徳島県鳴門市から届く「鳴門レンコン」は、粘土質の大地と海風に育まれた秋の味覚。関西の市場でも評価が高く、見た目の美しさと歯ごたえの良さ、そして自然と共生する農法が注目されています。
全国に名産地があるレンコンの中でも、鳴門のものは節間が長く、形がすらりとした備中系統が中心。収穫から出荷までの時間が短く、鮮度を保ったまま近畿圏の食卓へと届きます。
今回のNHK「あさイチ」中継では、そんな“鳴門ならではのレンコンづくり”の舞台に迫ります。海と大地が育む白い穴の物語──その魅力を一緒に見ていきましょう。
🌿 海と大地が育む「鳴門レンコン」──粘土質土壌が生む美しさと旨み
鳴門市のレンコン畑は、海からの風を感じる低湿地に広がっています。ここ一帯の土壌は、細かくやわらかな粘土質。粒の細かい土が水分をしっかり含むため、レンコンがゆっくりと太く育ち、肉厚でやわらかい繊維の中にほのかな甘みが閉じ込められるのです。
栽培されているのは、関西市場で高い評価を受ける備中系統。節間が長く、切り口がすらりとした形が特徴で、見た目の美しさと料理に映える白さが評価されています。
さらに、鳴門では今も手掘り収穫が主流。粘土に守られたレンコンを一節ずつ丁寧に掘り出すことで、細かな傷を避け、みずみずしさをそのまま保ちます。こうした自然条件と手仕事の積み重ねが、“色白で、しっとり、それでいてシャキッとした”鳴門レンコンの独特の食感を生み出しているのです。
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🕊 コウノトリも訪れる里──自然と共生するレンコンづくり
鳴門市のレンコン畑には、秋になるとコウノトリが姿を見せます。それは、ここが人と自然が共に生きる場所である証。農家たちは、化学肥料や農薬の使用を最小限に抑え、水質や生態系を守る「環境保全型農業」を実践しています。
粘土質の水田には、レンコンだけでなく、メダカやドジョウ、水生昆虫たちも暮らしています。田んぼの水を循環させる仕組みや、水位を微調整する工夫によって、コウノトリやサギなどの野鳥が安心して舞い降りる“生きた農地”が維持されているのです。
レンコンを作ることは、自然を壊すことではなく、自然を再生させる行為。そう語る生産者の言葉の背景には、「田んぼを守れば、里の生き物も戻ってくる」という確信があります。
鳴門のレンコン畑が放つ穏やかな風景は、まさに“循環する命の風景”そのもの。コウノトリが舞い降りるこの地から、あさイチ中継では、自然と人の絆が見えてくるはずです。
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🚛 近畿圏へ最短ルート!鮮度で勝負する“関西市場の常連”
徳島県鳴門市は、関西の市場から車でおよそ2〜3時間圏内。朝に収穫されたレンコンが、翌朝には大阪や京都の青果市場、さらには料亭やスーパーの店頭に並ぶ――。この距離の近さこそ、鳴門レンコンの最大の武器です。
鳴門では、複数の生産者が品種をずらして栽培することで、7月から翌年春まで切れ目のない出荷リレーを実現。出荷は早朝に掘り上げた“朝掘り”を中心に行われ、その日のうちに選別・箱詰め・集荷まで完結します。
関西市場では、「白く、形が整い、日持ちがよい」と高い評価を得ていて、料亭や惣菜店からの指名注文も増えているとのこと。流通のスピードと品質管理、この両輪が鳴門ブランドを支えています。
収穫の手を休めない農家たちにとって、「鮮度は命」。それは“近いから新鮮”ではなく、“近いからこそ守れる丁寧さ”という信念でもあるのです。
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🌅 まとめ|鳴門の海風が育む“旬の穴”の味わい
海に近い田んぼで育ち、コウノトリが舞い降りる――。鳴門のレンコンづくりは、自然と共に生きる人たちの物語でもあります。粘土質の大地が生み出す白く美しい肌、一節ずつ手で掘り上げられる職人の技、そして、近畿圏に新鮮なまま届けられる距離の強み。
そのすべてが重なって、鳴門レンコンは“旬の味わい”を超えた存在になっています。自然を生かし、自然に生かされる――そんな鳴門の風土が、この一本のレンコンに宿っているのかもしれません。
あさイチの中継では、白いレンコンの奥にある“鳴門の秋の物語”を感じてみてください。