【ブラタモリ】日本三景・松島の観光は絶景と地形が見どころ 多島海を生み出したのは堆積岩?火山?カルデラ?

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こんにちは鳥巣です。8/19のブラタモリでは宮城県の松島が特集されます。船好きのタモリさんですから、松島湾の海を嬉々として船で走り回る光景が目に浮かびます。世界中に”絶景”と言われる景色は数々ありますが、富士山と並んで松島は昔から銭湯のペンキ絵でもお馴染みの絶景です。そんな聖地がなぜ出来上がったのでしょうか?残念ながらブラブラできなかった私がちょっとだけ調べてみました。
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松島が日本三景なのは多島海だから?

松島の風景を見ると、ポッコリしたフォルムのたくさんの島々が、静かな海に浮かんでいる姿が印象的です。こういう海を「多島海」と呼び、全国には他にもこのような海があちこちにあります。

松島の多島海
松島の多島海

例えば、長崎の五島列島や九十九島(くじゅうくしま)、熊本の天草、日本海に浮かぶ対馬や瀬戸内海、伊勢志摩の英虞湾もそれに含まれます。他にもそんな場所があちこちにありますが、この中で瀬戸内海以外は同じような地質で成り立っています。例えば五島列島や九十九島は、こんな感じの地質です。

五島列島の地質図
長崎県・五島列島(産総研日本シームレス地質図)
九十九島の地質図
長崎県・九十九島(産総研日本シームレス地質図)

薄い黄色で塗られたところは、大昔に海底に積もった砂や泥が堆積して地上に隆起した岩で出来上がっています。これらの多くは砂が溜まって固まった”砂岩”と、泥が溜まって固まった”泥岩”が交互に積み重なって地層になっていることが多く、通常は砂岩より泥岩の方が柔らかく、波などによる侵食を受けやすくなっています。

海底にあったそんな地層が地殻変動で地上に隆起してきたとき、地層が傾くとこんな感じになります。これをケスタ地形といいます。ケスタとはスペイン語で”斜面”という意味です。この地表に現れた傾いた砂岩泥岩互層(いわゆる「鬼の洗濯板」もコレです)が風雨で侵食されると、凸凹の地形になります。その後に氷河期が終わって海水面が上がってくると、海の中にポコポコと小さな島がたくさんできるわけです。

ケスタ地形
ケスタ地形

理屈はどうあれ、真っ青な海に小さな島々がポコポコと浮かんでいるのは、やっぱり絶景ですよね。きっと昔の人もそう思ったのではないでしょうか?
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瀬戸内海と松島湾は多島海でも違うの?

松島の他にも多島海と呼ばれる地域は日本のあちこちで見られます。前に挙げた、長崎の五島列島や九十九島、熊本の天草、対馬や瀬戸内海、伊勢志摩の英虞湾など、どこも景勝地で有名です。堆積岩による多島海の成り立ちは上で説明した通りですが、瀬戸内海は事情が異なります。瀬戸内海の地質図を見てみると次のようになっています。

しまなみ海道の地質図
瀬戸内海・しまなみ海道(産総研日本シームレス地質図)

これは香川県から広島県に向かう「しまなみ海道」のあたりの地質ですが、ここではピンク色の火成岩の地質が広がっています、つまり火山性の岩石です。具体的には多くが花崗岩(かこうがん)です。四国の北部から中国地方にかけては花崗岩の地質が多く見られます。花崗岩はマグマが地下深くで固まった岩石で、主に石英やカリ長石、黒雲母などを含んだ岩石で、神戸の御影地区で採れる「御影石」もその一種です。

地下深くでゆっくりと冷えて固まるので、やや大きな多種の結晶を含んでいて、それが地表に出てくると温暖差によるそれぞれの結晶の膨張率の違いで砕けやすくなります。

この砕けたものが「真佐土」(まさど、まさつち)といって中国地方に広く分布しているため、2014年の「平成26年8月豪雨」では、水分を含んで崩れやすくなった土砂で、広島県安佐南区や安佐北区に甚大な土砂災害をもたらしました。ちなみに鳥取砂丘の砂も真佐土です。
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多島海の近くにはなぜリアス式海岸があるの?

また多島海の近くでは陸地の奥深くまで入り込んだリアス式海岸が多く見られます。リアス式海岸はケスタ地形とは直接関係ありません。リアスとはスペイン語で「入り江」の意味です。

海洋プレートの上に積もった堆積岩などが、大陸プレートの下に潜り込む時に、海洋プレートの上に積もっている堆積物が、大陸プレートにこそぎ取られて付加体となって地表に露出し、氷河期などで海水面が低い時期に川などで侵食されて深い谷を作ったものです。

付加体のでき方
付加体のでき方

そして氷河期が終わって海水面が上昇した時に、侵食された谷の部分に海が入り込んで深い入江を作ったわけです。これを「溺れ谷」なんて言ったりします。多島海もリアス式海岸も、堆積岩や付加体などの地質のところで多く見られるので、どちらも同じようなところで見られるわけです。

伊勢志摩のリアス式海岸
伊勢志摩のリアス式海岸

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瀬戸内の島々はこうして出来上がった?

松島湾の多島海と瀬戸内海ではその成り立ちが違います。瀬戸内海はもともと低地だったところが、中央構造線が東西にずれ動いたことで、地表にシワができて盛り上がってできた地形です。それにしても中央構造線って宇宙からも見えるって凄いですね。

中央構造線(Google Eieth)

そのシワの部分が淡路島、瀬戸大橋、しまなみ海道の3ヶ所にあって、そこが次第に侵食されて島になったのです。島が集中しているので、橋をかけるのにちょうどよかったわけです。

瀬戸内海
瀬戸内海・しまなみ海道

この中国地方の火成岩の地質は、四国の北側まで続いているので、瀬戸内海の島々も必然的に火成岩でできている島が多いわけです。ちなみに四国の南側、中央構造線の南側ではほとんどが付加体や堆積岩でできています。
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松島のまわりに不自然な火山性の岩石があるのはなぜ?

今回の松島湾は、基本的には堆積岩でできている土地ですが、湾内の島は不自然なことに、凝灰岩(火山灰が固まった岩)でできています。でも不思議なことに松島の近くに大きな火山はありません。

松島の凝灰岩でできた島
松島の凝灰岩でできた島

ではこの火山灰はどこから運ばれてきたのでしょうか?調べたところでは詳しい情報は見つけられませんでしたが、松島湾の地図を眺めていて不思議なことに気づきました。松島湾の沖にある桂島という島と、塩竈市方面から伸びている半島の先端が丸みを帯びているように見えるのです。これはもしかして古いカルデラ火口?(カルデラはスペイン語で「釜」の意味です)

松島湾の地質図

もしそうだとしたら真ん中の赤い点線から流れ出た火砕流などの噴出物が、周辺にある凝灰岩の地質を作り出したのではないかという妄想ができます。一般に火山性の地層(数百万年前)は、堆積岩の地層(数千万年前)よりも圧倒的に新しいことが多いので、堆積岩の上に凝灰岩が乗っかっているという二重構造の地質になっているのかもしれません。このあたりは放送の中でタモリさんがブラブラ解説してくれると嬉しいですね。
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絶景!松島のまとめ

松島が日本三景なのは多島海だから?

海底にあった傾斜地層(ケスタ地形)が地殻変動で地上に隆起してきたとき、これが風雨で侵食されると、凸凹の地形になります。その後に氷河期が終わって海水面が上がってくると、海の中にポコポコと小さな島がたくさんできるわけです。多島海は日本人の心をくすぐります。

瀬戸内海と松島湾は多島海でも違うの?

松島の多島海は堆積岩のケスタ地形が基本になっていますが、瀬戸内海の島々はケスタ地形ではなく、花崗岩の地層が隆起してできたものです。

多島海の近くにはなぜリアス式海岸があるの?

リアス式海岸は、海洋プレートと大陸プレートとの境界で、海洋プレートの上に乗っている堆積物が、上側にある大陸プレートにこそぎ取られて付加体となって地表に露出し、川に侵食されて深い谷を作ったものです。そこに海面上昇とともに海が入り込んだのがリアス式海岸です。松島などの多島海も堆積岩の侵食でできているので成り立ちが似ています。だから多島海の近くにはリアス式海岸が多いのです。

瀬戸内の島々はこうして出来上がった?

瀬戸内海はもともと低地だったところが、中央構造線が東西にずれ動いたことで、地表にシワができて盛り上がってできた地形です。

松島のまわりに不自然な火山性の岩石があるのはなぜ?

松島湾の沖にある桂島という島と、塩竈市方面から伸びている半島の先端が丸みを帯びているのはもしかして古い火口?カルデラ?だとしたら火口から流れ出た火山の噴出物が島の上に降り積もったのかも?

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