【あさイチ中継】高知流たこ焼き──“出汁と香り”で味わう土佐の小料理たこ焼き

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海と太陽と鰹のまち・高知。潮の香りが混じる夜風のなか、鉄板の上では小さな丸いたこ焼きが踊っています。けれど、ソースの香りはどこか軽やか。ここ高知では、たこ焼きは“粉もん”ではなく、れっきとした“小料理”なのです。
濃厚ソースとマヨネーズの代わりに、ゆずポン酢やマミーソース、醤油だれがじゅっと香る。その味わいはまるで「鰹のたたき」のように、さっぱりと、けれど奥深く、高知らしい余韻を残します。
高知流たこ焼き——それは、海と人が育んだ“香りで食べるたこ焼き”。一口ごとに、南国の夜風がそっと吹き抜けていきます。

🐙たこ焼きではない、「土佐の小料理」としての位置づけ

高知の夜。屋台の明かりがゆらめく帯屋町の一角で、鉄板の上に丸い生地がくるくると転がる。けれど、それは大阪の“粉もん”とは少し違う光景です。

高知の人にとって、たこ焼きは「おやつ」ではなく「つまみ」。鰹節の香りやゆずの酸味とともに、一日の終わりに軽く一杯やりながら楽しむ“小料理”のような存在です。

なかでも注目を集めているのが、高知市のたこ焼き店「鰹蛸」。もともと出汁屋として70年以上の歴史を持つ店が、培ってきた“鰹出汁”の技を生かして作るたこ焼きは、まるで料亭の一品のような深みをもっています。

外は香ばしく、中はとろり。そのなかに漂う鰹の旨味とソースの香りが、高知の夜にふさわしい穏やかな余韻を残します。

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🐙高知流の「味付け革命」──鰹出汁+マミーソース+ゆずポン酢

高知流たこ焼きのいちばんの魅力は、なんといっても“味の自由さ”にあります。出汁の旨味を軸にしながら、ソースや薬味を自在に組み合わせる。その発想は、まさに「鰹のたたき」のように、素材の香りを生かしながら自分好みの一口を作るという、土佐人らしい遊び心の表れです。

生地には鰹節と昆布の合わせ出汁がたっぷり。一口かじると、外の香ばしさのすぐあとに、ふわっと“潮の香り”と出汁の甘みが広がります。

その上にかけるのが、地元安芸市発祥の「マミーソース」。甘さと酸味、そしてほんの少しのスパイスが調和した、高知らしい“陽気な旨味”のシンボルです。

さらに、ゆずポン酢をひとたらし。油を使わず、出汁の余韻を引き立てる香りが広がります。濃厚なたこ焼きとは対極にある、“軽やかに香る”たこ焼き——それが高知流の味わいです。

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🐙さっぱり&香りで食べるたこ焼き——後味の軽さと質の高さ

大阪のたこ焼きが“ソースとマヨネーズで楽しむ庶民の味”なら、高知流たこ焼きは“香りと出汁で味わう小粋な一皿”。

焼きたてを割ると、立ちのぼるのは油の匂いではなく、鰹節の出汁とゆずの香り。その一瞬で、食欲よりも「ほっとする」気持ちが先にくるのです。舌にのせるとふんわり軽く、油っぽさがほとんど残らない。

後味には、出汁の甘みとゆずの爽やかさがすっと引いていく。この“余韻の軽さ”こそが高知流の真骨頂です。そんな味わいを求めて、地元では一度に十個以上を頼む人も少なくありません。

「飲んだあとでも食べられる」「またすぐに食べたくなる」——それが、高知の夜に愛される理由なのです。

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🐙屋台から食文化へ──「鰹蛸」の挑戦とまちの味の変化

高知市の中心部・追手筋。観光客が通り過ぎるその脇で、湯気の向こうに“たこ焼き屋台”の灯りがぽっと灯る。「鰹蛸」は、そんな日常の中に小さな革命を起こしたお店です。

創業のルーツは出汁屋。だからこそ、ソースよりもまず“出汁の香り”を感じてほしい——。そんな思いから、出汁を主役にしたたこ焼きづくりが始まりました。
最初は「味が薄い」「たこ焼きじゃない」と言われたこともあったといいます。けれど次第に、その優しい旨味と軽やかな香りが口コミで広がり、今では地元の夜の顔のひとつになりました。

お店の前では、学生も、観光客も、地元の常連も、同じように湯気の立つ舟皿を手に笑顔を浮かべています。高知流たこ焼きは、屋台の片隅から“まちの文化”へと変わったのです。

土佐のたこ焼き 鰹蛸

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🐙まとめ|鰹香るまちの丸い幸せ——高知流たこ焼きの美学

鉄板の上で、たこ焼きがくるりと回る。その一瞬に詰まっているのは、高知の人たちが大切にしてきた“出汁の心”と、“遊び心”。

濃厚なソースで押し切るのではなく、素材の香りを信じ、余韻を楽しむ。その控えめな美学が、どこか高知らしい自由さと誇りを感じさせます。

たこ焼きが、屋台から食文化へ——。その過程には、土地の味と人の想いが重なり合っています。鰹が泳ぐ海と、たこが棲む海。二つの海が出会って生まれた“高知流たこ焼き”は、きっと、これからも誰かの心を温める香りであり続けるでしょう。

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