琵琶湖のほとりの春 秀吉の町・長浜を歩く|小さな旅

長浜の城下町を歩く女性 BLOG
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日本一大きな湖、琵琶湖。その北東のほとりに、静かな城下町があります。滋賀県長浜市です。春になると、湖から吹くやわらかな風が町を包みます。

湖魚を扱う魚屋、梅の古木を育てる盆梅の管理人、そして“神が棲む島”と呼ばれる竹生島へ通う人々。琵琶湖のそばで暮らす人たちの営みは、今もゆっくりと続いています。

この町を語るとき、欠かせない人物がいます。戦国武将の豊臣秀吉です。秀吉はこの地に長浜城を築き、楽市楽座を取り入れて城下町を整えました。長浜は、秀吉が初めて一国一城の主となった「出世の町」として知られています。

湖と山に囲まれた町には、独自の文化も育まれました。琵琶湖の湖魚を使った料理、冬を彩る盆梅、そして古くから信仰を集める竹生島。長浜には、湖とともに生きてきた人々の物語があります。

春の琵琶湖を眺めながら、城下町をゆっくり歩いてみましょう。湖畔の町・長浜の暮らしに出会う旅です。

【放送日:2026年3月21日(土)6:05 -6:30・NHK-BSP4K】

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出世の城が生まれた町 ― 秀吉と長浜城

琵琶湖の北東の岸辺に広がる長浜の町。湖の水面を渡る風の中に、この町の歴史の始まりがあります。

戦国時代の1573年ごろ、羽柴秀吉は浅井長政を討った功績によって北近江を与えられました。そしてこの地に城を築きます。それが長浜城です。

当時、この町は「今浜」と呼ばれていました。秀吉は町の名を「長浜」と改めます。主君である織田信長の一字をいただいたとも伝えられています。

ここは秀吉にとって、初めて一国一城の主となった場所。のちに天下人へと上り詰める秀吉にとって、まさに出発点となった城でした。秀吉は城を築くだけでなく、城下町づくりにも力を入れました。楽市楽座を取り入れ、商人たちが自由に商売できる町を整えていきます。

こうして長浜は、湖のほとりに広がる活気ある城下町として発展していきました。現在の天守は1983年に復元されたものですが、城が建つ場所は今も琵琶湖のすぐそばです。

湖の水を利用した堀を持つ水城として、長浜城は湖とともにあった城でした。湖畔に立つ城からは、今も静かな琵琶湖の景色が広がります。秀吉もまた、この同じ湖を眺めていたのかもしれません。

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琵琶湖の恵みとともに ― 湖魚を扱う魚屋

長浜の町を歩くと、琵琶湖の恵みを扱う店に出会います。湖魚を扱う魚屋です。琵琶湖には、海とは違う独特の魚が暮らしています。

春になると店先に並ぶのは、稚鮎や小さな湖魚たち。湖で育った魚は、やさしい味わいを持っています。日本一大きな湖である琵琶湖は、長い時間をかけて独自の生態系を育ててきました。ビワマスやホンモロコなど、この湖にしかいない魚も多く、湖魚の文化は滋賀の食卓に深く根づいています。

長浜の魚屋では、こうした湖の魚を昔ながらの方法で扱い続けています。季節ごとに変わる魚を見ながら、店主は湖の様子を感じ取ります。「今年は稚鮎がよく入ってきた」そんな言葉の中には、湖とともに生きる人の感覚が息づいています。

琵琶湖は、ただの風景ではありません。町の暮らしを支える、大きな恵みの場所なのです。

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梅の古木を守る ― 長浜の盆梅文化

長浜の冬を彩る文化に「盆梅(ぼんばい)」があります。鉢の中で梅の古木を育て、花を楽しむ長浜独特の園芸文化です。

長浜といえば豊臣秀吉の城下町として知られていますが、盆梅の文化が広がったのは江戸時代のこと。商人や町人たちの間で、庭にある梅の古木を鉢に移し、家の中でも花を楽しむ文化が育まれていきました。

盆梅の魅力は、何十年、時には何百年と生きてきた梅の木そのものにあります。幹は太く曲がり、枝は風雪に耐えてきた時間を語るようです。

長浜ではこうした梅を守り育てる人たちがいます。「盆梅管理人」と呼ばれる人々です。寄贈された梅や古木を丁寧に手入れし、冬になると見事な花を咲かせます。

花が少ない季節に、ふわりと咲く白や紅の梅。その姿は、長い時間を生きてきた木の静かな美しさを感じさせます。城下町の歴史のそばで、季節を楽しむ文化もまた、長浜の暮らしの一部として受け継がれてきました。

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神が棲む島へ ― 竹生島の信仰

長浜の港から船に乗ると、琵琶湖の北の水面に小さな島が見えてきます。竹生島(ちくぶじま)です。湖の中にぽつんと浮かぶその姿は、近づくにつれてどこか神秘的に見えてきます。

昔からこの島は「神が棲む島」として、人々の信仰を集めてきました。竹生島には、弁財天を祀る宝厳寺や都久夫須麻神社があり、古くから祈りの場所として大切にされてきました。

水のほとりに祀られることの多い弁財天が、琵琶湖の島に鎮座しているのも、この場所ならではの風景です。湖に囲まれた島へ渡ること自体が、どこか特別な時間のように感じられます。水の上を進み、日常の岸辺を離れて、祈りの場へ向かう。竹生島への旅には、そんな静かな切り替わりがあります。

島で土産物店を営む人たちもまた、この特別な場所を支えています。多少の風の日でも島へ渡り、参拝に訪れる人々を迎える。その姿には、竹生島を大切に思う気持ちがにじんでいます。

琵琶湖のほとりの暮らしを見つめてきた旅の中で、竹生島は少しだけ時間の流れが違う場所です。湖の真ん中に浮かぶこの島には、今も静かな祈りが息づいています。

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城下町の味 ― 長浜の郷土料理

長浜の町を歩いていると、ふと食欲を誘う香りに出会います。城下町には、昔から続く素朴な味が残っています。そのひとつが「焼き鯖そうめん」です。甘辛く炊いた焼き鯖をそうめんにのせた料理で、長浜では祝い事や祭りの席でも親しまれてきました。北陸から運ばれた鯖と、城下町の暮らしが結びついて生まれた味です。

翼果楼(よかろう)

もうひとつの名物が「のっぺいうどん」。椎茸やかまぼこなどの具が入った、とろみのあるだしに生姜を効かせたうどんで、体をやさしく温めてくれる一杯です。

茂美志や(もみじや)

こうした料理を味わえるのが、古い町並みが残る黒壁スクエア周辺。商家を活かした食事処やカフェが並び、ゆっくり歩きながら長浜の味に出会うことができます。歴史ある城下町で、湖の恵みを味わう。長浜の料理には、この町の暮らしの時間が静かに溶け込んでいます。

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まとめ|琵琶湖のほとりで続く静かな暮らし

琵琶湖の北東に広がる町、長浜。湖と山にはさまれたこの町には、長い時間の中で育まれてきた暮らしがあります。豊臣秀吉が城を築き、城下町として発展した町。その歴史のそばには、琵琶湖の恵みを扱う魚屋や、梅の古木を守る盆梅の文化があります。

湖の真ん中に浮かぶ竹生島には、古くから人々の祈りが集まり、城下町には今も素朴な郷土料理の味が残っています。歴史、文化、そして人々の暮らし。それらはすべて、琵琶湖の水とともに静かに流れてきました。

湖を眺めながら町を歩いていると、長浜という場所がゆっくりと見えてきます。春の風が吹く湖畔の町で、人々の暮らしに出会う小さな旅です。

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