「魚の皮が革に!?」──そんな驚きのものづくりが、高知の海から生まれています。
NHK「あさイチ」中継で紹介される『Ocean Leather』は、廃棄される魚の皮を美しい革に再生するブランド。使うほどに深みが増すその質感には、海の命を無駄にしないという職人たちの想いが込められています。今回は、Ocean Leatherの誕生背景とフィッシュレザーの魅力、そして“海をその手に”というメッセージの意味を探っていきます。
🐟 魚の皮が“革”になる?──Ocean Leatherが生んだ新しい素材
高知の海で獲れた魚の皮が、やがて美しいレザーとして蘇る──。
『Ocean Leather』が生み出す“フィッシュレザー”は、海の命をもう一度生かすサステナブルな素材です。
一般的に魚の皮は、加工の段階で廃棄される副産物。しかしOcean Leatherでは、魚の皮の内部にある「クロスハッチ構造」と呼ばれる網目状の繊維に注目しました。
これは陸上動物の革には見られない独特の構造で、繊維が交差しているため、薄くても引っ張りに強く、破れにくいという特性を持っています。さらに、独自のなめし技術によって臭いを抑え、柔らかさと発色の良さを両立。鞣(なめ)しには植物由来のタンニンを使用し、化学薬品の使用を最小限に抑えることで環境負荷を軽減しています。

サーモン、マダイ、ブリ、シイラなど、使われる魚種ごとに模様や質感も異なります。光の角度によって輝き方が変わり、同じものが二つとないのも魅力。海のきらめきと職人の技が融合した唯一無二の素材──それがOcean Leatherのフィッシュレザーです。
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🌊 海の恵みを最後まで使い切る──フィッシュレザー誕生の背景
『Ocean Leather』を手がけるのは、高知市の水産加工会社・興洋フリーズ株式会社。創業から長く魚の冷凍・加工を担ってきた企業ですが、ある日、工場に山のように積まれる“使われない魚の皮”を見て、社内でこんな声が上がりました。「この皮にも、まだ命の輝きが残っているんじゃないか」。

魚の身だけを商品化し、皮は廃棄されるのが当たり前だった時代。しかし、環境問題や海洋資源の枯渇が進む中で、「魚のすべてを生かす」発想が求められるようになりました。こうして生まれたのが、魚の皮をアップサイクルして革に変える“フィッシュレザー”という挑戦です。
高知は古くから「海とともに生きるまち」。黒潮が運ぶ豊かな漁場に支えられ、魚とのつながりが暮らしの中心にありました。だからこそ、海の恵みを無駄にしないという考え方は、地域の文化そのものに根づいているのです。

「海をその手に」――Ocean Leatherのブランドメッセージには、海と人との関係をもう一度見つめ直す願いが込められています。それは単なるリサイクルではなく、海とともに生きる人々が未来へ渡す“やさしい循環”の形なのです。
Ocean Leather
- 高知県高知市弘化台19−9 興洋フリーズ株式会社の西側の建物
- TEL:080-8630-2878
- 営業時間:8:30~12:00、13:00~17:00
- 定休日:土・日曜
- URL:https://oceanleatherofficial.com/
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👛 ファッションと環境の交差点──世界が注目するサステナブル素材
かつて「魚の皮でバッグを?」と驚かれたフィッシュレザー。いまではその独自の美しさと環境意識の高さから、世界のデザイナーたちが注目する素材になりつつあります。
動物の革の代替としてだけでなく、「廃棄されるものに新しい価値を与える」というアップサイクルの象徴として、欧州のファッションブランドや北欧のデザインスタジオなどでも研究・採用が進んでいます。
Ocean Leatherのレザーは、そうした世界的な動きの中でも“日本の海から生まれた素材”として独自の存在感を放っています。
魚の皮が持つ自然な光沢やウロコ模様は、どんな加工でも再現できない個性を宿しており、財布やアクセサリー、キーケースなど、小さな日常品に「海の記憶」を閉じ込めてくれるのです。
環境問題や動物福祉の観点からも、“使うことで海を守る”という選択肢を生み出したこの素材は、まさにファッションとサステナビリティの交差点に立つ存在。流行ではなく、思想としての「美しさ」を問いかける素材と言えるでしょう。
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🌅 まとめ|海の命が生まれ変わる場所、高知から
高知の海で生まれた魚の皮が、やがて人の手で美しい革製品に姿を変える――。それは単なる技術の話ではなく、「命を最後まで生かす」という優しさの物語でもあります。
『Ocean Leather』が目指しているのは、海の恵みを無駄にしない“循環のものづくり”。使う人がその背景を知り、日々の暮らしの中で「これは海から来た革なんだ」と感じることが、未来の海を守る小さな一歩になるのです。
あさイチの中継では、現場の職人たちがどんな想いでこの素材と向き合っているのかにも注目です。高知から広がるOcean Leatherの挑戦は、ファッションの枠を超えて、海と人との関係をもう一度つなぎ直す試みなのかもしれません。
