冬になると脂がのり、甘みが増すと言われる「あいがも」。山形・新庄市では、昔から続く自然と共に生きる飼育方法で、年間約2万羽のあいがもが大切に育てられています。その魅力の秘密を探るため番組では武藤十夢さんが生産地を訪問。ふかふかの飼育環境、こだわりのエサ、甘みのある脂と濃厚な赤身——地元ならではの絶品料理とともに、日本の食と農の未来を考えます。
🦆 あいがもとは?— 田んぼと共に育つ恵み
あいがもは、私たちの食卓でおなじみの「鴨」とは少し違う存在です。鴨肉といえば濃い赤身の旨みが特徴ですが、あいがもは家禽として改良され、やわらかい肉質と甘い脂 が魅力の品種として育てられてきました。
特に冬の寒さが厳しい地域では、気温が下がるほど脂がのり、甘みとコクが増して「旬」を迎えると言われています。寒さに耐えるため身体に蓄える脂は、しっとりと繊細で、噛むほどに旨みが広がる深い味わいを生み出します。
そして、あいがもと言えば忘れてはいけないのが—田んぼと共に育まれてきた独自の関係。田んぼに放されると、水中の雑草や害虫を食べ、泥をかき混ぜることで水の循環を助けてくれます。この働きは「合鴨農法」として広く知られ、農薬や除草剤に頼らず、自然の力を活かした米づくりを支える大切な存在です。
だからこそ、あいがもは“食材”である前に、農村の生活と自然をつなぐ仲間でもあります。その命の恵みが、冬の食卓に豊かな物語を運んでくれるのです。
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🦆 山形・新庄市で受け継がれる“あいがも”育成
山形県新庄市は、冬には一面が雪に覆われる厳しい気候の土地です。しかし、その寒さこそが、あいがもをおいしく育てるための大切な自然条件になっています。
番組の舞台となった飼育場では、年間およそ 2万羽 のあいがもが育てられています。生まれたばかりのひよこは驚くほど繊細で、少しの環境変化でも体調を崩してしまうほど弱い存在。だからこそ、生産者はゆったりと動けるフカフカの床材や温度と湿度の細かな管理に徹底的にこだわっています。まるで雛を抱きしめるような、そんなやさしい環境づくりが行われているのです。
さらに、番組で紹介される「脂が甘くなる秘密のエサ」 も重要なポイント。地元産の食材を中心にした栄養バランスの良い飼料が使われ、赤身の旨みと脂の甘みが絶妙に調和した新庄ならではの味わいを生み出しています。
日本有数の豪雪地帯での飼育は決して簡単ではありません。しかし、自然の厳しさと向き合いながら、地域の人々の手と想いによって育てられるからこそ、深い味の層と温かい物語を持ったあいがも になるのです。
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🦆 自然と共に生きるアイガモ農法
日本の田んぼには、昔から自然と生き物が一緒に働く知恵 が息づいています。その象徴とも言えるのが、合鴨を田んぼに放して育てる「アイガモ農法」 です。
水田に放された合鴨は、田んぼに生える雑草をついばみ、害虫を食べ、水の中を泳ぎ回りながら土をかき混ぜます。その動きによって酸素が水に溶け込み、稲の根が元気に育つ環境が整えられるのです。
さらに、合鴨のフンは自然の肥料として土に還り、化学肥料や農薬に頼らずに稲がのびのびと育つ田んぼが生まれます。
この自然循環は、単に農作業を助けてくれるだけでなく、生き物と人間が互いに支え合って生きる姿そのもの。機械も薬も使わずに、野の生き物の力を借りて米を育てるという、とてもやさしく、あたたかい農法です。
そして、こうして育った合鴨はやがて食材として食卓にのぼり、その命の恵みが人々の暮らしを支えます。自然を尊重し、命を無駄にせず、いただくことの重さと尊さを知る農法。それがアイガモ農法の最大の魅力なのです。
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🕌 世界で見た田んぼと合鴨の風景 — インドネシアでの記憶
アイガモ農法の風景は、日本だけのものではありません。ボクは以前、インドネシアを訪れたとき、広大な田んぼの中を、たくさんの合鴨が自由に歩き回りながら雑草や虫をついばんでいる姿を目にしました。
緑のじゅうたんのように広がる水田の中、チョコチョコと歩きながら、水面に光を散らすように動く合鴨たち——その光景は、人工的な農業ではなく、自然と生き物が共に支え合いながら育つ世界そのものでした。農薬を使わず、機械も多く使わないその姿は、現代の大量生産とはまったく違うやさしく、丁寧な食づくりの形。

田んぼの合鴨は、ただ働いてくれる存在というだけではなく、農家の人たちと一緒に生活し、地域と共に過ごす仲間のようにも見えました。そのとき、ボクは「生き物の力を借りて食べ物を育てるって、こんなにも美しいことなんだ」と感じたのです。その記憶は、日本のアイガモ農法の背景にも、通じるものがあるように思います。
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🍽️ 地元料理が教えてくれる“本当の味”
あいがもの魅力は、飼育方法や環境だけでは語りつくせません。その真価が最もはっきり現れるのは、料理として食卓にのぼった瞬間です。
山形・新庄市では、冬になると脂が甘く、赤身の旨みが濃くなる“旬”を迎え、さまざまな料理人たちが、あいがもならではの味わいを引き出す料理を作り上げます。
番組で紹介される料理の中でも、塩焼きや鍋料理は、あいがもの本質に最も近い一品。炭火で皮目を香ばしく焼けば、ジュワッとあふれる脂が香りを広げ、噛むほどに赤身のコクが深く染みわたります。
鍋料理では、脂の甘みがだしに溶け込み、野菜の味まで引き立ててくれるのが特徴です。一口食べれば、冬の寒さの中で育った命の温度が、体の芯までじわっと広がっていきます。
さらに番組では、地元料理人による 鴨ハム や アヒージョ も紹介されます。丁寧に下処理されたハムは、しっとりとなめらかな口当たりの中に、じんわりと赤身の旨味が宿ります。アヒージョでは、脂の香りとオイルが重なり、パンに染み込ませて味わうその一口は、思わず顔がほころぶおいしさです。
どの料理にも共通しているのは、素材を大切に扱い、命の恵みを丁寧に届けたいという料理人たちの想い。料理は、単なる調理ではなく、育てる人と、食べる人をつなぐ橋なのだと教えてくれます。
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🍗 鴨肉はどこで買える?アクセス情報
テレビ番組を見て、「食べてみたい!」と思っても、どこで買えるのかわからず諦めてしまうことも多いもの。番組で紹介された山形県新庄市の 「鴨のお肉屋さん」 は、あいがも専門の精肉を取り扱う貴重な直売所です。地元で大切に育てられたあいがもを加工し、新鮮な状態で提供するため、店舗での販売は限られた時間帯で行われています。以下が販売所の基本情報です👇
📍 鴨のお肉屋さん(加藤商事)
- 山形県新庄市鳥越2835-1
- TEL:0233-29-7380
- 営業時間:10:00〜15:00
- 定休日:土・日・祝
- URL: https://www.yamagata.fun/
店頭では、定番の精肉に加え、鴨ハムやスモーク、加工品 なども購入できる場合があります。番組で紹介されたような料理に挑戦してみたい人には、通販サイトで地方発送や通販に対応しているのでこれを利用されるのがおすすめです。ただ番組放送直後はアクセスが集中するので、注文には余裕を持っておくことをお勧めします。
雪深い新庄の冬に育った、甘い脂と濃厚な赤身のあいがもを自宅で味わえば、番組で見た“おいしさの物語”が、きっと食卓の上で鮮やかに蘇るはずです。
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✍️ まとめ:自然と人がつながる“おいしさの物語”
あいがもは、ただの食材ではありません。田んぼと共に生き、自然の循環の中で暮らし、その命を私たちの食卓へ届けてくれる存在です。
山形・新庄市で育てられたあいがもが、どうして驚くほど甘い脂と深い旨みを持つのか——そこには、厳しい冬の寒さと向き合いながら、ひと羽ひと羽に心を寄せて育てる生産者の努力と想いがあります。
合鴨農法の田んぼで見られる“人と自然、生き物が助け合って生きる風景”は、大量生産の時代に忘れられがちな食の原点と尊さ を改めて気づかせてくれます。
料理として味わう一口には、育てた人の時間と、自然の恵みと、命の重みが静かに宿っています。冬の食卓で、あいがもをゆっくり味わうこと。それは、ただ「おいしい」を楽しむだけでなく、食べるという行為を未来につなぐ大切な選択なのかもしれません。
番組を見て、ほんの少しでも「食と農の物語」に心が動いたなら、次の旅先に山形を選んでみるのも素敵です。新庄で育ったあいがもに、きっと出会えるはずですから。
