実はかなり楽だ。唐津方面を中心にするのか、佐賀市内をじっくり回るのか。伊万里や有田の話題を入れたい、ごはんを楽しみたい――そんな希望も、相談次第で組み込める。
アニメの知識がなくても、佐賀の町を“まとめて体験したい”人には、これ以上ない移動手段かもしれない。正直に言えば、バルーンフェスティバルだけで佐賀を語るのは、もったいない。歴史も、町も、食も、ちゃんと面白い。SAGAつながるタクシーは、その入口を、少しだけ広げてくれる存在だ。
SAGAつながるタクシー
SAGAつながるタクシーは、佐賀市内観光施設間を巡る貸切タクシーの利用料金を、最大52%OFFで利用できる制度です。
〇利用可能時間:9:00~18:00
〇利用料金:利用コースにより料金が異なります。詳しくはモデルコースをご参照ください。
【当日の流れ(一例)】
①SAGA MADO(サガマド)にご来店・受付(1週間前までの事前予約をおすすめします)
②観光コンシェルジュよりコース説明&料金のお支払い
③観光コンシェルジュが手配したタクシーに乗車し、聖地巡礼に出発!
④聖地巡礼終了後SAGA MADOにてタクシー降車
- お問い合わせ先:SAGA MADO(サガマド)
- TEL:0952-37-3654(9:00~18:00・12/31~1/3休み)
- オンライン事前申し込みURL:https://www.sagabai.com/main/5114.html

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まとめ|“連れていかれる”先にあった佐賀の本当の顔
佐賀のご当地アニメ聖地巡礼タクシーは、アニメファンだけのための特別な仕組みではない。『ゾンビランドサガ』という作品をきっかけに、佐賀城や唐津の町、伊万里や有田といった土地の魅力が、一本の線でつながっていく。
アニメを知らなくても、予約はネットや電話ででき、興味の度合いに合わせて案内してもらえる。「詳しくないから不安」という人ほど、むしろ安心して参加できる仕組みだ。
自虐ネタにされがちな佐賀だけれど、歴史も、食も、町の個性も、実は語れるものがたくさんある。バルーンフェスティバルだけじゃない佐賀の姿を、このタクシーは、少し違う角度から見せてくれる。
冒険の始まりは、たいてい自分の意思よりも、「なんとなく連れていかれる」ところから始まる。佐賀の旅も、きっとそうだ。気づけば、知らなかった町が、少しだけ身近になっている。そんな終わり方も、悪くない。