10/19のNHK「うまいッ!」では長崎県の伊王島から「伊王島日の出カマス」が紹介されます。紹介してくれる食材ハンターは鈴之助さんとNHK長崎放送局の秘蔵っ子で新人アナウンサーの山口紗希アナ。山口アナは長崎県五島列島・小値賀(おぢか)島出身の長崎の地元応援団です。さて「伊王島日の出カマス」とはどんな魚なのでしょうか?
カマスって本来「刺身では食べない魚」なのに?
カマスは日本のあちこちで獲れる“お手頃な大衆魚”です。でも— その鮮度の落ちやすさは、魚の中でもトップクラス。獲れてからほんの数時間で身が柔らかくなり、水っぽいというか、「ぐずっ」とした歯ざわりになってしまうのです。だから基本の食べ方は塩焼き一択。
むしろ刺身にしたら、
「いや、それ生で食べる魚じゃないから!」
とツッコまれそうなくらい、“刺身では敬遠される魚”ランキング上位常連なのです。
…なのに。
長崎県・伊王島の「日の出カマス」は、
“刺身で食べるのが当たり前”と言われている。
いったいどういうことなのでしょうか?
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伊王島ってどんな島なの?
伊王島という名前を聞いても、ピンと来ない人が多いと思います。伊王島は長崎市の南にある、九州本土とは橋で繋がっている島です。長崎市内からは車で40分ほどの距離です。観光客なら、「軍艦島ツアーの途中で見える灯台のある島」と言った方が伝わりやすいかもしれません。
海の透明度が高く、釣り人や海水浴客にも人気があるため、“朝に獲れた魚がその日のうちに食べられる”環境が当たり前にある島なのです。


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なぜ“伊王島日の出カマス”だけが刺身で食べられるの?
カマスが刺身で敬遠される最大の理由は、「鮮度が落ちるのが異常に早い魚」だからです。水揚げから時間が経つと、身が水っぽくなり、締まりがなくなってしまいます。だから市場に出回る頃には「塩焼きにするしかない状態」になってしまうのです。しかし伊王島では、この常識が通用しません。
「伊王島日の出カマス」は日の出時刻に水揚げして、船上で即氷締めにする徹底した鮮度管理によって、刺身でも食べられるほどの品質を誇っているのです。

✅ 理由①|“朝に獲って朝のうちに食べられる”距離感
伊王島は漁港と集落が近く、漁師がそのまま宿や飲食店に魚を届けるケースも多いのだそうです。つまり、「釣って数時間以内=最高の状態」で提供される環境が整っているというわけです。
✅ 理由②|カマスの扱い方が「刺身前提」になっている
通常のカマス漁では氷漬けにしてまとめて運ばれることが多いのですが、伊王島では一匹ずつ素早く締めて血抜きする“鮮度保持型”の処理が行われています。
「塩焼き用」ではなく、最初から「刺身用」として扱われている――それが“日の出カマス”の最大の特徴です。
✅ 理由③|「伊王島日の出カマス」というブランドとして認定されている
伊王島漁協では、一定の基準(大きさ・締め方・提供時間帯)を満たしたものだけを“日の出カマス”として出荷しています。このブランド化によって、
「カマスなのに刺身で食べていい」ではなく
「刺身で食べるためのカマス」
として県外にも認知されはじめています。…ここまで聞くと、
「じゃあ味は?どんな食べ方が一番おいしいの?」
と気になってくるところですよね。そこで登場するのが、次のキーワードです。
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「長崎白鉄火」って何?カマスの刺身が“マグロ級”になる理由とは?
「白鉄火(しろてっか)」という名前を初めて聞いたとき、正直こう思いました。
「鉄火巻きの逆?」「マグロの白身版ってこと?」
……その予想、ほぼ正解です。
✅ 「鉄火巻き=マグロの赤身」なら、「白鉄火=白身の旨み勝負」
長崎の一部では、脂の乗った白身魚を「白いマグロ」に例える文化があります。伊王島の“日の出カマス”は、まさにその代表格。刺身にすると、
- 赤身のマグロのようなねっとり感
- でも白身らしい上品さとキレ
その両方を併せ持っていることから、
「鉄火巻き(赤)に対する、“白鉄火”」
という名前がついたそうです。
✅ 見た目は淡いのに、味は濃い
さらに驚くのは、見た目があっさりしているのに、噛むほどに強い旨味が出てくること。脂が多い魚特有の「重さ」はなく、“スッと舌の上で溶けるけれど、ちゃんと余韻が残る”――そんな白身です。
✅ 「山口紗希アナの反応」もきっと見どころに
今回の中継には長崎県・小値賀島出身の山口紗希アナが登場予定。五島生まれ佐世保育ちの地元のアナウンサーがどんなリアクションを見せるのかもポイントです。原田知世さん似のその姿は”かわいい”と全国的にも人気が高まっています。

彼女も塩焼きなどではよく食べていたそうですが、フリッターや炊き込みご飯、こんなアレンジ方法があったのか!と目から鱗の取材だったようです。
「白鉄火、これマグロより好きかも!」
なんてコメントが出たら、そのまま番組後に“白鉄火 食べられるお店”が検索されること間違いなしです。

さて―ここまで来ると、次に気になるのはひとつ。
「結局、一番おいしい食べ方って何なの?」
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塩焼きより○○がうまい!? “伊王島カマス”の食べ方とは?
一般的なカマスといえば、塩焼き一択。むしろ「塩焼き以外を知らない」という人のほうが多いはずです。でも、“刺身で食べられるレベル”の伊王島カマスなら、もっと自由に楽しむ余地があるはず。そこで勝手に「きっとこの食べ方が一番うまい!」という候補を挙げてみました。
✅ 第一候補:炙り&柚子胡椒
表面だけを軽く炙って、中はレアのまま。そこに柚子胡椒をほんの少しのせる――
これは長崎の居酒屋でよく見る“白身魚の定番スタイル”です。
「刺身としての上品さ+焼き魚としての香ばしさ」
両方を欲張れる、まさに白身魚の真骨頂。
✅ 第二候補:漬け丼(白鉄火丼)
長崎の漁師飯には白身魚を醤油ダレに漬け込む文化もあります。カマスでやったら絶対にご飯が止まらないタイプ。
そこに大葉・すりごま・卵黄なんて乗せたら、もう“和風カルパッチョ丼”。
✅ 第三候補:フライ or 唐揚げ(子どもにも人気)
刺身にできる鮮度ということは、揚げても衣サクサク・中ふわふわ。番組でも「子どもに一番人気」ということで紹介されるかもしれません。
実際に“揚げるだけ”で食べられる商品も存在します。伊王島では、カマスをスティック状に加工した「カマスティック」という商品があり、特殊な技術で骨が抜いてあるので、骨なしでそのまま揚げるだけで食べられます。

「魚は苦手だけど、フライなら食べる!」というお子さんは多いもの。刺身デビュー前に“揚げカマス”から入るのもアリです。
長年「塩焼きだけが正解」だと思われてきたカマス。でも伊王島の“日の出カマス”は、「白身魚の概念をひっくり返す力」を持った魚なのかもしれません。
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まとめ
カマスといえば「塩焼き一択」だと思っていました。でも伊王島の“日の出カマス”に触れると、その常識はあっさり覆されます。
刺身で楽しむもよし、炙って柚子胡椒をのせるもよし。揚げ物なら、通販で買える「カマスティック」ですぐに試すこともできる。魚の世界は、知っているようで知らないことだらけです。
「あの魚って、こんな食べ方があるんだ?」
そう思った瞬間から、食卓はちょっとだけ楽しくなる。そして——
「いつか本場で食べてみたい」
その気持ちが芽生えたら、もう旅の第一歩は始まっています。
番組を見ながら、刺身か、炙りか、フライか。どれから食べてみたいか—ぜひ想像してみてください。そして長崎に行ったらぜひ本場の「伊王島日の出カマス」を体験してみてください。