卒業証書といえば、丸いワニ柄の紙筒を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
学校を卒業した日に、くるくると丸めた証書を筒に入れて持ち帰った――そんな記憶がある人も少なくないでしょう。
ところが最近の卒業証書は、筒ではなく本のようなケースに入れられていることが増えています。証書を開くと、二つ折りのホルダーの中に収められているあの形です。
いったい、いつから卒業証書は筒ではなくなったのでしょうか? そして、なぜ今のケースの形になったのでしょうか?
埼玉県上里町にある卒業証書ケースの工場からの「あさイチ中継」では、意外と知られていない卒業証書ケースの秘密に迫ります。
【放送日:2026年3月9日(月)8:15 -9:55・NHK-総合】
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卒業証書といえば“ワニ柄の紙筒”?昔の定番スタイル
卒業証書といえば、丸いワニ柄の紙筒を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか? 卒業式の日、証書をくるくると丸めて紙の筒に入れ、家まで大事そうに持ち帰った――そんな光景は長い間、日本の卒業式の定番でした。
筒の中に入れる理由はとてもシンプルです。証書を折らずに持ち運ぶため。卒業証書は大きな厚い紙で作られていることが多く、一度折り目がつくと元に戻りにくくなってしまいます。そのため、紙を丸めて筒に入れる方法は理にかなった保存方法でした。
この形は、実は昔の巻物文化にも通じています。重要な文書を折らずに保存するため、紙を巻いて保管するという方法は西洋でも古くから使われてきました。卒業証書の筒も、そうした文書保存の知恵の延長にあるといえるでしょう。
ところが最近の卒業証書は、あの丸い筒ではなく、本のように開くケースに収められていることが増えています。昔の定番だった筒は、なぜ姿を消しつつあるのでしょうか?
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なぜ筒じゃなくなった?卒業証書ケースの変化
最近の卒業証書は、昔のような丸い筒ではなく、本のように開くケースに収められていることが増えています。証書を広げると、二つ折りのホルダーの内側に収められている、あのタイプです。
この変化には、いくつかの理由があります。まず一つは、卒業証書の扱い方の変化です。以前は証書を丸めて持ち帰ることが一般的でしたが、ホルダー型のケースであれば、証書を広げた状態で保管することができます。卒業証書を記念品として大切に残したいという意識が高まったことも、こうしたケースが広がった背景にあるといわれています。
さらに、写真撮影のとき見栄えがいいというのも大きな理由です。ケースの表面に学校名や校章を金色の箔押しで入れることができる点が大きな特徴です。卒業式という人生の節目を象徴する“記念品”としての意味合いが強くなり、見た目にも格式のあるケースが選ばれるようになりました。
もう一つの理由は、扱いやすさです。筒型は持ち運びには便利ですが、丸いと鞄に入らなかったりします。保管するときにも意外とかさばります。一方、ホルダー型のケースは箱詰めや保管がしやすく、学校側にとっても扱いやすい形といえるでしょう。
こうして卒業証書ケースは、丸い筒から現在のホルダー型へと少しずつ姿を変えていきました。では、そのケースはいったいどのように作られているのでしょうか?
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卒業証書ケースはどう作る?上里町の工場
今回の「あさイチ中継」が訪れたのは、埼玉県上里町にある卒業証書ケースの工場。ここでは学校で使われる証書ホルダーやケースなどが製造されています。
現在主流となっている卒業証書ケースは、厚みのあるビニール素材や布張りのボードなどを使ったホルダー型。証書を開いたまま収めることができるため、見た目にも整った形で保管することができます。
製造工程では、まずケースの本体となる素材を裁断し、折り目や芯材を入れてホルダーの形を作っていきます。その後、表面には学校名や校章などを金色の箔押しで加工。熱と圧力をかけて文字を刻み込むこの工程によって、卒業証書ケースらしい格式のあるデザインが生まれます。
仕上げでは内側に証書を固定するための差し込み部分やリボンなどを取り付け、ケースとして完成します。こうして作られた卒業証書ケースは、全国の学校へと届けられていきます。
卒業式で何気なく手にするケースですが、その裏側には、こうした細かな工程を重ねたものづくりの現場があるのです。
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卒業用品を作る会社とは?専門メーカーの仕事
卒業証書ケースを作る会社は、実は証書ケースだけを作っているわけではありません。多くの場合、学校で使われるさまざまな「卒業用品」を扱う専門メーカーでもあります。
たとえば卒業証書を入れるホルダーやケースのほか、卒業アルバム、記念バッジ、証書フォルダー、学校行事で使われる各種の記念品など。卒業という節目を形に残すためのアイテムが数多く作られています。
学校ごとに校章や校名を入れる必要があるため、こうした製品は一つ一つ仕様が異なります。箔押しで校章を入れたり、色や素材を変えたりと、学校ごとのオリジナル仕様で作られることも多いのです。
毎年、全国の学校で行われる卒業式。その裏側では、こうした専門メーカーが卒業証書ケースやアルバムなどを準備し、節目の日を支える役割を担っています。卒業式で手にする一つのケースの背後には、学校行事を支えるものづくりの世界が広がっているのです。
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卒業証書ケースが残す“節目の記憶”
卒業証書ケースは、普段の生活で開く機会はほとんどありません。卒業式の日に受け取ったあと、そのまま押し入れや本棚の奥にしまわれているという人も多いのではないでしょうか。
けれど、ふとしたきっかけでケースを開くと、あの日の記憶がよみがえることがあります。卒業式の体育館の空気、友人たちとの会話、これから始まる新しい生活への期待と少しの不安――そんな思い出が、証書とともに静かに残されています。
昔は丸い筒に入れて持ち帰った卒業証書。今では本のようなケースに収められることが多くなりました。形は変わっても、そこに込められている意味は変わりません。
卒業証書ケースは、人生の節目をそっと包み込む小さな宝箱のようなもの。普段は目立たない存在ですが、その中には、かけがえのない時間の記憶が大切にしまわれているのです。