こんにちは鳥巣です。美肌効果や免疫力の強化、さらには認知症予防にと世間では「腸活」が話題になっています。ヨーグルトを食べて腸内細菌(フローラ)を増やすといいとか食物繊維を食べればいいとか、色々と言われているようですが、本当に効果のある「腸活」って何なのでしょうか? 26日のホンマでっか!TVでも特集されるようですね。
毎日ヨーグルトを食べればいいって本当?
腸内細菌ってどれくらいいるの?
私たちが食べたものは胃や腸などで消化されたあと、残りは尿や便となって排泄されます。その排泄物(主に便)には、健康な成人だと1グラムあたり、300〜500億個もの細菌が入っています。つまり便の半分くらいは細菌ということです。
これらの細菌のほとんどは、腸の中に住んでいます。その腸内にいる細菌の数はさらに膨大で、平均すると500〜1,000種類ぐらいの細菌が100兆個も住みついていることがわかっています。それも人それぞれに住んでいる細菌の種類は異なっています。大腸菌やビフィズス菌も、こうした腸内細菌の一つです。
そもそも赤ちゃんがお母さんの胎内にいるときには無菌です。が、生まれた瞬間から口を通して消化管の中に菌が入り込んで腸内フローラを形造り始めます。そして生後3ヶ月から1歳ころまでに腸内細菌は大きく発達し、3歳頃には腸内環境が決まります。そしてその環境は一生を通してあまり変わらないと言われています。
ヨーグルトに入っている菌は全部腸内フローラになるの?
ヨーグルトのメーカーはCMでしきりに「毎日ヨーグルトを食べて腸内細菌を健康に保ちましょう!」と言っています。
しかし口から入った食べ物は胃の中で強酸性の胃酸(pH1〜2)にさらされたりして少なからず死滅してしまいます。つまり食べた細菌が生きて腸まで届くことは少ないということです。
それはそうでしょう。食べ物には多くの雑菌が付いています。中には身体に悪さをする細菌も含まれています。全部を体内に取り入れてしまったら、たちまちお腹を壊したり病気になってしまいます。つまり胃液には”殺菌効果”も期待されているわけです。
ただこれらの”善玉菌”と呼ばれる細菌も死んでしまったらダメなのかというと、乳酸菌を例にとれば、免疫組織を刺激するのは、菌の外膜成分や菌細胞の中にあるDNAやRNAなどの菌の構成成分になります。構成成分は菌自体が死んでしまったとしてもあまり変化はありません。ですから「免疫力アップに限れば、乳酸菌は死菌でも効果がある」と考えられています。
また、役にたつ腸内細菌だとしても、胃酸の中を潜り抜けて腸までたどり着くのは細菌にとっても簡単なことではありません。また最近では“菌が生きたまま届く”というヨーグルトも続々と登場しています。
腸にダイレクトに効果的と思われがちですが、ただその菌が元々あなたの腸に棲んでいなければ、たとえ生きた菌が腸に届いても生き残れずに、腸から排除されてしまいます。これを“通過菌”と呼びます。反対に元から自分の腸に棲んでいる菌を“定着菌”といいます。
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どうして”腸活”するとお肌にいいの?
仮に腸内細菌のバランスが崩れて腸内の環境が悪化した場合には、便を排出するためのぜん動運動が鈍くなってしまいます。
すると便秘に陥りやすくなり、腸内に溜め込まれた便が腐敗して人体に有毒なアンモニアやフェノール、硫化水素など腐敗物質を生成するようになってしまいます。これらの腐敗物質が腸管内から吸収されてしまい、血管を通じて全身を巡ることになります。
そして最終的には肌に到達し、腐敗物質による影響でニキビや吹き出物、肌荒れなどの肌トラブルを発生させてしまうのです。つまりは腸内環境の悪化が便秘をもたらし、肌荒れにつながるというわけです。
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腸活って認知症予防に効果あるの?
認知症と腸内フローラには相関関係があることがわかっています
被験者の便のサンプルを集めて腸内細菌を解析したところ、認知症がある人と認知症のない人の便を比べると、腸内細菌の内訳がずいぶん違っていることがわかりました。
認知症のない人の便には、症状にある人に比べて「バクテロイデス(Bacteroides)」という種類の細菌が多く含まれていることがわかりました。これはわかめやめかぶ、ひじきなどの海藻、大麦、らっきょう、りんごなどに含まれる「水溶性食物繊維」を摂取することで増やすことができます。
詳しいメカニズムはまだよくわかっていませんが、これらの結果から何らかの因果関係はありそうな気がします。
”もの忘れ”と腸と脳の関係は?
また、軽度認知障害という「もの忘れ」のある患者さんでも腸内細菌に変化が起きていました。こちらもメカニズムはよくわかっていませんが、
- 腸内細菌による自律神経への刺激
- ホルモンや腸内細菌の代謝産物の作用
- 炎症や免疫反応による脳への影響
などが考えられています。これを腸脳相関といい、腸内細菌の代謝産物を調べたところ、便中のアンモニアなどは認知症との関連が強く、乳酸値が高いと認知症でない場合が多いことがわかっています。
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サプリや健康食品は腸活にいいの?
整腸剤を飲み続けていても副作用はないの?
腸活を意識している方にとって気になる存在となっているのが「整腸剤」です。その他にも下痢や便秘など便通改善のために整腸剤を服用している方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に男性には”お腹の弱い”人が多いため、これらの症状を改善するために長期的に服用している方も多いはずです。
整腸剤は実は薬ではなくサプリメントのようなものだと考えてください。毎日服用したいけど副作用が心配、という方には、整腸剤がサプリメントのようなものだと考えて服用することをおすすめします。
ただ整腸剤には基本的に「すぐに効いた!」という即効性はありません。例えば便秘であれば便秘薬を飲めばすぐに便意を感じて排便することができます。
それは腸を刺激することで排便を促しているのであって、根本的な症状の改善にはつながりません。一方で整腸剤は腸内環境を改善することが目的であるため、便秘薬との作用には違いがあります。
整腸剤はゆっくりと作用していくので、効果を感じるには毎日コツコツ服用することが大切です。整腸剤は今日飲んで明日すぐに効果が出るものではありません。
整腸剤を服用していると副作用があるのではないかと心配する声を耳にすることがありますが、結論からいうと基本的に整腸剤には副作用はありません。
ただし整腸剤の種類によって配合されている生菌が異なるため、すべての整腸剤が自分に合うわけではありません。ですから自分に合っていない整腸剤を服用しているといつまで経っても症状が改善されなかったり、不調を感じる場合があります。
サプリを飲んでいれば食事はしなくても大丈夫なの?
また腸活のためにサプリを飲んでいるという人も多いのではないでしょうか?例の”紅麹サプリ”の影響で「サプリは危険!」と思っている人もいるかもしれませんが、サプリの摂り過ぎを除けば、短期的には危険はないと考えられています。
腸内には善玉菌と悪玉菌・日和見菌が存在しているので、これらのバランスが悪いとさまざまな不調の原因になると考えられます。腸内細菌の種類や数は、食事や生活習慣・人種・年齢などによっても異なるので、自分に合ったサプリを見つけることが大切です。ただ腸内環境を整えるには最低でも4週間から、長いと一年程度かかると言われています。
ただ「サプリを飲んでいるからビタミンや栄養素は食事で摂る必要はなし!」と言っている人をたびたび見かけますが、食事に含まれる要素がすべてサプリで補えるわけではありません。
以前の職場でロクに食事をせずに、貪るようにサプリを”食べて”いる同僚がいましたが、結果的にしょっちゅう体調を崩していました。
食べ物の中には様々な栄養素が含まれています。そして私たちは何万年も前からそれらを食べてきました。人の体はそれらに順応して進化を果たしてきたわけです。ですから「〇〇のサプリを飲んでいるから野菜は食べる必要なし!」などというのは極端な例で、身体にいいわけがないのです。
食生活では「すべてはバランスが大切!」ということです。毎日、牛丼とマクドナルドのハンバーガーやコンビニスイーツを食べ続けていれば、今すぐに不調をきたすことはなくても、何十年という長い間には肥満や便秘、肌荒れ、アレルギーにならないとも限りません。
テレビのバラエティ番組では大量の肉料理を見た芸人が、「絶対に美味いやつぅ〜!」などと言っていますが、その人たちも歳を重ねて病気になると、「健康に気をつけるようにしました」などと言うようになります。これは普段の不摂生のツケがまわってきたのだと思います。
そうなる前に自分の食の好みを少しずつ変えて、バランスの取れた食生活になるように自分自身を改造していく必要があります。何でも「過ぎたるは及ばざるが如し」と古くからの諺にもあるように、やり過ぎは決して良い結果を生み出しません。
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腸活に必要なのは食物繊維だけじゃない?
腸活には食物繊維の摂取が有効だとよく言われます。それは多くの場合、食物繊維が腸内細菌の餌になるためです。食物繊維は小腸で吸収されにくいので大腸にしっかりと届き、腸内細菌たちのエサになるわけです。ただ現代の日本人はこの食物繊維がきちんと摂れていないと言われています。
そこでオススメされているのが、食物繊維「1日プラス6g!」です。と言われても6gって、何をどれくらい食べればいいの?と思ってしまいます。
例えば、ざるそばなら1枚で6gです。焼き芋なら大きなもの皮なし半分で7gと言われています。でも毎日ざるそばや焼き芋ばかりを食べられる人は少ないですよね。ですからここでも”バランス”が大切になります。
切り干し大根は小鉢1つで約2g、ひじきは約1gです。食事の時にはこれらをちょっと意識して加えてみるのもいいかもしれません。「千里の道も一歩から」(大袈裟ですが)です。
これらを意識してちょっと食べることで、それぞれの食べ物にちょっとずつ含まれている栄養素も無意識のうちに摂取できるわけです。
家のご飯に一品追加しようとすると手間がかかって大変ですが、(納豆が食べられるなら)納豆のパックを冷蔵庫から出すだけなら手間もかかりません。これで食物繊維3gが加算されます。
レジスタントスターチって?
”レジスタントスターチ”とは、消化されにくいデンプンのことです。食物繊維の一種で穀物、イモ、豆などに含まれています。
これは例えば、余ってしまった炊き立てのご飯を、冷蔵庫で一晩冷やすだけで水分が抜けて硬くなってレジスタントスターチができます。
せっかく美味しく炊けた炊き立てのご飯をわざわざ”冷や飯”にする必要はありませんが、焼き芋や茹でたジャガイモなども、余ってしまったら冷蔵庫で一晩冷やして翌日に食べることで、レジスタントスターチが増えて腸活にももってこいです。
これは先日のNHK「腸内細菌の取扱説明書(PDF)」でも詳しく触れられていたので、意識高い系の方は参考にされてみてはいかがでしょうか?
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「〇〇抜きダイエット」「〇〇だけダイエット」は百害あって一利なし
数年前から人気のダイエット法として、炭水化物を減らして糖質制限をする「炭水化物抜きダイエット」が話題になっていますが、基本的には「〇〇抜きダイエット」や「〇〇だけダイエット」はあまり信用しない方がいいと思っています。
前述したように食生活にはバランスが大切なのであって、偏った食生活は体全体のバランスを崩すことにつながりかねないからです。
日本人の腸には炭水化物のうち、食物繊維や難消化性でんぷん、難消化性オリゴ糖をエサにする腸内細菌が圧倒的に多いということは、やみくもな食事制限では次のような負のサイクルが起こる可能性があるからです。
- 炭水化物の摂取量を極端に減らす
- 炭水化物をエサにする腸内細菌がいなくなる
- 腸の炭水化物処理能力が下がる
- 炭水化物から作られる短鎖脂肪酸が減る
- 太りやすく痩せにくい体質になる
腸内で免疫細胞をコントロールする「短鎖脂肪酸」は代謝促進や老化予防以外にも多彩な効果があることから、炭水化物抜きは、体重コントロール以外でも、
- 免疫のバリア機能の強化
- 血糖値を一定に保つホルモンであるインスリンの分泌促進
- 生活習慣病の予防と改善
といった健康効果を得にくくなると考えられます。若いうちは抵抗力や体力があるので、多少の無理をしても身体は持ち堪えられますが、やがて30代、40代、50代になった時にそのツケがまわってくるかもしれません。一時的な体重や体脂肪の減少と引き換えにするには、とても大きな代償に思えるのです。
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「腸は考える臓器」?!
以前、NHKの「ヒューマニエンス」という番組でもやっていましたが、「腸は自らが“考え”行動する臓器だ」と言っていました。
1億もの神経細胞と、栄養を判別するセンサーを持つ人の腸は、脳とは独立した生命体のように活動するのだといいます。
脳の神経細胞は、もともと腸から生まれたことから腸は、いわば脳の親ともいえる存在です。さらには「人格」や「感情」、「好み」といった脳の本能的な部分に、腸が深く関わっていることもわかってきたと言います。いうまでもなく脳は考える臓器ですが、腸も自ら考えて活動する臓器なのです。
「腹が立つ」「太っ腹」「腹をくくる」「腹の虫が治まらない」「腹黒い」「腹を割って話す」「腑に落ちない」などなど、普段から心(脳)と腹(腸)を結びつける言葉を知らず知らず使用しています。
もちろん脳と腸の相関性について知っていたわけでもないのに、経験的になんとなく気づいていたように思われます。
簡単な例で言えば、「ひどく緊張してお腹が痛くなる」という経験をした人もいるでしょう。人前で発表したり、試験を受ける前は腹痛をもよおしたり下痢したり、旅先では便秘したりすることもあります。
またトイレのことが気になるとイライラ、頭痛、不眠となり、自律神経失調をきたし、便秘、下痢、腹痛を生じ、ますます悪循環に陥ってしまうこともあります。
このような症状は一般に「過敏性腸症候群」といわれていますが、医療機関を訪れて大腸内視鏡検査を受けても異常ありませんよと一蹴されてしまい、市販薬でなんとか我慢しているということはよくあります。
この原因としては脳や自律神経や内分泌その他が相互に関与しているためであり、これらの関係を脳腸相関と呼ばれています。わかりやすく言い換えれば「腸は心の鏡」であり、同時に「心は腸の鏡」でもあるわけです。
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まとめ
毎日ヨーグルトを食べればいいって本当?
役にたつ腸内細菌だとしても、胃酸の中を潜り抜けて腸までたどり着くのは細菌にとっても簡単なことではありません。しかし最近では“菌が生きたまま届く”というヨーグルトが続々と登場しています。
ただ、腸にダイレクトに効果的と思われがちですが、その菌が元々あなたの腸に棲んでいなければ、たとえ生きた菌が腸に届いても生き残れずに、腸から排除されてしまいます。これを“通過菌”と呼びます。反対に元から自分の腸に棲んでいる菌を“定着菌”といいます。
ただ定期的にヨーグルトなどを飲むことで有用な腸内細菌を定期的に補充することで一定の効果はあるかもしれません。
どうして”腸活”するとお肌にいいの?
腸内細菌のバランスが崩れて腸内の環境が悪化した場合には、便を排出するためのぜん動運動が鈍くなってしまいます。すると便秘になりやすくなり、腸内に溜め込まれた便が腐敗して人体に有毒なアンモニアやフェノール、硫化水素などの腐敗物質を生成するようになってしまいます。これらの腐敗物質が腸管内から吸収されてしまい、血管を通じて全身を巡ることになります。そして最終的には肌に到達し、腐敗物質による影響でニキビや吹き出物、肌荒れなどの肌トラブルを発生させてしまうのです。つまりは腸内環境の悪化が便秘をもたらし、肌荒れにつながるというわけです。つまりは便秘が肌荒れを起こす主な原因になっているというわけです。
腸活って認知症予防に効果あるの?
認知症と腸内フローラには相関関係があることがわかっています。認知症の人の便のサンプルを集めて腸内細菌を解析したところ、認知症がある人と認知症のない人の便を比べると、腸内細菌の内訳がずいぶん違っていることがわかりました。
認知症のない人の便には、症状にある人に比べて「バクテロイデス(Bacteroides)」という種類の細菌が多く含まれていることがわかりました。これはわかめやめかぶ、ひじきなどの海藻、大麦、らっきょう、りんごなどに含まれる「水溶性食物繊維」を摂取することで増やすことができます。
サプリや健康食品は腸活にいいの?
食べ物の中には様々な栄養素が含まれています。そして私たちは何万年も前からそれらを食べてきました。人の体はそれらに順応して進化を果たしてきたわけです。ですから「〇〇のサプリを飲んでいるから野菜は食べる必要なし!」などというのは極端な例で、身体にいいわけがないのです。
食生活では「すべてはバランスが大切!」ということです。毎日サプリを飲みながら、牛丼とマクドナルドのハンバーガーやコンビニスイーツを食べ続けていれば、今すぐに不調をきたすことはなくても、何十年という長い間には肥満や便秘、肌荒れ、アレルギーの原因にならないとも限りません。
「腸は考える臓器」?!
脳の神経細胞は、もともと腸から生まれたということがわかってきました。ということは、腸はいわば脳の親ともいえる存在です。さらには「人格」や「感情」、「好み」といった脳の本能的な部分に、腸が深く関わっていることもわかってきたと言います。いうまでもなく脳は考える臓器ですが、腸も自ら考えて活動する臓器なのです。
些細なことが気になってイライラ、頭痛、不眠になると、自律神経失調をきたし、便秘、下痢、腹痛を生じ、ますます悪循環に陥ってしまうことがあります。この原因としては脳や自律神経や内分泌その他が相互に関与しているためであり、これらの関係を脳腸相関と呼ばれています。わかりやすく言い換えれば「腸は心の鏡」であり、同時に「心は腸の鏡」でもあるわけです。