キャッシュレスが進まない日本 大阪万博では全面的にキャッシュレス導入も

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日本のキャッシュレス決済の現状って実際のところどうなの?

現金主義が大好きな日本人や日本社会では欧米に比べてクレジットカードの普及も遅れていました。私がまだ子供だった数十年前にはいわゆる個人の信用取引は”悪”と考える人が多かったため、分割払いについても理解されないことが多かったように思います。

私の育った関東地方には割と早い時期から丸井(マルイ)や緑屋といった月賦販売を中心とした百貨店も多くありましたが、「500円で5,000円のお買い物!」という宣伝文句には拒否感もあり、特に戦中戦後世代には「月賦で買うくらいならちゃんと貯金してお金が貯まってから現金で」という考えが根強く残っていました。

丸井は「赤いカードのマルイ」でキャッシングを推し進めましたが、やはり現金主義の日本人の間では大きく広がることはありませんでした。

この当時は「自衛隊金融」や「サラ金(サラリマン金融)」から安易に高利な現金を借りて生活が破綻するといった「サラ金地獄」という言葉が話題になって借金を返済できない人が社会問題になり、月賦販売もその片棒を担いでいるといった誤解もあったようです。

その後の経済成長で親世代の収入が増大・安定してきたこともあって、クレジットカード会社が若者や学生をターゲットにしたカードを次々と発行し始めたために若者を中心にクレジットカード文化が浸透し始めました。

特にクレジットカードは月賦販売よりも敷居が低く、分割手数料はかかるものの頭金の支払いも必要なく、月々の支払額もあらかじめ一定になるように設定できたことから「月賦(ゲップ)」の呪縛からは逃れられた感がありました。

月賦というある意味ダサい(”ゲップ”という響きも貧乏くさい臭いがする)言葉に変わって”クレジットカード”という横文字であってことが、明治維新以来、西洋コンプレックスの強かった日本人にも受け入れやすかったという噂もあります。

キャッシュレス決済の進展は?

経済産業省は、キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にするという目標を掲げてキャッシュレス決済の推進に取り組んでいます。

この目標の実現に向け、キャッシュレス決済比率を定期的に算出・公表しています。2022年のキャッシュレス決済比率は36.0%となりました。ここでいう”キャッシュレス”とは以下のものを含みます。

キャッシュレス決済額及び比率の推移(2022年)・経済産業省のHPから引用

決済額で見ればクレジットカードが30.4%と、2位のコード決済(2.6%)、3位の電子マネー(2.0%)を大きく引き離していますが、決済金額が大きければクレジットカードが使われることが多いためだと思われ、欧米でも同じような傾向が見られます。

電子マネーは事前にチャージしておく必要のあるものが多い上に、紛失や盗難などのセキュリティ上、チャージに上限額が決められているので日常の買い物や交通費以外で使う機会が少ないことが要因ではないかと思われます。

キャッシュレス決済額及び比率の内訳の推移・経済産業省のHPから引用

ここでいう電子マネーには日本の電子マネーの草分け的存在でもあったEdy(現在の楽天Edy)やJR東日本のsuica、東日本の私鉄各社共通のpasmo、7&iホールディングスのnanacoなどがあり、suicaのような交通系ICカードは全国のJRでも各社がそれぞれのブランドで発行している上にJR各社で相互利用ができるようになったために急速に普及しました。

これらの交通系ICカードはコンビニや駅の売店、チェーン系の飲食店、自動販売機などで幅広く使えるため、家に財布を忘れて無一文で出かけても帰宅してテーブルの上に財布が置いてあるのを見るまで忘れたことに気づかないことすらあります。

私は関東にいてJR東日本管内で生活しているので最近まで気づかなかったのですが、suicaにはスマートフォンにインストールして使える「モバイルsuica」というアプリがあってカードのsuicaと同様に使える上に、チャージや定期券もオンラインで買うことができます。

今までは駅の窓口に並んで買わなければいけなかった定期券も、スマホからオンラインで買うことができるのでとても便利になりましたが、JR東日本以外の、例えばJR西日本ではつい最近までモバイルアプリが使えなかったそうです。(2023年3月22日から共用開始しました)

もちろんモバイルsuicaは関西地区でも電子マネーとしては使えますが定期券やグリーン券には使えませんでした。もっともJR東日本でも改札でスマホを出して「ピッ」とする方は半分もいませんから思っているほど需要は高くないのかもしれません。

また「クレジットカードには抵抗がある」という”現金派”の方のためには「デビットカード」というリアルタイム銀行口座引き落としのカードもキャッシュレスとしてカウントされています。

決済金額ランキングでは1.0%と高くはありませんがクレジットカードのように「使いすぎが怖い」という方には一定の支持があるようです。

電子マネーは基本的に事前のデポジット(前払い)ですし、チャージにはクレジットカードの他に、国内で発行されたデビットカードも使えますので”クレジットアレルギー”の方も安心してお使いいただけると思います。

この10年ちょっとで決済額も3倍近くになっていますし、政府も各方面からの要望を受けてキャッシュレス化を推進していますので、この先の展開がますます楽しみです。

QRコード決済の躍進

キャッシュレス決済の進展で忘れてはいけないのがPayPayをはじめとするQRコードやバーコード決済ではないでしょうか? 政府がキャッシュレス政策を推し進める中、2018年に彗星のように現れたのがソフトバンクグループが取り扱うPayPayです。

それまで電子マネーのICカード決済では店舗側に大きな設備負担がかかってしまうため、大手のコンビニやデパート、チェーン店以外では使えるところが限られていました。

しかしQRコード決済では店舗側にPOPのような紙製のQRコードが書かれたものをレジ横に置いて、顧客のスマホで読み取ってもらい、店舗側から伝えた支払い金額を打ち込んでもらったものを店員が確認した上で「支払い」ボタンをクリックすれば決済が完結するので、一気に利用できる店舗が広がりました。

またPayPayの導入当初は店舗側で負担する導入費用も決済手数料も無料だったこともあって、キャッシュレス決済では後発だったにも関わらず、一気に利用できる店舗数と顧客数が増えました。

首都圏にいるとsuicaや楽天Payなどが使える店舗も多くてあまり気になりませんが、ソフトバンクホークスの本拠地・福岡に行くと「PayPayしか使えません」というお店が多く、それまではSuicaの電子マネーだけしか使っていなかった私も、やむを得ずPayPayアプリをインストールしました。

QRコード決済はモバイルsuica決済に比べて、

 1.アプリを立ち上げる
 2.QRコードを読み取る
 3.支払い金額を入力する
 4.お店の人に確認して「決済」ボタンを押す

と面倒くさい面もありますが、カバンから財布を取り出して小銭を数えて支払うことを考えれば、小銭で財布が重くパンパンになることもなく便利なものです。

最近のコンビニではアプリを立ち上げて店舗側のQRコードリーダーで「ピッ」っとすれば決済完了になるところも多いので、最近は私もQRコード決済を使う機会が増えました。

大阪万博でキャッシュレスの意義

2025年には大阪で「大阪・関西万博」が開催されます。ここではなんと会場内の支払い手段が全てキャッシュレス決済になるそうです。当然その背景には政府も一丸となった日本のキャッシュレス推進の動きがあります。万博で全面的にキャッシュレス決済を取り入れるのは世界でも初めての試みになります。

万博(万国博覧会)は日本でも幕末の頃から、各国の最新の技術や文化を幅広く世界に紹介することを目的に一つにしてきたわけですから、日本としては今まで世界に遅れをとってきたキャッシュレスで、「日本は頑張ってるんだぞ!」感を世界に紹介するチャンスです。

アフターコロナのインバウンドにおいても外国人観光客が日本国内でどこでもクレジットカード(欧米では少額でもほとんどがクレジットカード決済です)が使えることをアピールする目的もあると思われます。

経済産業省は、2025年までにキャッシュレス決済比率を4割程度にするという目標を掲げています。2022年のキャッシュレス決済比率は36.0%まで高まっていますが、それでも欧米や韓国や中国などの東アジア諸国に比べて格段に低いのが現状です。

こうしたことから万博会場内の売店やレストランなどの施設でキャッシュレス決済を本格導入し、現金の取り扱いを行わない代わりに決済手段を持たない外国人来場者、修学旅行等で訪れる学生向けに、プリペイドカードの販売などのサポート手段を検討します。

もっとも日本人より欧米人の方が決済手段としてのクレジットカードは使い慣れているとは思いますが…。

また会場内のキャッシュレスの決済手段としてクレジットカードの他にも交通系ICカード、QRコード型電子マネーなど、日本最大級となる60社以上の事業者のサービスを使えるようにする予定です。

まとめ

国内でも大都市圏を中心に普及が進むキャッシュレス決済ですが、まだ高齢者を中心に”クレジットカードアレルギー”の多い日本で、現金よりもキャッシュレスの利便性(加齢で小銭が区別が難しい高齢者など)が、小銭を数えるよりキャッシュレスの方が間違いがなくて安心と感じてもらえるような仕組みづくりを積極的に進めていくことが大切なのではないでしょうか?

そのためには昨今のニュースでも取り上げられているマイナカードの個人情報流出事故などの対策を万全に行い、ITに対する不信感を少しでも取り除けるよう、特に日本政府、デジタル庁に要望するところです。

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