こんにちは鳥巣です。3/21のケンミンSHOWでは、福岡の「ごまさば」が特集されるようです。私も福岡に行くと胡麻鯖を食べることが多いですが、関東ではサバを刺身で食べることは滅多にありません。昔から「サバの生き腐れ」という諺があるように、関東ではサバは痛みやすい魚として認識されています。
しかし福岡ではそんな鯖の刺身が「ごまさば」といって居酒屋や食堂などで普通に出されています。なぜなのでしょうか?とても気になる話題なので調べてみました。
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「ごまさば」は福岡・博多の名物料理?!
博多の街で一杯飲ろうと居酒屋を転々としてみると、多くのお店に「ごまさば」というサバの刺身を醤油ダレでヅケにしたメニューがあることに気付きます。
ゴマサバと聞くと標準和名「ゴマサバ」(丸サバ)なのかと勘違いしてしまいますが、福岡の「ごまさば」は標準和名「マサバ」(平サバ)を使った料理です。
鯖はなくても胡麻カンパチや胡麻鯛なんてメニューもチラホラ見かけます。「サバを刺身で食べる」なんて聞くと、関東の人間は「当たる(食中毒になる)んじゃない?」と心配になります。
でも博多の人はそんなことはお構いなしに、生のサバを平気でパクパクと食べています。私も最初は恐る恐る食べてみましたが、一口食べるとこれがまた美味いのなんのって!あっという間に大ファンになりました。
今では博多に行くたびに胡麻サバを食べていますが、幸いなことに私はまだ当たったことはありません。周りの福岡人に訊いても、食中毒の話を聞いたことはありません。
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生の鯖はなぜ食中毒になりやすいの?
「サバの生き腐れ」という諺もあるように、刺身などの生のサバを食べると食中毒を起こすことがあります。その原因は主に2つあって、
①ヒスタミンによるアレルギー症状
②アニサキス(寄生虫)による胃腸壁への侵入
が考えられます。
①ヒスタミン中毒
「ヒスタミンによるアレルギー症状」は、サバはその死後、自己消化し細菌による腐敗が早いことが挙げられます。
サバをはじめとした青魚に多く含まれるヒジスチンという物質に、エラや消化器官に多く存在するヒスタミン生成菌の酵素が作用してヒスタミンが生成されます。ヒスタミンは非常に厄介で、冷凍や加熱をしても毒性が消えることはありません。
②アニサキスによる食中毒
アニサキスはサバやイワシ、スルメイカなどに寄生している寄生虫の幼虫です。アニサキスが寄生している魚介類を食べると、人の体内で胃酸などの消化液を嫌って胃や腸の壁を食いちぎって逃げようとするため、激しい痛みや嘔吐を生じます。
アニサキスはお酢で〆たり塩や醤油、ワサビをつけても死なないため、”加熱”やー20℃以下で24時間以上冷凍するなどの対策が必要です。
北海道で鮭を生食する際に「ルイベ」といって屋外で長時間凍らせていたのは、アニサキス対策のためだと考えられています。
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なぜ福岡の鯖は刺身でも食中毒にならないの?
ではなぜ福岡や長崎、佐賀では生の鯖を食べても食中毒を起こすことがほとんどないのでしょうか?「九州の鯖は新鮮だから…」という人もいます。そうかもしれませんが、関東にも新鮮な鯖はあるはずです。
私の知り合いの伊豆の漁師さんは、朝獲れたサバをその場で捌いて食べることがよくあるそうですが、どんなに注意していても年に1〜2回はアニサキスに当たるそうです。
五島列島沖などで捕れたサバが取り扱われる唐津市の魚市場では、魚市場の担当者が「ここのサバのアニサキスは内臓にしかいません。まな板や包丁の水洗いをしっかりすれば、刺し身も安心して食べられます」といいます。
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アニサキスは、クジラやイルカなどの体内で成虫になり産卵します。卵はフンとともに海中に排出され、オキアミなどを通してサバやアジの内臓に寄生するわけです。そんなアニサキスは、遺伝子の違いで約10種類に分類されるといいます。
東京都健康安全研究センターが2007-2009年に、築地市場(東京)に集まる、全国の港で水揚げされたサバを調べた結果、次のようなことがわかったそうです。
高知県から青森県までの太平洋側のサバは8割以上がアニサキス・シンプレックス・センス・ストリクト(シンプレックス)という種類だったのに対して、長崎県から石川県の日本海側のサバは8割以上がアニサキス・ピグレフィー(ピグレフィー)という別の種類であることが判明したそうです。
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2つのアニサキスの違いは、魚の内臓に寄生した後、魚の死後に肉質部にまで潜り込む「移行率」が、”シンプレックス”の約11%に対し、”ピグレフィー”は0.1%と大きく異なることも明らかになったといいます。唐津の魚市場で聞いた「内臓にしかいない」という言葉を裏付けるデータと言えるかもしれません。
ただ九州北部の鯖にアニサキスが少なかったとしても、ヒスタミンによる食中毒には注意する必要があることには変わりはありません。
また西九州自動車道(福岡-佐賀-長崎)が開通したことで、長崎県松浦市や伊万里、唐津方面と福岡市が圧倒的に短時間で結ばれるようになり、長崎や佐賀のより新鮮な魚介類が福岡で手に入りやすくなったことも影響しているのではないでしょうか?
※これらのデータはまだ検証中です。「絶対に大丈夫!」というわけではありませんので注意が必要です。どんな食品でも生食にはある程度のリスクは付き物だということをご理解ください。
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福岡・博多の「ごま鯖」のお店
福岡・博多では多くの居酒屋さんや食堂で「ごまさば」を食べることができますし、お店によってタレや調理方法も違うので色々なごまさばを味わうことができます。ここではそのいくつかのお店を紹介してみますが、ここが一番!というわけでは決してありません。
博多ごまさば屋
福岡県福岡市中央区舞鶴1-2-11 おがわビル 1F
営業時間:11:00〜14:30、17:30〜22:30
定休日:日曜
URL:https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400104/40034751/
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きはるの胡麻鯖や
福岡県福岡市中央区春吉3-21-28 2F
営業時間:17:30〜22:30
定休日:日曜
URL:https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400103/40004429/
福岡市中央区の国体道路沿いにあるこちらのお店。「ごまさば」を求めて福岡県外からもたくさんのお客さんが来店しています。サバの鮮度です!長崎県五島列島で獲れたサバを堪能できると人気です。
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はじめの一歩
福岡県福岡市博多区博多駅前3-7-15 庄野ビル 1F
営業時間:11:30 – 13:30、17:00 – 23:00
定休日:無休
URL:https://hajimeno-ippo.info/
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ごまさばのまとめ
「ごまさば」は福岡・博多の名物料理?!
博多の街で一杯飲ろうと居酒屋を転々としてみると、多くのお店に「ごまさば」というサバの刺身を醤油ダレでヅケにしたメニューがあることに気付きます。鯖はなくても胡麻カンパチや胡麻鯛なんてメニューもチラホラ見かけます。「サバを刺身で食べる」なんて聞くと、関東の人間は、当たるんじゃないかと心配になります。でも博多の人はそんなことはお構いなしに、生のサバを平気でパクパクと食べています。
生の鯖はなぜ食中毒になりやすいの?
「サバの生き腐れ」という諺もあるように、刺身などの生のサバを食べると食中毒を起こすことがあります。その原因は主に2つあって、①ヒスタミンによるアレルギー症状、②アニサキス(寄生虫)による人の胃腸壁への侵入が考えられます。
なぜ福岡の鯖は刺身でも食中毒にならないの?
アニサキスの種類は約10種類あって、太平洋側のサバは8割以上がシンプレックスという種類だったのに対して、長崎県から石川県の日本海側のサバは8割以上がピグレフィーという別の種類だそうです。2つのアニサキスの違いは、魚の内臓に寄生した後、魚の死後に肉質部にまで潜り込む「移行率」が、”シンプレックス”の約11%に対し、”ピグレフィー”は0.1%と大きく異なることも明らかになったといいます。なので九州北部の新鮮なサバを慎重に調理すれば食中毒になる確率は低いのだといいます。
福岡・博多の「ごま鯖」のお店
福岡・博多のごまさばが美味しいお店を3つご紹介しましたが、博多の居酒屋や食堂では多く(ほとんど)のお店でごまさばを提供していますので、色々なお店で食べ比べてみてください。