なぜ房総沖でとらふぐの豊漁が続いているのか?いつまで続くのか?黒潮大蛇行との関係は?【食彩の王国】

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こんにちは鳥巣です。1/18の食彩の王国では房総のトラフグの豊漁によるフィーバーが特集されるようです。しかしなぜ今、房総沖でとらふぐが大漁なのでしょうか?これには太平洋沖を流れる黒潮の大蛇行が関係しているという論文も発表されています。ではこの大漁はいつまで続くのでしょうか?

黒潮の大蛇行とは?トラフグの大漁との関係は?

1/18の食彩の王国では、謎の豊漁といわれる「房総のトラフグ」です。濃厚な旨みと身質の良さから、本場・下関にも出荷されています。この数年は、今まであまり獲れなかったトラフグがどういうわけか豊漁続きだといいます。

地元の千葉県いすみ市では最近、トラフグを使ったラーメンや、一風変わった洋風トラフグ料理まで様々な料理が味わえるそうです。

千葉県における漁獲量は、2001~2016年の漁期には約2~7トンで推移していましたが、2017年漁期以降増加し、2020年の漁期は27.7トンに達しました。その後はやや減少して、2022年漁期は25.8トンでした。

ここで太平洋の沖を流れる黒潮の話ですが、2017年といえば今回の黒潮大蛇行がはじまった時期と一致します。トラフグは温暖性の回遊魚で、北海道から台湾近辺にまで広く分布していて、1~9月頃に各地で産卵します。 春から夏は北上し、秋から冬にかけては水温の低下とともに南下してきます。

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今回の黒潮大蛇行は、2017年8月末に始まりました。2024年8月時点で、7年強にわたって続いています。黒潮大蛇行は、黒潮が通常とは異なる流路をとる現象です。黒潮が一度大蛇行流路になると、多くの場合1年以上持続します。最近の黒潮大蛇行の発生時期や期間は、次のとおりです。

  • 1970年代後半から1990年代初めまでは頻繁に発生していた
  • 2004年7月~2005年8月にも発生していた
  • 2017年8月に発生し、1965年以降で過去最長期間となっている

気象庁は2017年9月末に、日本の南岸を流れる黒潮が12年ぶりに「大蛇行」の状態になったと発表しました。九州、四国の沿岸を流れてきた黒潮が、紀伊半島のところで沖合に大きく離れてしまったのです。このことは当時、ダイバー仲間の間でも話題になり、それから急に伊豆半島でも南方系の魚が多くみられるようになりました。特に伊豆半島では”大蛇行した黒潮が再び沿岸に近づいてくる場所”であることから、平均水温自体はさほど変化が見られなかったものの、越冬できる魚(それまでは死滅回遊魚といって冬になると多くの魚が死滅していました)の種類や数が増えてきたのです。

(出典:黒潮親潮ウォッチ)
(出典:黒潮親潮ウォッチ)

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今回の黒潮大蛇行はいつまで続くのか?

黒潮の流れる道筋が変わると、海水の水温が変わって漁業に影響が出たり、水位が急変して沿岸に浸水などの被害が出たりするので、どのようなときに大蛇行が起きるのか、その謎の解明に多くの海洋研究者が取り組んできました。

最近の研究では、大蛇行が発生する代表的なパターンが明らかになり、今では2か月くらい先の状態を予測できるようになりました。しかし、半年も1年も先の道筋を予測することは、きわめて難しいといいます。

それは、「毎日の天気を何週間も先まで予測することはできないのと同じように、黒潮も、何か月も先までというわけにはいかない」ということだといいます。

黒潮の大蛇行は、とくに珍しいわけではありません。これまでも最近では、1975年、1981年、1986年、1989年、2004年に発生し、1〜5年ほど持続していました。しかし今回の大蛇行は既に8年目です。なにがきっかけで潮の流れが変わってしまうのか、詳しいことはまだ解明できていません。

もしかしたら黒潮の流れが変わってしまったときに、房総のトラフグが獲れ続けるのかどうかは誰にもわかりません。その時に地元にどんな準備が必要なのか考えておく必要があるのではないでしょうか?

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房総のトラフグがもし獲れなくなってしまったら?

例えばトラフグ加工会社の多い山口県下関市では、フグが沢山水揚げされる場所に、下関の業界の息がかかった加工センターを建設しておくのだといいます。

農林水産省の統計調査によればトラフグやマフグ、サバフグ等の「フグ類」の2021年の全国漁獲量は6,172トン、そのうち北海道が1位で1,990トン、2位が石川県で547トン、3位が愛知県で402トンとなっています。決して下関でたくさんのトラフグが水揚げされているわけではありません。歴史的にトラフグ加工業者が多いので、トラフグが下関に集まってくるだけなのです。

しかし千葉県にはそのような素地があるわけではありません。トラフグが獲れなくなればそれまでです。また何年後かに起きるかもしれない”黒潮大蛇行”を待つしかなくなります。

今、北海道ではサンマやサケが獲れなくなっているといいます。その代わりに獲れているのがブリです。しかし北海道に人にはブリを食べる習慣があまりありませんでした。

しかし富山県の例を参考にして、根室や知床あたりで獲れるブリを札幌などの大消費地で売る販路を作ろうとしています。この北海道のブリもいつまで獲れ続けるのかはわかりませんが、柔軟に「そのとき獲れるものを売り、一時的にでも名物にして、しかもそれに固執しない」という姿勢が、自然を相手にしたたかに生き抜いていく方法なのかもしれません。

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まとめ

黒潮の大蛇行とは?トラフグの大漁との関係は?

千葉県におけるトラフグの漁獲量は、2001~2016年の漁期には約2~7トンで推移していましたが、2017年漁期以降増加し、2020年の漁期は27.7トン、2022年漁期は25.8トンでした。ここで太平洋の沿岸を東に流れる黒潮の話ですが、2017年といえば今回の黒潮大蛇行がはじまった時期と一致します。これは何らかの相関関係があるのかもしれません。

今回の黒潮大蛇行はいつまで続くのか?

黒潮の大蛇行は、とくに珍しいわけではありません。これまでも最近では、1975年、1981年、1986年、1989年、2004年に発生し、1〜5年ほど持続していました。しかし今回の大蛇行は既に8年目です。なにがきっかけで潮の流れが変わってしまうのか、詳しいことはまだ解明できていません。しかしいつまでも続くものでないことは間違いないと思われます。

房総のトラフグがもし獲れなくなってしまったら?

千葉県には下関市のようなフグ加工の素地があるわけではありません。トラフグが獲れなくなればそれまでです。また何年後かに起きるかもしれない”黒潮大蛇行”を待つしかなくなります。しかし柔軟に「そのとき獲れるものを売り、一時的にでも名物にして、しかもそれに固執しない」という姿勢が、自然を相手にしたたかに生き抜いていく唯一の方法なのかもしれません。

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